バリー・アイスラー著『雨の影』ヴィレッジブックス 2004.1.20初版 800円+tax
原題:『Hard Rain』
オススメ度★★★★☆
前作にて、日本政府を転覆させるほどの内容を持った一枚のCDをめぐり死闘を繰り広げ、最愛の女性と決別したレインは東京から大阪へと身を隠した。
CDをめぐる警察庁、影の右翼勢力、CIAの攻防はまだ決着はついていなかった。レインと奇妙な友人関係にある警察庁の部長であるタツがどのような手段を使ってレインの居場所を突き止めたのか不明であるが、ある日そのタツがレインの前に姿を現し、仇敵の山岡との対決の助力を要請してきた。
一度は断ったものの、かけがいのない若き友人が、そして別れたはずのみどりにまで脅威が及びかねない事態を知ったレインは再び陰謀渦巻く東京へ舞い戻ったのであった。
本作でも著者のエスプリの効いた会話、知的なユーモアのセンスが随所に散りばめられ読者を魅了する。
著者の日本文化への造詣の深さ、愛着を本編でもしっかりと認識させられた。ところで、主人公ジョン・レインは軍隊でもたった2%としか存在しないと言われる「接近戦でも躊躇無く敵に銃の引き金をひける兵士」のひとりではあるのだが、けっしてキリング・マシーンであるわけではない。
殺人のシーン、手口は恐るべき内容なのではあるが、嫌悪感を与える描き方とならないのが不思議である。それは読者が彼の生い立ち、経歴を知るに及び、ジョン・レインが唯一生きる手段として暗殺者になったのではないかとおぼろげな“共感”を抱くせいかも知れない。
人生への深い“諦観”というか、非常に繊細な虚無主義に満ちたレインが、非常に稀にみせる友人への、そして愛する女に向ける“表面以上に芯が熱い情”をみせる時、読者はその落差に戸惑いながらもそこに“共感”を抱くのではなかろうか。
日本での活動にもいよいよ制限を感じさせられるレインの身辺状況であるが、大三作から舞台は世界へ広がる模様である。
次回作ではよりスケール・アップした物語展開を期待できそうだ。
原題:『Hard Rain』
オススメ度★★★★☆
前作にて、日本政府を転覆させるほどの内容を持った一枚のCDをめぐり死闘を繰り広げ、最愛の女性と決別したレインは東京から大阪へと身を隠した。
CDをめぐる警察庁、影の右翼勢力、CIAの攻防はまだ決着はついていなかった。レインと奇妙な友人関係にある警察庁の部長であるタツがどのような手段を使ってレインの居場所を突き止めたのか不明であるが、ある日そのタツがレインの前に姿を現し、仇敵の山岡との対決の助力を要請してきた。
一度は断ったものの、かけがいのない若き友人が、そして別れたはずのみどりにまで脅威が及びかねない事態を知ったレインは再び陰謀渦巻く東京へ舞い戻ったのであった。
本作でも著者のエスプリの効いた会話、知的なユーモアのセンスが随所に散りばめられ読者を魅了する。
著者の日本文化への造詣の深さ、愛着を本編でもしっかりと認識させられた。ところで、主人公ジョン・レインは軍隊でもたった2%としか存在しないと言われる「接近戦でも躊躇無く敵に銃の引き金をひける兵士」のひとりではあるのだが、けっしてキリング・マシーンであるわけではない。
殺人のシーン、手口は恐るべき内容なのではあるが、嫌悪感を与える描き方とならないのが不思議である。それは読者が彼の生い立ち、経歴を知るに及び、ジョン・レインが唯一生きる手段として暗殺者になったのではないかとおぼろげな“共感”を抱くせいかも知れない。
人生への深い“諦観”というか、非常に繊細な虚無主義に満ちたレインが、非常に稀にみせる友人への、そして愛する女に向ける“表面以上に芯が熱い情”をみせる時、読者はその落差に戸惑いながらもそこに“共感”を抱くのではなかろうか。
日本での活動にもいよいよ制限を感じさせられるレインの身辺状況であるが、大三作から舞台は世界へ広がる模様である。
次回作ではよりスケール・アップした物語展開を期待できそうだ。
はまってしまいました。
昨日第三作『雨の罠』の予約を入れました。
一気に4作全部読んでしまったので何かもったいない気がします。
第三作はもっと面白くなりますよ♪お楽しみに!