古川日出男著『ベルカ、吠えないのか?』文芸春秋 2005.4.22 1,800円
この作家、古川さんって、何か変なんです。『アラビアの夜の種族』を何度も書店で手にしながらも購入しなかったわけ。なんか胡散臭いにおいがプンプンなんだもの(苦笑)。
でもとうとう本書が登場して好奇心の誘惑に抵抗できなくなった次第。案の定?キテレツな小説であったのだ。
文体がまた奇抜である。事態が現在形で過去から未来まで語られるのには大いに振り回された。そして犬たちのセリフにも・・・・うぉん!
本書は犬の、それも軍用犬を軸として描いた20世紀の戦争現代史のようなものだ。太平洋戦争でアリューシャン列島に残された3頭(4頭いたが1頭は自爆)の壮大な「犬系図」の大樹が創造され、幾世代を超えて何千、何万もの軍用犬の子孫が織り成す一大叙事詩のようなもの。
犬たちは生き抜く。時には愚鈍な主人の死肉を食らい、時には同族をも食らい、そして交ぐあう、凄まじいほどに。そして子孫を残す。
軍用犬としての血は常に戦場を、暴力を呼び寄せる。それは軍隊ばかりではなくマフィアの世界まで踏み込むのだ。
そして戦場は場所をも選ばない。アリューシャン列島から米国本土(一部はアラスカへ)、メキシコ、ハワイ、そしてサモアへ。
一方、キスカからロシアへ、更に朝鮮半島、中国、ベトナム、更にパキスタン、アフガニスタンまでもその足跡を残す。
米ソの宇宙開発戦争において最初に宇宙に飛び出したのはサルでもネズミでもない、「いぬ」であった。旧ソ連の「ライカ」犬を覚えているだろうか。生還を望めない「宇宙への旅」は人類への聖なる「殉教者」となった。
犬たちは感じる、この聖なる殉教犬の存在を。このライカ犬の死は「犬の元年」と呼ばれる。
だがしかし、作者はこんな物語を描いて何を一体我々に訴えたいのであろうか?う~~む分からない!分からないけど妙に熱を帯びた小説だ。
蛇足:本の装丁を見たときに熊かと思った。が、犬だった。
この作家、古川さんって、何か変なんです。『アラビアの夜の種族』を何度も書店で手にしながらも購入しなかったわけ。なんか胡散臭いにおいがプンプンなんだもの(苦笑)。
でもとうとう本書が登場して好奇心の誘惑に抵抗できなくなった次第。案の定?キテレツな小説であったのだ。
文体がまた奇抜である。事態が現在形で過去から未来まで語られるのには大いに振り回された。そして犬たちのセリフにも・・・・うぉん!
本書は犬の、それも軍用犬を軸として描いた20世紀の戦争現代史のようなものだ。太平洋戦争でアリューシャン列島に残された3頭(4頭いたが1頭は自爆)の壮大な「犬系図」の大樹が創造され、幾世代を超えて何千、何万もの軍用犬の子孫が織り成す一大叙事詩のようなもの。
犬たちは生き抜く。時には愚鈍な主人の死肉を食らい、時には同族をも食らい、そして交ぐあう、凄まじいほどに。そして子孫を残す。
軍用犬としての血は常に戦場を、暴力を呼び寄せる。それは軍隊ばかりではなくマフィアの世界まで踏み込むのだ。
そして戦場は場所をも選ばない。アリューシャン列島から米国本土(一部はアラスカへ)、メキシコ、ハワイ、そしてサモアへ。
一方、キスカからロシアへ、更に朝鮮半島、中国、ベトナム、更にパキスタン、アフガニスタンまでもその足跡を残す。
米ソの宇宙開発戦争において最初に宇宙に飛び出したのはサルでもネズミでもない、「いぬ」であった。旧ソ連の「ライカ」犬を覚えているだろうか。生還を望めない「宇宙への旅」は人類への聖なる「殉教者」となった。
犬たちは感じる、この聖なる殉教犬の存在を。このライカ犬の死は「犬の元年」と呼ばれる。
だがしかし、作者はこんな物語を描いて何を一体我々に訴えたいのであろうか?う~~む分からない!分からないけど妙に熱を帯びた小説だ。
蛇足:本の装丁を見たときに熊かと思った。が、犬だった。
感想を読んで…、やっぱり読むのはやめておこう、と思ってしまった。疲れそうで…。