min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

池井戸潤著『ロスジェネの逆襲』

2012-11-13 10:27:00 | 「ア行」の作家
池井戸潤著『ロスジェネの逆襲』ダイヤモンド社 2012.2815 第1刷 
1,500円+tax

おススメ度:★★★☆☆

ロスジェネとは何か?ロストジェネレーションの略で、いわゆる団塊世代と次のバブル世代の後、1994~2004年の就職氷河期に社会に出た人たちを指すそうだ。
本編はこのロスジェネがバブル世代に逆襲する、という内容。か、と思いきや主人公はバブル世代なのよねぇ。もうひとりの主人公がロスジェネに属してる。
ま、単純に言えば親会社の銀行からその子会社の証券会社に飛ばされた半沢とその子会社のプロパー社員である森山の熱き戦いの物語。
熱き戦いとは、IT企業買収にかかわる親会社というか銀行に対し、子会社が牙をむくという構図で、それに買収しようというIT関連会社と買収される側、それぞれにつく証券会社(アドバイス業務を担務)が入り乱れる“コン・ゲーム”の様相を呈する。

銀行のやり口の汚さについては周知の通りであるが、本編の中である銀行員が「あきらめの悪い人種なんだよ、銀行員ってのはさ。ついでにいうと、実力もないのにプライドだけ高い奴ってのが一番手に負えないんだ。しかも、そういう奴は掃いて捨てるほどいる」とつぶやく。
別にこんな輩は銀行員の場合だけではなく、我々の周りにはごまんといるではないか。
さて、企業間の経済戦争はいかにも“仁義なき戦い”であるのだが、本編にて描かれる戦いはあまりにも見苦しく、読んでいて辟易する場面が多い。
最後に正義は勝つ!などという勧善懲悪を期待するわけではないものの、主人公半沢と森山はちょっとカッコよすぎねぇ?
現実はほとんど“悪”が勝っているような気がする。読後感は先に読んだ「下町ロケット」もほうがはるかに爽やかだ。