min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

望月三起也著コミック『二世部隊物語1最前線』

2010-09-24 21:33:19 | 「マ行」の作家
望月三起也著コミック『二世部隊物語1最前線』ホーム社発行 2001.2.21 第1刷 
オススメ度:★★★★☆

本作は1963年から1964年にかけ「少年画報」にて連載されたものを文庫サイズの復刻版として発刊されたもの。

これは僕が小学生であった頃読んだ記憶がある。当時、アメリカの日系二世部隊が第二次世界大戦に出兵していたなんていう事実は全く知らなかったと思われる。
でも子供心に“かっこいい!”と思った鮮烈な記憶がある。あの頃の遊びの中心は、チャンバラごっこと戦争ごっこであった。

その後、二世部隊(第442連隊戦闘団)が実在したこと、そしてヨーロッパ戦線でドイツ軍に包囲され孤立した「テキサス大隊」を部隊の半数を失いながらも救出し、やっとアメリカ軍内部でその存在を認められたことを知った。

今回、幼い頃の記憶もあったがひょんな事から本作を見つけ出し読むこととなった。元々望月三起也氏のファンでもある。特に「ワイルド7」その後の「新ワイルド7」に熱狂した時代があった。

さて、本作であるが、正直、あくまでも子供向けに創作された戦争アクションもので、当時テレビで流行っていた「コンバット」を強く意識して作られたと思われる。
だが、作中で簡単ではあるが二世部隊が誕生した背景が説明され、主人公ミッキー熊本伍長(後に軍曹)のセリフを借りて彼らが戦う理由を謳っている。
「俺は本国の収容所に居る母さんのために戦うんだ。俺たちがけっして裏切り者じゃないことを証明して母さんが出てこれるために!」と。

彼ら二世部隊が敵ドイツ兵と戦う過酷さ以上の苦しみは、味方アメリカ軍白人から受ける“人種差別”という攻撃であったことが描かれる。

アメリカで生を受け、アメリカで育ったにもかかわらず、ハワイの真珠湾攻撃を境に“敵性民族”として扱われる自分たちの生き残る道は、自分たちの流す血で母国への忠誠を証明するしかなかったのだ。