min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

メルセデスの伝説

2005-09-16 10:01:48 | 「ア行」の作家
五木寛之著 講談社 1985.11.29第一刷 1,200

「 五木寛之ブックマガジン」なる雑誌を先月8月に書店で発見して、その雑誌の中で何篇かの五木氏の懐かしい初期作品が掲載されていた。
本編は4分の1程度掲載され以下次号ということであったが、たまたま中古本屋で同作品を見かけたので即購入した次第。
本編は昭和60年刊行ということで当時同氏の作品はほとんどリアルタイムで読んでいたはずで、記憶にも読んだと思われるのであるが驚いたことに全く内容を覚えていない。
再読するには逆に新鮮で面白かったのであるが、我が記憶力には全くあいそをつかしたくなる。

さて、本編の内容であるが第二次大戦中ヒトラーがダイムラー・ベンツ社に命じて“グロッサー”というカスタムメイドの超高級車をつくらせ、名だたる各国の元首や国王へ贈り物として送ったといわれる。その中でも「銀のメルセデス」といわれる最も美しいグロッサーを昭和天皇へ贈ったといわれ、今も日本のどこかに秘匿されて存在するのでは、という噂があった。
この幻の銀のメルセデスをめぐるサスペンス仕立ての物語なのだが、五木氏独特のストーリーテリングはフィクションであることは判りながらも読者をぐいぐいと作品世界に引付けてゆく。その技量は見事としか言いようがない。