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昨日記170929金(アートエリアB1動物の心を読む 科学と心と価値観)追

2017年10月01日 21時00分35秒 | 日記(昨日記・今の思い考え・行動・情況)
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この日は、前日に続き自選ブログを見直すと、情報機関関連のリンクに不備が見つかったので修正するとともに、リンクアドレスを書き込んで煩雑になり、いかめしい感じなのですっきりするように、アドレスを消去し、すっきりした形になった。
午後には、遅れているブログを書いた。

夜になって、京阪難波橋駅B1にある「アートエリアB1に出かけた。
この日のトークは「ロボットと人工知能で、動物の心を読む」シリーズの第2回で、動物が「なぜたどり着けるのかを科学する」というテーマで木村幸太郎(大阪大学大学院理学研究科 准教授)氏の話を聞いた。
このシリーズの1回目は3月17日に行われていて、私も参加していた。
このときはバイオロギングについてのお話を聞いた。

今阪大では生物学や、ロボットや情報科学や神経科学の専門家がチームを組んで、「ロボットと人工知能で、動物の心を読む」という世界初のプロジェクトを展開しているという。
前回の話や今回の話を聞いて、狙いはよくわかった。
この研究成果が、将来家畜の管理や害獣と人間の住み分けとか、害虫の駆除とか、害獣と人間とのかかわりに対し応用できるという。

こうした話の中で、質問の中で蝙蝠の生態で面白い話を聞いた。蝙蝠は超音波で自分の位置や障害物や餌を確認するが、多くの蝙蝠がいる場合、それぞれ各個体で違った周波数の超音波を出しているという。

又、9月28日の朝日新聞には、「渡り鳥、目的地までまっすぐ 位置把握か、横風うけても調整 東大・名大が研究」という記事が載っていた。
これに近い話は、3月のトークの時に聴いた記憶がある。
東北の海鳥の研究で、今回のプロジェクトのテーマそのものにかかわる動物生態学で、海鳥が数十キロ離れたところまで餌を捕りに行って、風とか様々な悪条件に係わらず、必ず巣に戻ってくるのはなぜかという問題を研究している。
その研究の一環として、バイオロギングを使って基礎データを集め、(実験室の限定された環境では分からない:例:実験室内での明りや太陽の方向に対する反応・地磁気に対する反応・風景に対す個体の生体反応)研究していて、そのデータをベースに、体内に地磁気のセンサーとかGPS的なものとか、いろいろな知覚センサーと脳にナビゲーションを行うシステムが存在する可能性がありそうだということで、情報科学や、神経科学とプロジェクトを組んで研究を進めているという話だったように思う。
生物の様々な能力の多くは解明されていないので、こうした研究には興味がわく。

こうした問題は科学と生命と心の問題を考えるときに、興味ある問題でもある。
文科系の人は心と科学は相反するように考えやすく、科学的に解明されると無味乾燥なものになり、感情といったものや神秘的なものがなくなると思っている人が多い。

しかし、たとえばパブロフの条件反射以来、生物の心と科学的因果関係は様々に研究され、脳内の喜怒哀楽の発生場所は分っているし、各種ホルモンが様々な感情を司っていて、愛情ホルモンの存在も分かっているし、うつの状態になるとある部分の脳の働きが病的に萎縮することも分かっている。
しかもどんな時に萎縮するかもわかっていて、強いストレスを受けた時に発生するという。
又、科学的に心の因果関係を把握するために、フロイトの心理学やユングの心理学も確立し展開していて、思想界にも大きな影響を与えている。
これらは直接人体の脳との因果関係を研究したものではないが、心の作用の因果関係を臨床事例から解明しようとした研究で、治療にも応用されていて大きな成果を上げている。

こうしたことはすべて、心を科学的に見ようとするものだ。
今注目され成果を上げているマインドフルネスも、禅やヨガの研究から、科学的に応用されたものだ。
脳と認知症に関する研究も、どんどん進んでいる。
こうしたことを見ても、人間や動物の認知機能や精神状態に関する、各パーツの働きが分かっても、人間の心が、ロボットの様に無味乾燥になるということはないと考えている。
現実には、逆にロボットにある種の心(喜怒哀楽)を与える研究も進めているようだ。

現在の社会を構成する個人の動きを観察すると、基本的には全員自分の価値観に合う方向に基づいて、動いているように見える。
人間の、本来持っている価値観は一人ずつ違う。
ということは、たとえ生体内の心の動作原理が分かっても、各人が物理的利益即ち経済利益(物質的利益)優先で同じ方向に動くことはないと思われる。(既に現代では、心の動作原理については部分的に脳内の様々なことが分かっているし、心の動き方も心理学的に分かっている。)
こうしたことを考えると、人間は、脳の各パーツの動きを知っていても、自分の価値観に合った方向に意思を持ち、自分の意思で感情や行動をコントロールしているので、科学で自分の心や脳の働きをすべて知っても、自分を失うことはないと思われる。

具体的に言えば、合理的経済的利益より感情や情念や理念や宗教や哲学を含む超越論的思考の方を大切にする人も多い。(享楽主義・無頼派 愛情優先 宗教第一 趣味第一・・・・)
言い換えれば、いくら心の仕組みが分かっても、人はその人固有の価値観で動き、心の動き方は承知したうえで、不利益の場合や最適の解ではなくても、後で述べるように自分の決めた方向で動くことの方が多いように見える。
その人固有の価値観は、教育、社会、経済、宗教、民族・歴史・風土、家庭環境、・・・・そのた様々な要素により、生まれてから現在までのあらゆる個人的経験を通して形成されるもので、実存的意思であるのかもしれない。(構造とは対立する概念だが)

例えば、体に悪くても自分の、意思でタバコや酒を止めないとか(分かっちゃいるけど、止められない)、江戸時代禁教令が発布されても死を承知で信仰したり、生活のすべてを趣味に費やし趣味にのめり込むという例も数多ある。
こうした例はすべて、価値観に基づく自分の意思や刷り込みや思い込みで行動していて、たとえ心の動き方の仕組みや、生体内のパーツ(脳)と心の仕組みや関係が分かっても、医療として治療する以外変化することはないだろう。
うつ病や、その他精神疾患や薬物やギャンブル依存症等は、病気として治療の対象となり、時には法律で強制的に治療するが、それ以外の心理的な傾向やましてや個人の価値観に対しては、民主主義国家では何人も思想信条の自由のもとに、侵すことのできない基本的人権の範疇に含まれる。
従って、脳科学が進歩し先にあげた研究が、いくら進展しても人間関係が無味乾燥になったり、人間がロボット化することはないと思う。

それどころか、現代社会では、諸科学の進歩で多くの心の動きや脳の働きが解明され、今後も研究は加速するであろうが、人間的には精神的に自由になり、爆発的といっていい程多様化している。
今や昔は異端として排除されていたLGBTは、先進国では市民権を得つつあるし、風俗(性産業のことではない)やファッションも、多様化しているし、数十年前までは少数派で異端であったサブカルチャーもサブではなく、メジャー化している。
ある意味、科学的に心のことを解明することによって、過去に異端と退けられていたことも、異端ではなく変化の一種ととらえ、一般化するようになった。
そのことは障害に対する見方にも当てはまる。

こうした見方は、文化人類学がもたらした構造主義的見方も影響しているのではないかと思う。
構造主義そのものも、人文科学の分野ではあるが、レヴィ=ストロースが切り開いた手法で、社会構造が数学も援用して記述されているし、同じ構造主義のベースになったものの言語学から記号論(記号学)も生まれ、非常に大きな影響を与えているが、その背景に科学的思考があるのは間違いない。
こうした実例を見ても、科学的進展が人をロボット化したり、効率一辺倒の無味乾燥な社会になることはないだろう。
そもそも、科学とは、現実に存在する事象を解き明かすことに他ならない。
極端に言えば、科学はあらゆる事象、出来事で、分からなかったことを合理的に解き明かし説明することなのであり、価値観というのは人間の意思であり思い込みによる断定であり、価値を決めるのは各個人の実存的意思決定で、そこには合理性が無い場合も多い。

私は記号論も援用することで、難解な現代美術をうまく理解することに成功したし、多くの評論家は記号論的思考を使っているこが多いという話を、米国で活動していた日本人作家達から聞いたことがある。
こうした合理的思考を使用したところで、芸術に関する見方が無味乾燥になったかといえば逆で、より深く味わえるようになったし、その意味で記号論も援用して解釈することで、美術芸術の価値は不変であるどころか、より一層理解が深まると考えている。

現実に、言語学記号論はアバンギャルドが勢いあったころ(大戦前夜)に現代詩に対する評論やムーブメントに、大きな影響を与えたという内容の記述を、いくつかの思想史や記号論の解説書の中に見た。
そうした流れは、芸術では、ダダやスピード派・キュビズムやシュールレアリズムが、どういう影響を受けたのか詳しく調べていないので、語れないが興味がある。



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