老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

ランタナと「侵略的外来種」

2020年09月10日 19時33分04秒 | 園芸福祉・植物とのつながり
 ご存知のようにランタナ(シチヘンゲ=七変化とも呼ばれます)は南米原産のクマツヅラ科に属する小低木で、春から秋にかけて咲く暑い日差しにも負けない強い植物で、小さな花を手まり状にした非常に可愛らしい色鮮やかな花を咲かせるので人気があります。
 黄や白花の品種もありますが、通常は花色が咲き進むにつれて変化する特徴をもっていて、これが「七変化」という名の由来です。

 先日住んでいる団地の管理組合からのお知らせの中に、「ランタナは『侵略的外来種』なので、団地内に植わっているランタナは撤去します」との通知がありました。

 園芸に関わってきたので、「特定外来生物」についてはある程度知っていましたが、「侵略的外来種」については殆ど知らなかったので、これを機に「外来種」/「特定外来種」/「侵略的外来種」などに関して改めて調べ直しました。


◆外来種

・外来種とは、在来種に対する言葉で、もともとその地域にいなかったのに、人為的に他の地域から入ってきた生物のことで、その一部は生態系や経済に重大な影響を与えることがあり、環境問題のひとつとして扱われる。
類義語に移入種、帰化種、侵入種、外来生物があります。

・日本では古くから大陸などからの外来種が多くて、在来種と外来種の区別が難しいが、日本の外来生物法では、明治元年以降に日本に導入された生物を外来生物の対象としており、それ以前の時代の生物については確かな記録を確認するのが困難という理由で対象外としています。

・本来は本州以南にしか生息していない生物が北海道に入ってきた、というように日本国内のある地域から、もともといなかった地域に持ち込まれた場合には、“外来種”となり、このような"外来種"のことを「国内由来の外来種」と呼んでいます

・渡り鳥、海流にのって移動してくる魚や植物の種などは、自然の力で移動するものなので外来種には当たりません


◆特定外来生物

・外来生物の中で、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしていて、その詳細は、環境省が管轄する「特定外来生物被害防止法」で規定されています。

・2020年3月現在、哺乳類25種、鳥類7種、爬虫類21種、両生類15種、魚類26種、クモ・サソリ類7種、甲殻類5種、昆虫類21種、軟体動物等5種、などと共に植物16種が指定されています。
植物については、身近なものではオオキンケイギク、ミズヒマワリ、オオハンゴウソウ(ルドベキア)、ナルトサワギク、オオカワヂシャ、ナガエツルノゲイトウ、アレチウリ、ボタンウキクサなどが対象です。

・また、環境省は外来生物法に基づく規制は課されないが、生態系に悪影響を及ぼしうる外来種を要注意外来生物としてリストを作成、 公表しています。


◆侵略的外来種

・外来種の中でも、移動先で分布拡大したときに、在来種の絶滅につながるおそれがあるなど、とりわけ生態系や人間の生活に大きな影響を及ぼすようなものを、とくに侵略的外来種(invasive alien species)といい、これらは侵入種と呼ばれることもある

・人間活動のグローバル化に伴い、侵略的外来種は世界規模で広がっており、多くの在来種が絶滅の危機にある。このため2010年の生物多様性条約締約国会議(COP10)で合意した生物多様性を守るための「愛知目標」には、侵略的外来種対策の必要性が盛り込まれた。
侵略的外来種は地域によって異なり、日本では問題のない魚のコイ、海藻のワカメ、植物のクズなどは、北アメリカでは侵略的外来種となる。外来種のおよそ5~20%が侵略的外来種に該当するとされている。

・IUCN(国際自然保護連合)は世界的にみて特に侵略的な外来生物100種類を「世界の侵略的外来種ワースト100」として選定・公表しました。
植物については36種がリストアップされていますが、その中には私たちが良く目にする下記のようなものが入っています。

 アメリカクサノボタン、イタドリ、エゾミソハギ、カエンボク、キバナシュクシャ、ギンネム、クズ、チガヤ、ハリエニシダ、ホテイアオイ、ランタナ、ワカメ
非常に身近なイタドリ・エゾミソハギ・クズ・チガヤなどと共に、海草のワカメが入っているのは驚きですが、ここにランタナも含まれているのです。

(※環境省の方でこのリストと日本の「特定外来生物」「要注意外来生物」を対比した表を作成していますので、興味のある方は下記を参照下さい。
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/kyosei/23-1/files/1-10-2.pdf)

・日本生態学会が公表した「日本の侵略的外来種ワースト100」に含まれる植物は下記の通りです。
アカギ、アレチウリ、イタチハギ、イチビ、オオアレチノギク、オオアワダチソウ、オオオナモミ、オオカナダモ、オオキンケイギク、オオフサモ、オオブタクサ、オニウシノケグサ、外来種タンポポ種群、カモガヤ、キショウブ、コカナダモ、シナダレスズメガヤ、セイタカアワダチソウ、タチアワユキセンダングサ、ネバリノギク、ハリエンジュ(ニセアカシア)、ハルザキヤマガラシ、ハルジオン、ヒメジョオン、ボタンウキクサ、ホテイアオイ、イチイヅタ

 上記の「世界の侵略的外来種ワースト100」と重複するものもありますが、私がこのブログで、河川敷で見掛けた花として紹介している、結構身近な植物が多くて驚かされます。



 以上少し長くなりましたが、ランタナについては、日本における規制は無いようですが「世界の侵略的外来種ワースト100」には含まれていますので、栽培しない方が良いでしょう。
 その最も大きな理由が、特に熱帯地区では、繫殖力が強すぎる点で、他の植物を圧倒して行きますが、最近身近に感じる日本の温暖化が進むと、多いに勢力を増すことも危惧されます。
 また、種には「ランタナン」という毒が含まれていて、種を食べると腹痛や下痢、呼吸困難、最悪の場合は死に至る可能性もあるようです。(まさ)


ランタナ

撮影中にアゲハチョウが立寄りました。

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