大阪の国立民族学博物館。
エチオピア、タール沙漠、ベンガル、ネパール、瞽女、志人、モンゴル、マリ。はじめてネパールを旅したときにバスの窓から売りつけてきたサーランギという楽器の歴史、モンゴルのシャーマニズムと現在のラップなんて実に興味深いものだった。
とくに瞽女さんについての展示は足を止めてじっくりと観た。瞽女唄という口承文芸は「瞽女が唄う唄が瞽女唄だ」とのことばの通り、雑多で多種多様な要素を含み持つものであった。伊平タケ、杉本キクイ、小林ハルと3人の瞽女さんの唄を聴き比べることができ、あまりのちがいに驚かされる。そして家々で受け取るコメや大きな風呂敷の旅道具による実感。展示の中には越後瞽女人形があって、「大和物産作」とある。これは僕が持っているものとたぶん同じ、横尾元則作だ。新潟の中学校教師だった人らしい。
それからラッパーの志人(シビット)による作品も鮮烈だった。それは原稿用紙に綴った詩の韻律を線でつなぎ合わせるもので、ちょっとくらくらする。
示唆するものが多いし音楽家の方々も足を運んでみては。
●参照
ヒップホップ・モンゴリア(と川崎とケープタウン)
橋本照嵩『琵琶法師 野の風景』
橋本照嵩『瞽女』
ジェラルド・グローマーさん+萱森直子さん@岩波Book Cafe
ジェラルド・グローマー『瞽女うた』
篠田正浩『はなれ瞽女おりん』