Sightsong

自縄自縛日記

齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』

2018-03-29 00:08:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(JABARA、1996年)を聴く。

Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b, ching)
Kazue Sawai 沢井一恵 (koto)

まるで対をなすようなソロ作品『パナリ』が西表島の海岸で演奏され、波の音が入り周囲の空気と融合するような感覚を与えるのに対し、『八重山游行』は石垣島の「アトリエ游」で録られており、開と閉とによる違いが印象的だ(ただし、『パナリ』の5曲目だけは『八重山游行』の翌日に同じ場所で沖縄の音楽家たちと録られたものである)。

それだけでなく、『八重山游行』での演奏は、いまのテツさんのそれとも異なっているような感覚がある。共演した沢井一恵さんの存在によるものか。それとも韓国音楽の影響によるものか。その場と時間において音楽を完結させようとする意思があったのかなと思えたりもする。

この魅力的な2作品を聴くと、また、琉球や奄美の方に接近するテツさんの音楽を聴きたいと思う。ユーラシアンエコーズのひとつの響きとして。

●齋藤徹
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 

●沢井一恵
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)


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2 コメント

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たしかに (齋藤徹)
2018-04-01 22:37:10
この録音は特殊事情の下で行われました。もう言っていいと思います。公演は2日連続でした。1日目終演後、沢井忠夫さんが熊本でクモ膜下で倒れたという報告がありました。2日目一恵さんはコンサートキャンセルして石垣島から熊本に向かうものだと思っていましたが 演奏するとおっしゃっての演奏がライブ録音されたものです。奇跡のように熊本大学に、当時最先端技術のカテーテル手術の専門医がたまたま外国から帰ってきていて一命を取り止めました。次に倒れた時は亡くなります、と一恵さんだけに伝えられていたそうです。一年後2度目が起こり医師の言う通りになりました。
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驚きました (齊藤)
2018-04-01 23:46:03
ありがとうございます。音にそういったことが反映されたのかもしれないのだと理解しました。うっかり印象を書いてしまいましたが、それにしても驚きました。
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