Sightsong

自縄自縛日記

これから行きたいところ、梅佳代『男子』、ジュゴンの映像

2007-05-31 17:07:58 | 写真
近々のものとしては、以下の写真展、映画、勉強会に行ってみたいと思っている。

● 須田一政の写真展『千代田の松』(6/1-23、PAST RAYS) → リンク → 報告

皇居脇の箱庭のような場所、また妖気が漂う予感。

● 石元泰博の写真展『シブヤ、シブヤ』(6/4-30、フォト・ギャラリー・インターナショナル) → リンク → 報告

『シカゴ、シカゴ』の巨匠が、ライカM2ではなくキヤノンEOS-1Vで如何に渋谷に斬り込んだか。

● 宮下マキの写真展『short hope』(5/25-6/18、パラボリカ・ビス) → リンク → 観なかった

体臭の漂うフィルム。

● 東京平和映画祭(7/7、国立オリンピック記念青少年総合センター) → リンク

『戦争をしない国 日本』や、小林アツシ氏の『軍需工場は、今』などを上映。

● 柴田昌平監督『ひめゆり』(5/26-、ポレポレ東中野) → リンク → 報告

見なければならない気がする。

● 写真展 『新基地建設に襲われる海とシマ。人々は闘う』(6/15・16、世田谷区立代田区民センター) → 報告

山本英夫さんはペンタックスLXを使っているそうだ。

● 講座 『わが国の安全保障の考え方と米軍再編』(6/15、浦安市民プラザWave101サロン5) → 行けなかった

下道直紀氏(大田昌秀参議院議員の政策秘書)による講演。

● 『沖縄の海も山もクニ(日本)のものかッ!!』(6/9、イーストステージいけぶくろ) → リンク → 参加報告

山内徳信氏、安次富浩氏、平良夏芽氏による発言。
辺野古で闘っている方々のお話を聴きたい。

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西新宿のエプサイトで、梅佳代の写真展『男子』を観た。

子どもが鼻にかっぱえびせんを詰めたり、するめを挿したり(エクトプラズムみたい)、まぶたをひっくり返したり、頬でたこ焼きを作ったり、ガンとばしたり。腹からクックックッと笑いがこみ上げてくる。子どもってバカだな、でも自分も、(多分)誰もがバカだったんだよなとしみじみする。ガキっていいなと素直に思った。

キヤノンのEOS5でカラーネガを使い、エプソンのプリンターで出したものみたいだ。こうなると何を使ったかも、フォーカスの甘さも手ぶれも全く関係ない。



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今日(2007/5/31)、日本テレビ「ZERO」で、ジュゴンが泳ぐ様子を辺野古の水中から撮影した映像が流された。キャスターがはしゃいで「ペット」的に見せる方法はどんなものかと思ったが、最後に、環境アセスメントの重要性を述べてカメラを見つめるところ、きっと「事前調査」というえせアセスへの批判はここまでしかできないのだろう。

以前(2007/4/1)、やはり日本テレビで放映された『ドキュメント'07 「ジュゴンとウミガメと米軍海兵隊」』は、ダイジェストを以下で見ることができる。ジュゴンとウミガメが一緒に泳ぐ姿は必見だ。

→ ダイジェスト映像

ジュゴン保護に向けた署名は以下。(1人の署名が大きな力につながるはず。)
→ 『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

※1550名くらいにまで増えている。
英語だが名前をローマ字で入れて(匿名希望ならAnonymousにチェック)、次のページで必須項目(required)に記入するのみ。名前(または匿名)とメッセージのみ公表される。画像も可。

ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm

2007-05-30 21:32:41 | アヴァンギャルド・ジャズ
1999年の初来日はいろいろあって目撃できなかった、ミッシェル・ドネダ
今回はもう4回目の来日だったそうだ。

ドネダを観るのも、入谷の「なってるハウス」に行くのも初めてだ。2007年5月22日、ツアーの最終日。

ドネダはソプラノサックス1本で勝負。ソプラノ「らしい」音が発せられることも、もちろん何かのクリシェのようなメロディが奏でられることもなかった。鳥のような声、風の音、痙攣、咆哮、彷徨。ただ、あえて音数を多くしたという、齋藤徹のベースともども、1時間の長時間にわたるインプロヴィゼーションはまったく飽きることがなかった。

やはりこの音楽は、本人の存在(目の前に生きているということ)、挙動、振る舞いがあってこそ、さらに刺激的だと思った。帰宅してから改めてCDを聴くと、親しみがわいた。とっつきにくいようでいて人間的な音楽である。

カメラはライカM3にペンタックス唯一のライカマウントレンズ、Pentax-L 43mm/f1.9 Specialを付けた。やや明るかったので、ISO1600相当でf2、1/60で撮ることができた。しかし、何故だか「団体さん」が入って後ろのバーカウンター前からしか聴くことができなかったので、90mmくらいでもよかったかもしれない。このレンズでいつも感じるのは「中庸」、そして「上品さ」であり、好きなのだが、インパクトに欠ける気もする。


ミッシェル・ドネダ+齋藤徹 Leica M3、Pentax-L 43mm/f1.9 Special、Tri-X(+2増感)、Gekko 2号


ミッシェル・ドネダ+齋藤徹 マウスピースを外して吹いた! Leica M3、Pentax-L 43mm/f1.9 Special、Tri-X(+2増感)、Gekko 2号


『クレフの解剖学』(ソロ、Potlatch)


『Temps Couche』(琴の沢井一恵、ヴォイスのベニャ・アチアリとのトリオ、Victo)

『基地はいらない、どこにも』上映会

2007-05-30 08:24:32 | 沖縄
『基地はいらない、どこにも』上映会(2007/5/29、文京シビックセンター)に行った。参加者20名くらい。
これを作った小林アツシさんが、上映後、米軍再編や日本の基地についての現状を報告された。

基地近くの住民の方々、反対の行動を起こしている方々、そして先日亡くなった辺野古の金城祐治さんの映像を目の当たりにすると、どうしても胸が痛くなる。そして、実態に基づくルポであり説得力がある。

米軍再編特措法が先日成立してしまい、ますます自治体、そして間接的には住民の「頬を札束で叩く」ことがエスカレートしている。映像には、辺野古のみならず、岩国、座間、相模原、鹿屋などで、如何に高圧的・暴力的なことが行われ、如何に住民や地方政治の中に歪みが生じさせられたかが記録されている。

岩国での基地に関する住民投票は、反対多数という結果となる。しかし、反対票を投じつつもある住民女性が言った言葉が気になった。「政府の決めたことだから、いつまでも嫌とは言ってられない。」

住民として、また他の地域のことも考えた「良心」ある国民として、自らの意思を表明することこそが、「放っておくとろくなことをしない」国家を良い方向に導く手段であろうと思う。しかし、実際には、まだまだ「お上」のことが絶対であり、「偏った」意見をタブー視する傾向はあるのだろう。

その点で、鹿屋の女子高生が皆の前で言った、「鹿屋だけでなく沖縄のことも考える」心のあり方には、とても共感させられた。ここの部分だけでも、多くの人に見てもらいたいと思った。

小林アツシさんは、以下の点も指摘された。

●辺野古の「事前調査」は明らかに環境アセス法違反であること
●重工メーカーを中心に軍需工場化が進んでいること
●「仮想敵国」を想定するからこそ軍備が際限なく進んでいること
●日本の防衛は二次的なもので、米軍の戦争協力が主目的であること
●辺野古は「普天間代替」ではなく、もともと米軍の計画にあったこと
 (つまり普天間が戻るためには辺野古建設が必要という論理は嘘)
●沖縄の選挙で自民党が勝ったからといって、基地はもう争点ではないこと
●辺野古への自衛隊派遣が本土で報道されないこと


やはり我々の考える争点、「軍がなければ北朝鮮や中国が攻めてくるのでは?」「米軍に協力しないと今後守ってくれないのでは」ということが本質ではなく、小林アツシさんの言う「基地は激しく反対しなければ拡大し拡散し機能強化する」がポイントなのだろう。

上映会のあと、近くの居酒屋で小林アツシさんを囲む。他の参加者の方も含め、実態と経験に基づく口コミこそが重要だと思う。

→ 小林アツシさんのブログ(この映像のDVDも廉価に購入できる)





松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2

2007-05-28 22:28:38 | アヴァンギャルド・ジャズ
◆反対署名(1人の署名が大きな力につながるはず。) →
『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

※さらに増えて1500名まぢか。岡山の保母さんありがとう!(事務連絡)
英語だが名前をローマ字で入れて(匿名希望ならAnonymousにチェック)、次のページで必須項目(required)に記入するのみ。名前(または匿名)とメッセージのみ公表される。画像も可。

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私の師匠のライヴ、新宿ピットイン、2007年5月18日。
渋谷毅オーケストラ、エッセンシャル・エリントンなどはこれまでに何度も観ているが、リーダーでのライヴを観るのは初めてかもしれない。まったく不肖の弟子である、まあ実際に下手なわけだが(笑)。

加藤崇之(ギター)、水谷浩章(ベース)、外山明(ドラムス)とのカルテットだが、なぜか松風さんはフロントではなく一番後ろに居る。翌日確認したら、丁々発止のやりとりをしなければならないし、フロントに出ても他のメンバーが自分に合わせてくれるわけでもないし、皆が見える位置がいいのだと言った。

実際、とても個性的な音を出す中で、ささくれたようなサックスの音が溶け込んだり突出したりして、刺激的である。
この日はアルトサックス、テナーサックス、フルートの3種類を演奏していて、タイのチェンマイで作られたバンブーサックスは聴けなかった。

松風さんの最近作『Private Notes』、『ゲストハウスで昼寝』(両方Studio Wee)は、その不思議なサウンドと不思議なメロディが、いろいろな楽器の音とともに楽しめる。ジャズとアジア旅行が好きな人は聴くべきだ(笑)。

ライヴにはライカM3にズミクロン50mm/f2.0(Mマウントの3代目)を付けた。条件はというと、松風さんは奥まったところにずっと居るので、ほとんど真っ暗。ISO1600相当でf2開放、1/15といったところだ。普段のピットインよりは1段開けなければきついが、吹いているときの動きもあるので色々悩むところではある。

ズミクロンはカビ跡つきをカワマスカメラで安く買ったが、とても繊細・シャープで、素晴らしいレンズだと思っている。


松風鉱一 Leica M3、Summicron 50mm/f2.0、TMAX400(+2増感)、Gekko2号


加藤崇之 Leica M3、Summicron 50mm/f2.0、TMAX400(+2増感)、Gekko2号


松風鉱一 Leica M3、Summicron 50mm/f2.0、TMAX400(+2増感)、Gekko2号



浦安魚市場(6) きんめだい1勝1敗

2007-05-27 19:03:58 | 関東

本山賢司『[図解]さかな料理指南』(新潮文庫)を買った。
著者の本職はイラストレーターなので、作り方が図解されているのは当たり前として、料理が趣味のオヤジとしてのスタンスで書かれているのが面白い。分量とか時間もろくに書いていないので気が楽。きっと邪道な作り方もあるのだろうけど、読んでいると魚市場に行きたくなるのでまあよいことにする。

まず、旬が冬から春のきんめだいを使って、「トロ煮」と「カマの味噌漬け」を作ることにした。
浦安魚市場の「大信」で両方調達。すこし値引きしてもらった。

トロ煮」。ふつうの煮付けと違って、ダシ汁で煮るのが変わっている。あとは塩と醤油、最後に水溶き片栗粉。
新鮮なので生姜はなし。
身離れがよくて、皮の裏側がとろとろしてとても旨かった。

それから「カマの味噌漬け」。酒で溶いた味噌(自家製)をすり込んでおいて、ガスオーブンで200℃、30分。
あまり食べるところがない。もともと目玉は気持ち悪くて食べないので・・・。
今度はあら汁にすることに決めた。ただ、焼けた味噌も少ない肉も旨かった。息子は夢中になって探索していた。






三番瀬にはいろいろな生き物がいる

2007-05-25 01:16:05 | 環境・自然

きのう、テレビ東京の『クロージングベル』に出た。排出権の話。

1年ぶりの生出演で少し緊張した。まだ録画したのを見る気にならない(笑)。

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先週末、三番瀬フォーラムの干潟散策会に参加してきた。

ウォーターフロントなのに、親しみがあるのは川だけだ。以前に市川塩浜のほうから三番瀬を見に行ったことが何度かあるが、コンクリの垂直な護岸があるだけで、まったく接点がない。また、ダンプだけが止まっている道はごみが散乱していて物騒だった。実は、三番瀬フォーラムはこのような親水性のなさを以前から問題として取りあげていたとのことだ。

今回は船橋漁港から小船に乗ってのアクセス。船が着いたところは自然にできた貝の山、「ふなばし三番瀬海浜公園」から干潮時に歩いてきた人も多い。

スタッフに教えてもらいながら歩いていくと、次第にいろいろな生物がいることがわかってくる。

前に歩くマメコブシガニ(メスはお腹が膨れていて、オスとメスのつがいが多い)。砂団子のあるところにはコメツキガニ牡蠣。近くには最近話題になっている牡蠣礁がある。

アサリ、シオフキガイ、バカガイ、ムール貝、アカニシゴカイ。見渡す限り、有機物を食べた後の、実はきれいな糞だらけだ。モンブランと言われている。

マハゼの稚魚。 ボラの稚魚。岩には海綿や色んなイソギンチャクミズクラゲ、有毒なアカクラゲ。青海苔になるアナアオサ、刺身のツマになるオゴノリ

まだまだいて、とても一度では覚えられない。

まだ全長12ミリにもならない赤ちゃんハゼたちは、岸壁の泥場や藻場で浮遊生活をするんだ。だって、ちゃんと泳げないし、そんな遠くには行けないから、流れてくるプランクトンを食べてるんだ。そういえば、最近は行徳沖にも藻場はめっきりとなくなってしまったなあ。」(『僕らはハゼっ子』鈴木和明、文芸社)

ただ、この残された三番瀬も堂本知事の公約通り埋立計画が白紙になったのはいいが、さらに青潮などを防ぎ住民にとっての親水性を増すような動きも、またなかなか進まないようだ。さらには第二湾岸を造る検討もじわじわと進められている。

造ることが目的のインフラより、こちらのほうが明らかに大事だということは、見れば強く感じることができる

カメラは偏光フィルタを使うのでAE付が便利と思い、PENTAX LXにFA★24mm/f2.0と、PENTAX K2DMDにFA 77mm/f1.8 Limitedを使った。


海苔養殖に使うブイ、船橋漁港 三番瀬の海苔は旨いだろうなあ。 PENTAX LX、FA★24mm/f2.0、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


広くて気持ちいいが三番瀬のごく一部 PENTAX LX、FA★24mm/f2.0、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


牡蠣 PENTAX LX、FA★24mm/f2.0、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


マハゼの稚魚 PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


岩壁には海綿、閉じたぴかぴかのタテジマイソギンチャク ちょっと気持ち悪い PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


アカクラゲが死んでいた PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


目の前で地面から新鮮なゴカイの糞がにょろにょろ、これがモンブラン PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


モンブランだらけ PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


アナアオサの上にマメコブシガニを放したら死んだふりをした PENTAX K2DMD、FA77mm/f1.8、偏光フィルタ、Provia 400F、ダイレクトプリント


東松照明の「南島ハテルマ」

2007-05-23 23:16:28 | 沖縄
◆反対署名(1人の署名が大きな力につながるはず。) →
『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

※どんどん増えて1300名。英語だが名前をローマ字で入れて(匿名希望ならAnonymousにチェック)、次のページで必須項目(required)に記入するのみ。名前(または匿名)とメッセージのみ公表される。画像も可。

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最近、「琉球フォトセッション」を開始し、沖縄写真のアーカイブズ的なものを指向されている東松照明氏。最近古本屋で見つけた『カメラ毎日』(1972年4月号)では、東松氏の「南島ハテルマ」をフィーチャーしている。

海、フクギ並木、散髪屋、老人、少年、水をためるバケツ、共同売店。
さまざまな被写体に、緊張感を持って迫っている。被写体は笑っているのか、怒っているのか、ひきつっているのかもよくわからない。

同誌の中で、身近な都市をいまに至るまで撮り続けている児玉房子氏が、東松氏のこの写真群に対してやや否定的に「総合雑誌のグラビア」「アルバムふう」と表現している。これに対し、福田定良氏は「<文明の先端みたいなところ>から脱出して、ほっとするような形で写真を撮るという、そういう撮りかたしかしないんでしょうか」と挑発している。

児玉氏の答えはない。これは普遍的で、かつ、答えのない問題なのである。

東松氏は次のように語る。

いま、問題となっているのは、国益のためとか社会のためといったまやかしの使命感だ。率直な表現として自分のためと答える人は多い。自慰的だけどいちおううなずける。が、そこから先には一歩も出られない。ぼくは、国益のためでも自分のためでもないルポルタージュについて考える。
 被写体のための写真。沖縄のために沖縄へ行く。この、被写体のためのルポルタージュが成れば、ぼくの仮説<ルポルタージュは有効である>は、検証されたことになる。波照間のため、ぼくにできることは何か。沖縄のため、ぼくにできることは何か。


背負いすぎとも、また欺瞞にさえ感じられる恐るべき自負。
そのように批判することは簡単だが、しかし、この時点から35年を経てなお重い命題である。

他者であるとは何か。所詮他人とは他者であるという、トートロジーは充分認識されているか。小さい共同体に長年属している者同士なら他者ではないのか。歴史を共有していれば他者ではないのか。ヤマトゥはウチナーにとって何者か。

様々な考えや感情の相違、非共有はあるにせよ、私は、現在こそ問われるべきは「想像力」であると強く思っている。そのひとつが、他者の経験や感情を、他者になりかわって共有しようとする意志のことである。

(集団自決に関して)「今回、岩波書店と大江さんが訴えられて、この問題が改めて出てきているわけですが、訴えている側の主張とか、あるいはそれに同調するネットでの書き込みなどを見ていると、戦後を生き延びた島の人たちに対する思いやりといいますか、その人たちの気持ちを考える姿勢が、欠落している気がするんですよ。
(目取真俊氏の発言、『終わらない「集団自決」と「文学」の課題』での宮城晴美氏との対談、『すばる』2007年2月号)

当たり前のことだし私などが言うほどのことではないが、だからこそ少しでも発言すべきだと思うのだ。
東松氏の覚悟とそのマニフェストには、とても印象付けられた。


『時の島々』の表紙にもなっている写真。キヤノン・ぺリックスに28mm、トライXで撮られたもの。



森山大道と須田一政

2007-05-23 00:17:48 | 写真
日本の写真史に屹立する両氏の写真展を続けて観た。

森山大道『プロヴォーク』以来の、また須田一政『紅い花』などの、銀塩の粒子が目立つハイコントラストなモノクロ写真のイメージだった。しかし、今回の森山展はカラー、須田展はさまざまな作風であり、こちらの固定観念を裏切ってくれた。

須田一政「ニホンノ風景」(銀座ニコンサロン)。本人のメッセージを読むと、着地点を見出せない日本が念頭にあるようだ。夜のローコントラストな長時間露出が意外であり、すべて眼が喜ぶ。この人にかかると、街角のディテールや人の動きが突然ぬめぬめとし始める。那覇・国際通りの雑踏も1点あったが、こんな不気味な国際通りははじめてだ。この世を妖怪の世界と見ているとしか思えない。

須田一政は、最近、ニッツォのスーパー8カメラで撮影した8ミリフィルムを35ミリに複写した「OKINAWA」という作品群も発表している。随分オリジナルプリントを観たかったのだが、大阪でのみ展示されたので行けなかった。いろいろな表現手段を試す姿勢が一貫してあるということなのだろう。ただ、どれを観てもミクロなものへの執着、たとえばサルバドール・ダリがよく描いた群がる蟻の絵、あんな感じのパラノイア的な印象がある。

森山大道「SOLITUDE DE L'OEIL 眼の孤独」(丸善日本橋店)。森山大道の写真展は、この界隈では、2004年の丸の内オアゾ開店記念以来だと思う。北国や東京や香港などの飲み屋街、風俗店が、ざっくりざっくりと切り取られている。全てカラーだと、白黒のときの眼に刻印されるようなディテールとマチエールが身を潜め、スタイリッシュになるのが不思議だ。ただ、演歌的、人情が底にあるように思えた。




2004年の森山展


森山大道氏(2004年) Pentax LX、XR Rikenon 50mm/f1.7、何かのカラーネガ

『青べか物語』は面白い

2007-05-22 00:09:30 | 関東

山本周五郎の『青べか物語』、浦安・行徳近辺に住んでみて読むと、本当に面白い。
実際の地名をわざと判るように変えているのも楽しい。

浦安 → 浦粕
行徳 → 徳行
当代島 → 十台島
高梨家 → 高品家
江戸川 → 根戸川
今井橋 → 井前橋

といった具合だ。

主人公が住んでいるのは「蒸気河岸から百メートル北にある一軒家で、東は広い田圃、左右は草のまばらに生えた空地、西が根戸川の土手」だそうで、これは山本周五郎が浦安で五番目に住んだ、浦安橋のたもとあたりだろうか。木村久邇典『山本周五郎の浦安』(学芸書林、1973年)によると、「東京から行くと、浦安橋を渡りきってすぐ左側にある二階家で、浦安町では「近七さんの家」と呼ばれている」そうで、現在それらしい名残はあるものの他人の家なので確認できないでいる。何せ昭和初期のことだから、どうなっていても不思議はない。

オムニバス方式で、いろいろな挿話が、ゆったりとではありつつも、極めて切り詰めた文体で語られている。例えば、漁師たちの馬鹿騒ぎを感情移入して描いていたかと思うと、突然書き手は天に再浮上し、距離を置いて眺めるという感覚である。
所詮他人であったことを、山本周五郎は30年後の浦安再訪において誰にも覚えられていなかったことで再確認するのだが、連載当時からその萌芽はあったのだろうか。

川島雄三による映画『青べか物語』でも、そのようなよそ者の疎外感が描かれている。エンディング場面では、浦安住民が「何で先生は東京に逃げ出したか知ってるか?のぼりがおっ立たなかったのよ」と、浦安の女に迫られて逃げ続けたことをネタに嘲笑されている。原作の、「誰も覚えていない」という残酷な描写ほどではないが、これは主役がカッコつけた森繁久弥であったから仕方がないかもしれない。

主人公は「青べか」に乗って、「沖の百万坪」で釣りなどをして毎日を過ごす。この一部が旧江戸川の典型的なデルタである「大三角」(おおさんかく)であり、いまは「大三角線」という道路の名前になって残っている。大三角を埋め立てて作られたのが現在の東京ディズニーランドである。映画にはそのあたりの光景も出てくるが、どこでロケをしたのだろう。

その周り、現在は三番瀬として一部が残されるのみの干潟では、信じがたい漁があったとの記述がある。爪先立ちになってしばらく経つと、踵の下の影に魚が入ってくるので、それを踏みつけるのだ。獲れるのは鰈やあいなめ、わたり蟹などだそうだ。こればかりは信じられない。

登場人物には、「助なあこ」「倉なあこ」など、若い衆を意味するのに「なあこ」という呼び名を使っている。実際には、浦安西側の堀江や猫実では「なあこ」だったが、隣の当代島(ここでは十台島)では「あにい」と呼んでいたとのこと(三谷紀美『浦安・海に抱かれた町』筑摩書房、1995年)であり、近場でもずいぶんと異なるものだ。

ジモティーの気分(私も所詮よそ者なので)で、何度も読みたくなる本である。




「吉野屋」(原作では「千本」)の前の土手 木村久邇典『山本周五郎の浦安』(学芸書林、1973年)所収


明治41年(1908年)の地図 浦安市郷土博物館『常設展示解説書』所収


主人公は「沖の百万坪」で声をかけられる 川島雄三『青べか物語』


魚河岸ひとの町

2007-05-21 08:12:45 | 関東

本橋成一氏50歳前のモノクロ写真集。

『老人と海』(与那国島の写真)や『サーカスの詩』などの氏のカラー写真よりも、個人的にはモノクロ写真のほうに惹かれる。場所、人、そこにある物、すべてに親近感を抱いてしまう不思議がある。

きっとライカM6やキヤノンF1などを持って、一澤帆布のバッグを肩に、飄々と笑って市場を歩いていたのかなと想像させられた。

いま築地市場は豊洲への移転が検討されている。機能を拡張することは悪い話ばかりではないと思うが、豊洲の土壌汚染対策の不十分さや、残された築地の土地売却など、嫌な経済至上主義ばかりが目に付く。それらとは対極にある、人間至上主義が顧みられるべきだと感じた。 →本橋氏の最近の写真展


辺野古戦争(3)

2007-05-19 09:06:28 | 沖縄
いよいよ、普天間基地の代替に辺野古に基地建設を強行するための事前調査(えせアセス)が、5月18日に開始された。それも、良心ある人々を抑えつけるため、自衛隊の力を借りて。

5月19日朝、全国紙(朝日、毎日、読売)および沖縄紙をネットで読んでみた。あらためて、全国紙の報道の偏りが見える。
沖縄タイムス、琉球新報ともに(当然ながら)大きくトップでとりあげている一方、産経にはなんとこのニュースがアップされていない。

私を含め、大多数の者は現地に行くことができない。しかし、このような強権的政策、しかも将来に禍根を残す米軍の戦争協力と環境破壊を看過してはならないし、報道を自粛している大手メディアでのみウォッチしてもアンバランスだということができるだろう。「良心」がある私達にできることは注視と記憶、それからできれば反対の声(ブログでも署名でも友達・家族への口コミでも)

◆ジュゴン

ジュゴンについて、朝日、毎日は言及していない(サンゴのみ)。

◆「事前調査」がまともな環境アセスでないこと

朝日、毎日ともに、アセスに先立つ調査とのみ説明している。
(毎日は別の記事で、アセス法違反とのコメントを紹介しているが。)

◆反対する方々の行動

読売は、写真のキャプションに「反対派のカヌーに取り囲まれた調査船」と付しているが、調査船が受動態になっているところがどうもひっかかる。

◆批判的意見

ここが新聞記者の肝だと思う。

朝日は、防衛施設庁から防衛省に「国家行政組織法に基づく官庁間協力の一環」として依頼があったとの久間防衛相の説明について、両省庁は統合される予定の「身内」であるとし、形式を悪用したことを暗に指摘している。また、海自の潜水士が、反対する方々も気づかないうちに調査開始したことをあえて批判的に指摘しているように見える。

読売は批判もなにもなし。上述の「取り囲まれた」にあるように、反対する方々を突き放しているように見える。

毎日は、米軍と自衛隊との一体化のため、また米国へのアピールのため、安部首相が基地移設計画を急がせているとの説明。比較的長文の記事ながらトーンは弱い。

◆記事
朝日新聞「沖縄・辺野古崎の環境現況調査着手 近海に掃海母船待機」(5/18 11:17)
読売新聞「シュワブ沿岸部海域で施設局が調査開始、海自潜水員も参加」(5/18 11:49)
毎日新聞「普天間移設調査:海自参加 「米軍と一体化」加速」(5/19 1:14)
琉球新報「潜水作業に自衛隊 国、機器設置に着手」(5/18 16:01)など
沖縄タイムス「海自、海域調査参加/辺野古沖に機材設置」(5/18夕刊)など

◆反対署名(1人の署名が大きな力につながるはず。) →
『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

※私の2日前の署名時には828名、いま(5/19 9時)は989名とどんどん増えている。英語だが名前をローマ字で入れて(匿名希望ならAnonymousにチェック)、次のページで必須項目(required)に記入するのみ。名前(または匿名)とメッセージのみ公表される。画像も可。



『「癒しの島」から「冷やしの島」へ』、および『辺野古の海は “波 高し”』(市民メディア・インターネット新聞JANJAN)での指摘に沿い、「反対派」という、特定のイメージに良心ある方々を押し込める用語を変え、暫定的に「反対する方々」としました。

辺野古戦争(2)

2007-05-17 03:46:08 | 沖縄
沖縄・普天間基地の代替として、政府の意向のみで進められている辺野古基地建設に建前上必要な「事前調査」(えせアセス)のため、自衛隊が辺野古を取り囲んでいる。

自衛隊が、住民と反戦・環境保護のため集まった人々に示威する。
自衛隊が、「良心ある人々」「地元の人々」を、軍備のため抑圧する。


「たかが調査」でも、「事前調査はニュートラルなもの」でもない。

再軍備・環境破壊に少しでも関心があるなら、「良心」ある「国民」でありたいなら、この異常事態を注視すべきだ

◎海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」は、辺野古近くに到着している様子。
◎「ぶんご」から飛んできたと考えられる大型ヘリ(岩国基地所属)が、
  辺野古上空を飛び回っている。
◎海上自衛隊の潜水士が、海中への調査機器設置を行う。
◎5/18(金)に調査が開始される様子。

琉球新報記事 → 

基地反対、国家の暴力についての声 →
『NO BASE HENOKO TOKYO』
『辺野古から緊急情報』
『「癒しの島」から「冷やしの島」へ』
『きっこの日記』
『リーフチェッカー’さめ’の日記』

反対署名(1人の署名が大きな力につながるはず。) →
『ジュゴンを守るための環境アセスを!』

ダブル・レインボウ

2007-05-15 22:49:50 | 沖縄
われわれの国はイヤーなイヤーな状況にあるが、ちょいと、昨夏、沖縄の奥間で見た「ダブル・レインボウ」を思い出した。
突然の雨、樹の下で息子と雨宿りした後。
雨の後には虹。軍備、環境破壊、拝金ではなく虹。


奥間の虹、2006年夏 PENTAX Espio Mini、シンビ200、ダイレクトプリント

歌舞伎町の「ナルシス」、「いまはどこにも住んでいないの」

2007-05-14 23:38:03 | アヴァンギャルド・ジャズ
新宿歌舞伎町、コマ劇場の近く、めっきり呼び込みが少なくなったが依然猥雑なところに、バー「ナルシス」がある。開店時間がだんだんルーズになってきて、いまでは夕方5時から、それでも5時ピッタリには開いていないこともしばしばだ。

フリージャズが大好きなママ、川島さんがいる。と言うと、「普通のジャズもかけるのよ」と怒られるが。

新宿界隈では、ゴールデン街の「シラムレン」と並んで、ジャズの趣味が嬉しく偏っている。しかし、「シラムレン」には、いちど終電を逃して朝まで居たことしかないので、よくは知らない。

先日の週末、新宿で仕事が終わったので、「ナルシス」に立ち寄った。
実に珍しく6人くらいのお客さんが居て、これもまた珍しくオーソドックスなアート・ファーマーの『ブルースをそっと歌って』がかけられていた。そのあと川島さんは何のつもりだろう、アーチー・シェップとダラー・ブランドのデュオで「人間の証明のテーマ」。

それから、初めて聴く歌声。尋ねると、ロバータ・フラックの『やさしく歌って』。いま気がついたが、アート・ファーマーのアルバム名からの連想だったのだろうか。気に入ったので、ジャズ色の強いデビュー作『ファースト・テイク』をかけてもらった。ジャズ以外あまり知らなかったのだが、とてもいい声だ。妻にも教えてもらい、さっそく買って聴いている。

「ナルシス」の壁には、田村隆一の色紙が飾ってある。
川島さんは、「ナルシス」を始めたお母さんのところに、田村隆一氏が色紙を風呂敷に包んで持ってきたのを覚えているそうだ。

いまは
 どこにも
  住んでいないの
          隆一


詩集『5分前』の、「港のマリー」という詩の一節だ。港のマリーは横浜に居た白いドレスに白い化粧の娼婦、『ヨコハマメリー』という映画にもなっているらしい。

「いまはどこにも住んでいないの」
それはマリーだけの話ではない
先進工業国の人間ならみんなそうじゃないか
平和は「未来」の危機の情報源と恐怖の薬物にすぎない
戦争とテロと内戦だけが平和におびえる心を麻痺させてくれるだけだ
人類そのものがボート・ピープルなのだから
やっと陸地にたどりついてみたら
港のマリー
無数の氷河


(田村隆一「港のマリー」(部分)、『続続・田村隆一詩集』(思潮社)所収)



ナルシスでは、何度もフリージャズのソロライブを聴いた。

チャールズ・ゲイルの初来日(97年)は、ギュウギュウで、膝の皿が割れそうだった。そこで目撃したテナーサックスは、CDにもなった。

バール・フィリップスのベースは、50センチも離れていなかったので、弓で弾くときにはしばしばスウェーして避けなければならなかった。

ロル・コクスヒルのサックスも楽しかった。

最近はあまりライブをやっていないみたいだ。川島さんは、だって来ないから・・・と言った。実際、最近は即興演奏家が来日することが少ないような気がする。元もとれないかもしれないしなあ。


ロバータ・フラック『ファースト・テイク』 ホーンセクションが凄くカッコいい


チャールズ・ゲイル『ソロ・イン・ジャパン』 ジャケット裏には歌舞伎町で佇むゲイルの姿がある


バール・フィリップス、ナルシス(98年頃?) Pentax MZ-3、FA 28mm/f2.8、プロビア400、ダイレクトプリント


川島さんのお母さんの追悼記事(朝日新聞2001/8/27) 探したらとってあった

浦安魚市場(5) 海鮮チヂミのつもりがつぶ貝と鮎

2007-05-13 23:24:38 | 関東

テレビの『チューボーですよ!』でマチャアキが作っていた海鮮チヂミが余りに旨そうだったので、翌日、海老、イカ、あさりを調達に魚市場に出かけた。気の迷いが生じて、「えびの桑田」で、帆立の貝柱と紀州の天然鮎を買ってしまった。さらに「泉銀」ではつぶ貝。

海鮮チヂミ、テレビでは分厚いものだったが、それは素人には難しい。大きな鉄板で焼くお好み焼きとはわけがちがうのだった。葱と帆立とあさりを入れたらもうひっくり返せなくなった。ガスオーブンで救済し、旨いものになったが、見栄えが悪いのでここには紹介しない。薄く、小さいものが良い、これがチヂミの教訓

は多目に塩を振ってグリルで塩焼き。ほこほこして旨い。ワタも一緒に焼いたが、「うるか」というわけにはいかない。
つぶ貝はガスオーブンで軽く塩焼き。見かけとは違い、食べやすく上品な味である。

先週は「松井」で穴子、「丸正」で中落ち。

穴子は煮た後、最後に煮詰めたタレをつけてグリルで焼くのがポイントみたいだ。煮て焼いて、再度タレにつけただけではあっさりした味になる。
中落ちは叩いて葱と合せれば、ご飯にぴったり。3人で200グラム500円、充分な量だった。
今回は、穴子、中落ち、それから卵なんかを酢飯に乗っけて、息子にも手伝ってもらって楽しいちらし寿司になった。

まあ備忘録である。いつ行っても魚市場は面白い。支離滅裂に買ってしまいそうになるのが玉に傷だ。先週仕事で訪れた札幌の「新二条市場」では、生鮮食品だからと思い必死に我慢したが・・・。


鮎の塩焼き


つぶ貝の塩焼き


穴子


まぐろの中落ち


「泉銀」の森田釣竿氏がやっている「漁港」のCDは発売間近(港は逆さ文字)