Sightsong

自縄自縛日記

近藤真左典『ぼくのからだはこういうこと』、矢荻竜太郎+齋藤徹@いずるば

2019-03-24 00:02:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

大田区のいずるば(2019/3/21)。

近藤真佐典さんによる映画『ぼくのからだはこういうこと』の上映があった。完成一歩手前版である。

映画は、ダウン症のダンサー・矢荻竜太郎さんを追っている。かれのパフォーマンス、普段の生活や練習、仕事、周囲の人たち。もちろん竜太郎さんはユーモラスで真面目で不真面目だ(岩下徹さんに、ノートをちゃんと読み返すようにと言われたときの表情には笑ってしまった)。

そして圧巻は、2018年の長野での公演の映像。居合わせた人たちに聞いてはいたが、齋藤徹、久田舜一郎、ザイ・クーニンの創り出す異世界感と緊張感が半端ないことが伝わってくる。ここに竜太郎さんと皆藤千香子さんとがダンスで入っていくのだが、それも三氏の迫力のあまりに最初は容易でなかったようだ。しかし踊り出してからは生命力に火が点いたごときである。また自分で直接観ていたら印象も違ったのだろうな(わたしも行きたかったのに、アメリカから帰国する日で無理だった!!!)。あとでこの場面が長かったかどうかという問いが近藤さんからあったが、わたしはもっと観ていたかった。

映画の上映前に少しと、終わってから、竜太郎さんとテツさんの共演。竜太郎さんのダンスはこれまでにも観ているのだが、やはり何かが違うのだ。動きの丸さと柔らかさということはもちろんあるのだろうけれど、もっと大きい点は、方法論を無化する衒いのなさなのだろう。映画のなかで岩下徹さんが言っていたとおりである。そして不思議なことに、テツさんの発するノイズやもろもろの音の群れと、竜太郎さんの踊りとが、まったく違う表現と思えなくなってくる。

そのあとのトークでも、テツさんや近藤さんの興味深い話がいろいろあった。ダウン症。音楽家。目の前のこと。もっと長くて広い視野。意図的に対置させるなら、狭いと広い。短いと長い。違うと同じ。偶然と必然。原因と結果。どちらかの価値が何かの理由に依拠してもう一方の価値に勝ったり劣後したりすることはない。この往還が人間を視ることだと思えてならない。

懇親会もとても楽しかった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●近藤真左典
武重邦夫・近藤正典『父をめぐる旅 異才の日本画家・中村正義の生涯』(2012年)

●矢荻竜太郎
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)

●齋藤徹
2018年ベスト(JazzTokyo)
長沢哲+齋藤徹@ながさき雪の浦手造りハム(2018年)
藤山裕子+レジー・ニコルソン+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@喫茶茶会記(2018年)
永武幹子+齋藤徹@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo(2018年)
川島誠+齋藤徹@バーバー富士(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
ローレン・ニュートン+齋藤徹+沢井一恵『Full Moon Over Tokyo』(2005年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(1996年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 


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