山吹町のコ本やにて。
詩人の金時鐘さんは、自らが逃げてきた済州島と、1959年からの北朝鮮帰国事業のことを想い、1970年に詩集『新潟』をものした。
そして李和晋さんは新潟を訪れ、帰国事業で使われたであろうバス通りや曽我ひとみさんが拉致された通りを歩き、撮影する。写真群は『新潟』の構成で配置されている。李さんは「近くて遠い他者の生きた/生きている時間の延長上に、ルーツを複数化し、乱反射させていくことを試みます」と書いている。このような写真作品でこちらの視線を乱すのはみごと。
引き裂かれたものはさまざまだ。もとより金時鐘さんの使うことば(かつての支配者のことば)自体が「ごつごつ」している。ことばにも時間にも人間の縁にも立脚地にも断絶がある。以前にアーティストの阪田清子さんが『新潟』のテキストの上に塩の結晶を置いた作品があった。簡単に扱ってはならないことばがある。
求めあう/金属の/化合のように/干潟を/満ちる/潮がある。/一つの石の/渇きのうえに/千もの波が/くずれているのだ。
(金時鐘『新潟』より、抜粋)
●済州島
ハン・ガン『別れを告げない』
杉原達『越境する民 近代大阪の朝鮮人史』
ヤン ヨンヒ『スープとイデオロギー』
済州島、火山島
済州島四・三事件の慰霊碑と写真展
済州島の平和博物館
済州島四・三事件69周年追悼の集い〜講演とコンサートの夕べ
『済州島四・三事件 記憶と真実』、『悲劇の島チェジュ』
オ・ミヨル『チスル』、済州島四・三事件、金石範
文京洙『済州島四・三事件』
文京洙『新・韓国現代史』
金石範、金時鐘『なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか 済州島四・三事件の記憶と文学』
金石範講演会「文学の闘争/闘争の文学」
金石範『万徳幽霊奇譚・詐欺師』 済州島のフォークロア
金石範『新編「在日」の思想』
水野直樹・文京洙『在日朝鮮人 歴史と現在』
済州島四・三事件と江汀海軍基地問題 入門編
金時鐘『背中の地図』
金時鐘講演会「日本と朝鮮のはざまで」
金時鐘『朝鮮と日本に生きる』
金時鐘『境界の詩 猪飼野詩集/光州詩片』
細見和之『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』
『海鳴りの果てに~言葉・祈り・死者たち~』
『海鳴りのなかを~詩人・金時鐘の60年』
梁石日『魂の流れゆく果て』(屋台時代の金石範)
仲里効『悲しき亜言語帯』(金時鐘への言及)
林海象『大阪ラブ&ソウル』(済州島をルーツとする鶴橋の男の物語)
金賛汀『異邦人は君ヶ代丸に乗って』(済州島から大阪への流れ)
藤田綾子『大阪「鶴橋」物語』
鶴橋でホルモン(与太話)
三河島コリアンタウンの伽耶とママチキン
尹東柱『空と風と星と詩』(金時鐘による翻訳)
『越境広場』創刊0号(丸川哲史による済州島への旅)
徐京植、高橋哲哉、韓洪九『フクシマ以後の思想をもとめて』(済州島での対談)
新崎盛暉『沖縄現代史』、シンポジウム『アジアの中で沖縄現代史を問い直す』(沖縄と済州島)
宮里一夫『沖縄「韓国レポート」』(沖縄と済州島)
長島と祝島(2) 練塀の島、祝島(祝島と済州島)
野村進『コリアン世界の旅』(つげ義春『李さん一家』の妻は済州島出身との指摘)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(「Nostalgia for Che-ju Island」)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(「Nostalgia for Che-ju Island」)
吉増剛造「盲いた黄金の庭」、「まず、木浦Cineをみながら、韓の国とCheju-doのこと」
「岡谷神社学」の2冊
沖縄国際大学南島文化研究所編『韓国・済州島と沖縄』
●北朝鮮帰国事業
ヤン ヨンヒ『スープとイデオロギー』
小栗康平『伽倻子のために』、『泥の河』
李恢成『伽揶子のために』
水野直樹・文京洙『在日朝鮮人 歴史と現在』
井筒和幸『パッチギ!』
テッサ・モーリス=スズキ『北朝鮮へのエクソダス』
和田春樹『北朝鮮現代史』
『海鳴りのなかを~詩人・金時鐘の60年』
『東京のコリアン・タウン 枝川物語』
道岸勝一『ある日』
菊池嘉晃『北朝鮮帰国事業』、50年近く前のピースの空箱と色褪せた写真