Sightsong

自縄自縛日記

うたをさがして@ギャラリー悠玄

2015-11-23 08:18:57 | アヴァンギャルド・ジャズ

数寄屋橋近くのギャラリー悠玄に足を運び、「うたをさがして」トリオを観る(2015/11/22)。

齋藤徹 (b)
さとうじゅんこ (vo)
喜多直毅 (vl)

2011年の震災のあと、テツさんは、被災地において、人の心に届くものとして歌と踊りを見直したのだという。とくにこのトリオにおいては「ことば」。それは、テオ・アンゲロプロスの映画(トニーノ・グエッラの手による脚本)からインスパイアされた日本語詞であり、テツさんの幼馴染の故・渡辺洋さんの詩であった。また、ガルシア・ロルカによるスペイン語の詩であり、アントニオ・カルロス・ジョビンのポルトガル語の歌曲であった。

さとうじゅんこさんの歌にはじめて生で接し、その眼と口とに視線が吸い寄せられてしまった。ジョビンの歌を「カンタ、カンタ」と、「イマジーナ」と、歓喜をたたえて発するとき、また、渡辺洋さんの詩を想いを込めて「ねばりづよく」と発するとき、言語によらず本質的に同じなのだとさえ感じられた。

喜多さんのヴァイオリンの音はやはり素晴らしいものだった。湧き出て流れ出てくる人間の音に加え、まるで虫の声、風の音、さらには沖縄の指笛まで(!)。

会場には、『おしゃべりなArt展』として、多くの作家による作品が展示してある。面白いことに、途中で3人ともギャラリーを歩き回り、数々の作品に付せられたことばやそれにより想起したことばを交互に発し、ことばによる乱しと刺激とを与える時間もあった(最後はテツさんによる「八千円・・・」にて会場爆笑)。そしてテツさんのベースが場に絶えず振動を与える。それはまるで、紙の上に置いた砂が、振動によってことばを形成していくようなイメージでもあった。

演奏が終わったあと、会場では、テツさんの還暦祝いを兼ねた宴(御馳走様でした)。バール・フィリップスの最近の体調がまだ心配であること、高柳昌行オーケストラが渋谷毅オーケストラに移行するときの最初のベーシストがテツさんであったこと、ドクトル梅津バンド結成時にエレキベースをどうかと誘われたことなど、お話を伺った。喜多さんは、来年(2016年)は、キッド・アイラック・ホールにてソロ演奏を何度かやるつもりだとのこと。何とか時間を見つけて駆けつけたいところ。

Fuji X-E2、60mmF2.4

●参照
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミッシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)

 

 


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