2011/10/21、東中野・ポレポレ坐
ミッシェル・ドネダ(ソプラノサックス)
ル・クアン・ニン(パーカッション)
齋藤徹(コントラバス)
工藤丈輝(ダンス)
上村なおか(ダンス)
柿崎麻莉子(ダンス)
矢萩竜太郎(ダンス)
何しろ4年ぶりに目の当たりにするミッシェル・ドネダである。今回、ツアーの最終日になってようやく足を運ぶことができた。会場は満員、ダンス派の人たちも多いのかなという印象だ。
やはりドネダのソプラノサックスの音は凄い。風、葉叢のざわめき、こすれときしみ、そしてサックスらしい共鳴音。ドネダの音が自ら世界を擾乱させる動きなのだとすれば、レ・クアン・ニンの奇妙なパーカッションは受けの動きのように感じられた。そしてテツさんの全身を使ったベースの響き。
閉ざされた空間における開かれた音楽なのかもしれない。3人がそれぞれ時空間に働きかけ、時空間自体がゆらぎ、どこからともなく音を連鎖的に響かせていく。会場では、その時空間にダンサーたちが凶区と狂区を創りあげては消していった(だって、舞踏は生命であり、同時に死体でもあるわけでしょう。狂とも凶とも言えるわけである)。
ツアーの「千秋楽」にあたって配られた「ご挨拶」には、「三人の共通意識は「倍音」です。そのため3人の内、誰がその音を出しているのかわからないというのがこのトリオの大きな特徴でしょう」と、テツさんが書いている。なるほど、聴く者としても印象がシンクロしたような感がある。
嬉しい時間だった。
ところで会場に居合わせたジャズ評論の岡島豊樹さんによると、12月初旬にセルゲイ・レートフが再来日するそうだ(>> リンク)。何とか行きたい。
●参照
○齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」
○齋藤徹、2009年5月、東中野
○齋藤徹「オンバク・ヒタム」(黒潮)
○久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、イザイホーを利用した池澤夏樹『眠る女』、八重山で演奏された齋藤徹『パナリ』
○齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』
○往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』
○ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm
○ユーラシアン・エコーズ、金石出
○横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』(ドネダに言及)