Sightsong

自縄自縛日記

翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F

2017-10-09 09:34:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

大泉学園のin Fに足を運んだ(2017/10/8)。ずいぶん久しぶり、菊地雅章のソロピアノを観て以来ではなかろうか。そして翠川敬基の演奏に接するのもここで故・井上敬三さんとのデュオを観て以来。

Keiki Midorikawa 翠川敬基 (cello)
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)
Naoki Kita 喜多直毅 (vln)

名前一瞥で仰天の弦トリオ。MCは喜多さんが担当した。齋藤徹さんも順調に恢復されている様子で何よりである。去年の今頃はテツさんもわたしも入院前で、それを思い出すと感無量。

ファーストセット。「Tres」(翠川)、弓弾きを慎重に重ねてゆく。テツさんの指弾き、喜多さんの速い繰り返しを経て、また重ね合わさるときには常にはじまりだという感覚がある。「Gumbo Soup」(翠川)ではテツさんの奇妙なイントロからはじまる。前の曲とは異なり、静の重なりではなく動の重なりのようだ。「Haze」(富樫雅彦)、擦れから盛り上がりまでの振幅が大きい。弓により共鳴しきる響きが三者三様のアーチを描き、空中で見事に交差した。「Wishing」(富樫)では3人の重層的な音、その中でも富樫雅彦らしい美しいメロディを翠川さんが弾き、テツさんが指で並走し、喜多さんが震えを表現した。翠川さんはオーネット・コールマンの「Lonely Woman」を引用した。大きな羽根がやはり空中で交差し合い、ユニゾンでは哀しみが創出された。

セカンドセット。「Invitation」(齋藤)では、コントラバスの官能がチェロとヴァイオリンにも波及し、この共振ぶりといったらない。「Valencia」(富樫)では喜多さんが震えながら旋律を奏で、そして3者が重なり合うと無防備な感情の昂りを覚える。演奏は軌道に乗り、喜多さんによる流れ星の音とテツさんのアルコが中心の翠川さんのもとに吸い込まれていくように思えた。「Bisque」(翠川)。テンポも音域も3つに分かれる、これを耳で追従することの快感がある。喜多さんが指でチロリと付けたアクセントが印象的だった。「あの日」(翠川)。さまざまな音がやはり中心に座る翠川さんのほうに収斂してゆく。テツさんの滑らかな弓弾きがドラマチックだ。最後は3人ともに地を震わせた。

来てよかった。 

Fuji X-E2、XF60mmF2.4 

●翠川敬基
1999年、井上敬三(1999年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
富樫雅彦『かなたからの声』(1978年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)

●齋藤徹
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン 

●喜多直毅
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)
http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)

 


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