Sightsong

自縄自縛日記

広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri

2016-08-01 23:23:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

なんとも凄いトリオ+1が共演するという。そして全員61歳。(2016/7/31)

Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
Kazuo Imai 今井和雄 (g)
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)
Jacques Demierre (p) (2nd set)

演奏前に、広瀬淳二さんが「今日はガット弦だって。大変なんだよ」と苦笑しながら呟いていた。今井和雄さんのギターも、齋藤徹さんのコントラバスも、そうなれば、音が抽象として綺麗に空間に放出されるようなことはしない。楽器からの音離れは極端に悪い。まるで、あくまで周波数であるはずの音が、自分もマテリアルなのだと主張しているかのようなのだ。音が楽器と演奏者にへばりつくということは、音が身振りそのものであることを意味する。音楽が身振りであるからには、聴客のわたしも音の創出に立ち会うつもりでいるほかはない。

今井さんのギターは守りにも攻めにも自在に転じ、唾を呑みこめないほどのテンションを保っている。

広瀬さんのテナーの響きも素晴らしい。トンネルを通りぬける風のような音、高音でうなりを生じる音など、どのように出しているのだろう(演奏後の宴席で訊ねてみると、2番の柔らかいリードでないとダメだとのこと)。最初の呟きの通り、音の響きを抑えたのだろうか。だがそれが緊張に貢献していた。

そしてテツさんは、一歩引いているかのように、いくつもの仕掛けを繰り出してきた。あとでFB上の文章を読むと、ここでの「競争・狂騒」に身を置くことへの躊躇のようなものが記されていた。待ったなしのセッションではなく、音そのものが思索する空間があってほしいということだろうか。しかし軋みも付帯音も、紛れもないテツさんの音楽だった。

セカンドセットでは、ジャック・ディミエールさんが参加。確信と集中のために敢えて視野を狭くするような、例のないピアノだった。「競争・狂騒」のなかで異常なる落ち着きをみせ、まるで児戯のようにピアノを弄んだ。驚いた。

Fuji X-E2、Pentax-K 18mmF3.5、XF35mmF1.4

●広瀬淳二
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●今井和雄
坂田明+今井和雄+瀬尾高志@Bar Isshee(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
今井和雄 デレク・ベイリーを語る@sound cafe dzumi(2015年)
今井和雄、2009年5月、入谷
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
バール・フィリップス@歌舞伎町ナルシス(2012年)(今井和雄とのデュオ盤)

●齋藤徹
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミッシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン


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