照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』のレコ発ライヴが続いている。船橋きららホールでの演奏(2017/2/12)はホールでのインプロというなかなかない機会で面白かった。小さなハコでの演奏も観ようと思い、入谷のなってるハウスに足を運んだ(2017/3/27)。
この日は来日中のVOBトリオとの対バン。
Hisaharu Teruuchi 照内央晴 (p)
Chihaya Matsumoto 松本ちはや (perc)
VOB Trio:
Jaka Berger (ds)
Antti Virtarnta (b)
Rieko Okuda (viola)
ファースト・セット、照内+松本デュオ。CDの記録とも先日のライヴともまた違う一期一会、大変な緊張感が漲っている。
プリペアド・ピアノ、パーカッション、両者とも最初は抑制気味であり、それが次第に強さを増していく。照内さんはやはりフレーズを手探りし、ペダルにより地響きも創り出している。ピアノによるクリスタルの煌き、空気をかまいたちのように裂くパーカッション。
音を出すことが怖ろしいほどの静寂を、音により創り出すという感覚がある。
セカンド・セット、VOBトリオ。ドラムスのヤカさんだけスロヴェニア、他のふたりはベルリン在住だという。
奥田さんのヴィオラがぎこぎこという音を立ててゆく。ベースの表現力は刮目すべきものであり、微かな音、ガラスの表面を濡れた指で擦るような音、胴を高い音で擦る音、指で弾きながら弓で弦を受けとめる音。ドラムスが叩きから擦りに移行すると、ヴィオラが打楽器と化したりもする。そして3人による「擦れ」の重ね合わせ。奥田さんは森の中の鳥を思わせるヴォイスも発する。
やがて全域に分散していた周波数が収斂してきて、得も言われぬカタルシスを覚えた。
サード・セット。照内・奥田連弾から全員でのセッション。
VOBトリオのことは何の予備知識も持たず観たのだが、素晴らしいグループだった。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4
●参照
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)