Sightsong

自縄自縛日記

神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ

2022-01-11 22:07:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

大泉学園のインエフ(2022/1/10)。

Ayako Kanda 神田綾子 (vo)
Kaori Osawa 大澤香織 (p)
Toru Nishijima 西嶋徹 (b)

大澤さんと神田さんは旧知の仲。神田さんと西嶋さんは2度目の共演。西嶋さんと大澤さんは初の手合わせ。僕は大澤さんのプレイに初めて接する。スタンダードなどジャズの方法論と自由即興という両極端にありそうな領域をどのように混ぜるのだろうと思っていた。それは曲を核にして両領域を堂々と行き来するものだった。

ベースソロから始まる「Come Rain or Come Shine」で、途中から入ってきたピアノの強さに目が覚める。神田さんは歌詞を断片化しながら再結合させるようなアプローチ、普通のスキャットではない。軋むベースと内壁が擦れるヴォイスにも驚いているとピアノがふたたび入り、重層的なものになった。続いて、破裂するような高音のピアノと揺れ動く弓弾きのコントラバスとの重なりから、「朧月夜」。西嶋さんは弓弾きを強くしていき指に移行するという強さをみせた。

「There Will Never Be Another You」の始まりは神田さんの囁き喉を鳴らすような異音だが、ここで外の道から聴こえるサイレンと重なり、偶然ながら世界が突然開かれるように思えた。大澤さんが独特の間をもって介入してくると不思議に曲に化ける。ただ、それを三者が示し合わせたように崩壊させ、ビートという重力がない場へと勢いよく入っていった。

セカンドセットの冒頭はピアノが残響を活かし、一方で何の音だと思ったらコントラバスの駒を弓で擦っている。この不思議なサウンドが「Angel Eyes」の幽かな世界へとつながった。そしてまたしても驚きの「Bibbidi-Bobbidi-Boo」。大澤さんはにこりともせず愉快で強いアタック、これに引き上げられるように西嶋さんは弓と指で激しく弦を叩く。

最後にコントラバスは力を抜くように、とは言え弦の上端から下端までを触っている。これがある時点を機に時間を動かし始め、三者が互いを足場にして縦に横に動いてゆくような感覚、これがきっとトリオの醍醐味である。やがて「Summertime」になり、神田さんは自分が発した音を足場にして次の音を出すという、トリオから自分自身へのトポロジカルな展開。

強靭にして柔軟、強面のようでいて実は含み笑い。

Fuji X-E2、Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.4 (M42)

●神田綾子
神田綾子+三上寛@なってるハウス(JazzTokyo)(2021年)
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
柳川芳命+照内央晴+神田綾子@なってるハウス(2021年)
細田茂美+神田綾子@高円寺グッドマン(2021年)
神田綾子+真木大彰@Permian(2021年)
纐纈雅代+神田綾子@六本木Electrik神社(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
神田綾子+纐纈雅代@下北沢No Room for Squares(2021年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
マクイーン時田深山+神田綾子@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
岡田ヨシヒロ@池袋Flat Five(2020年)
神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)(2020年)
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)

●西嶋徹
北田学+西嶋徹+神田綾子@渋谷Bar subterraneans(2021年)
喜多直毅+元井美智子+西嶋徹@本八幡cooljojo(2020年)
喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(JazzTokyo)(-2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)


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