渋さ知らズ30周年記念のイヴェントが「渋大祭」として開かれた(2019/9/16)。
扇島なんて行ったこともなかったが、川崎駅から無料シャトルバスが何本も出ていて、案内もスムーズ。乗り込むときにステッカーを貰ったので、すぐにキンドルに貼った。しばらくは小雨と風で寒く、Tシャツ1枚の自分は馬鹿ではないのかと思ったが、なんとかなった。
あまりにも豪華でことごとくが愉しいという、今まで体験したこともない音楽フェス。以下備忘録として。
■ 渋さ知らズ
Hideki Tachibana 立花秀輝 (as)
Keizo Nobori 登敬三 (ts)
Yoichiro Kita 北陽一郎 (tp)
Daisuke Fuwa 不破大輔 (b)
Jun Isobe 磯部潤 (ds)
Ippei Kato 加藤一平 (g)
Dancers
オープニングは渋さチビズ的に。登敬三の循環呼吸による地べたを掻くような太いテナー、加藤一平のぎらついたソロ。しかし一方で、白塗りが、バナナが、すべての権力を無化する。立花さんのアルトは吠えるとともに意外にも硬軟取り混ぜている。ここでまた登さんのテナーが重力を引き寄せる。北陽一郎のペットは粘着するほどにエッジが立っている。
■ 渋谷毅オーケストラ
Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p, org)
Kosuke Mine 峰厚介 (ts)
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (bs, as)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Kenta Tsugami 津上研太 (ss, as)
Osamu Matsumoto 松本治 (tb)
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)
Side Slip、Ballard、Three Views of a Secret、Jazz Me Blues、Soon I Will Be Done With The Trouble Of The World。PAがしっかり効いていて、そのためもあってか、各プレイヤーの音の迫力が増幅されている。林さんのアルトはどこかに突き刺さり泡立ち凄い(横で津上さんが笑っている)。松風さんは風で音が飛ばされるからフルートはどうかなと話していたが、その通り、バリトンとアルトに専念。相変わらずしみじみと沁みてくる師匠の音。泣きのギターとホーンズ、素晴らしい。
■ 栗コーダーカルテット
Masaki Kurihara 栗原正己 (recorder, melodica, etc.)
Yoshiyuki Kawaguchi 川口義之 (recorder, sax, etc.)
Koji Ataka 安宅浩司 (recorder, ukulele, etc.)
Takero Sekijima 関島岳郎 (recorder, tuba)
近くで泉邦宏ひとりオーケストラの爆音が鳴り響くアウェーの中で、実に愉しくも可愛くもあるアンサンブル。この日はやはり風を考慮してか、関島さんはほとんどチューバを吹いた。「ピタゴラスイッチ」のテーマからはじまり、「本多工務店のテーマ」など渋さの曲も演った。いや良いなあ、アルバムも聴こう。
■ MULL HOUSE
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)
■ 芳垣細海伊賀吉田&元晴
Yasuhiro Yoshigaki 芳垣安洋 (ds)
Sakana Hosomi 細海魚 (key)
Wataru Iga 伊賀航 (b)
Ryuichi Yoshida 吉田隆一 (bs)
Motoharu 元晴 (as)
芳垣さんが真ん中に座ってざくざくと切り刻んでいくドラムスを繰り出し続ける。ジャズロック的に爆走するサウンドは脳を麻痺させるに十二分。執拗に同じリフを繰り返すベース、ときにラリー・ヤングのように濁るキーボード、その快感といったらない。元晴さんのケレン味たっぷりのアルト、エネルギーが乗り移ったように粘っこいソロを繰り出す吉田さんのバリトン。サウンド全体が反響していく。
■ サン・ラ・アーケストラ
Marshall Allen (as)
Vincent Chancey (french horn)
Michael Ray (tp)
Elson Nascimento (perc)
その他多数
とにかく95歳のマーシャル・アレンである。右手でアルトを下から上まで叩き、放たれる高い音は破壊力満点。カッコ良すぎる。会場狂乱。
■ 渋さ知らズオーケストラ
北陽一郎tp・石渡岬tp・辰巳光英tp.etc・立花秀輝as・川口義之as・松原慎之介as・纐纈雅代as・泉邦宏as・登敬三ts・松本卓也ss・鬼頭哲bs・RIObs・早坂紗知as・中根信博tb・高橋保行tb・石渡明廣g・ファンティルg・和田直樹g・加藤一平g・太田惠資vil・勝井祐二vil・小林真理子b・永田利樹cb・山口コーイチkey・山田あずさvib・柴崎仁志per・磯部潤ds・山本直樹ds・藤掛正隆ds・関根真理per.vo・松村孝之per・大西英雄per・渡部真一vo・玉井夕海vo・ムロダテアヤvo,fl・不破大輔・東洋・若林淳・高橋芙実・ペロ・さやか・すがこ・あすか・若林美保・陽茂弥・井上のぞみ
さらに、サン・ラ・アーケストラの面々
しばらくグロッキーになっていたがこれを見逃すわけにはいかない。リハーサルでマーシャル・アレンも登場し、期待した通り、渋さプラスサン・ラ・アーケストラ。「Naadam」が聴こえてきてさらに期待が高まる(しかし、本番では肝心の林栄一さんが居眠りして実現しなかった模様)。
登敬三の重力、辰巳小五郎のスペーシーな反響、加藤一平の大暴れ、早坂紗知・RIO・永田利樹ファミリーの見せ場、ファンテイルの存在感あるギター、川口義之のハーモニカ、若林美保のこれでもかという色気砲、すべて痺れた。そしてマーシャル翁はここでも毒物なのか花火なのかわけのわからないものを撒き散らした。最後は「本多工務店のテーマ」。
みんな狂ったように凝視し、躍り、音楽と一体化していた。最高だった。
●不破大輔
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
青山健一展「ペタペタ」とThe Space Baa@EARTH+GALLERY(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
立花秀輝+不破大輔@Bar Isshee(2015年)
不破大輔@東京琉球館(2015年)
山口コーイチ『愛しあうことだけはやめられない』(2009-10年)
高木元輝の最後の歌(2000年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太(2000年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)
●渋谷毅
平田王子+渋谷毅『Luz Do Sol*やさしい雨』(2018年)
2018年ベスト(JazzTokyo)(2018年)
廣木光一+渋谷毅『Águas De Maio 五月の雨』(2018年)
今村祐司グループ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅@裏窓(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅のソロピアノ2枚(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
『RAdIO』(1996, 99年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(1988年)
『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』(1987-92年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
見上げてごらん夜の星を
●マーシャル・アレン
「JazzTokyo」のNY特集(2018/12/1)(2018年)
マーシャル・アレンへのインタビュー(JazzTokyo)(2016年)
Worldwide Session 2016@新木場Studio Coast(2016年)
ポール・ブレイ『Barrage』(1964年)