かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

揚輝荘・聴松閣/名古屋市千種区~地階(ホール・壁画コーナー)

2014-12-10 | 名古屋の近代建築

 聴松閣は1~2階の各部屋で、山荘風や中国風など多様な様式が楽しめますが、何と言っても見どころは地階にあるホールと旧舞踏場です。施主の伊藤祐民は昭和9年、東南アジア・インド方面に仏跡巡りの旅に出かけます。祐民はこの旅行でインド・イスラム文明に触れ、強烈な感銘を受けすっかりインドにハマってしまったのです。

 そして帰国すると早々、ちょうど工事が始まっていた聴松閣の地階を、彼のなかで強烈に焼き付いたインド・イスラムのイメージ一色に設計変更したのです。なにせ松坂屋の創業者ですから、建築費用を気にすることもなく、インド古代文明の壁画やインド・イスラム様式の紋様や装飾などで聴松閣の地下を埋め尽くしました。そして祐民の夢を形にしたユートピア、「揚輝荘・聴松閣」は名古屋覚王山の地に花開いたのでした。


■1階~地下に続く階段を下りると、そこには祐民の夢を形にしたインド・イスラム様式のユートピアが広がります



■階段の親柱も古代インド文明風



■南北に延びるホールの壁画コーナー



■ホールの壁画はインドの留学生が描いたインドアジャンタ石窟の写しで、釈迦生誕の物語が描かれています



■中央に座っているのが釈迦でしょうか?





■ホール北側突き当りには地下トンネルの南入口があります。
トンネルはT字型で総延長170m、聴松閣と要人らが寝泊まりした有芳軒を地下でつなぎ、分岐点部分には八角形ドームがありました。
現在はマンション工事で大部分が取り壊され、「聴泉窟」の銘板がある東入口がかろうじて残っています。 


■地下トンネルの入り口も古代インド様式の装飾があるアーチ型。
トンネルをつくった目的は、防空壕説や要人の隠れ家所説など諸説あるようですが、現在も定かではありません。
まるで横溝ミステリーの舞台に出てきそうな豪邸の秘密の地下トンネル。
戦前の洋館ならではのロマンが広がるエピソードで、トンネルから金田一さんが出てきそうです
 



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