かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

中川運河松重閘門・松重ポンプ所(中川区山王)

2010-09-24 | 名古屋の近代建築

 名古屋駅から金山方面に向かう列車(東海道本線・中央線・新幹線・名鉄)に乗ると、発車して程なく左手(東側)に中世ヨーロッパの城を思わせるクラッシクな2対4基の尖塔が見えてきます。

 この4基の塔は中川運河と堀川をつなぐ水門の役割を果たしている松重閘門の塔で、昭和5年(1930)に竣工しました。この閘門で中川運河と堀川の水位差を調整し、船を航行させる役割を長年果たして来ましたが、輸送手段が水運から自動車輸送に移行し、昭和51年その役目を終えました。
 その後は取り壊される予定でしたが、地元住民の反対で保存されることになり、現在は名古屋市の都市景観重要建築物に指定され、周囲は「松重閘門公園」として整備されています。

 水運に取って代わったモータリゼーションの象徴である高速道路が、4基の塔を分断し当時の景観を損なうことになったのは残念ですが、都市の歴史を語るランドマークとして、このままいつまでも変わらずにいて欲しい昭和の風景です。


◆中川運河松重閘門・ポンプ室/名古屋市中川区山王1丁目~松重町
 
 竣工:昭和5年(1930)
 設計:市建築課(藤井信武)
 構造:RC造
 ・名古屋市都市景観重要建築物




松重閘門・松重ポンプ所全景(中川運河側)2007/10/07





堀川運河側尖塔~奥には高速道路で分断されたの2基の塔が(2010/05/05)





2基の塔には門の鉄扉を上下させるための錘を収納(2010/03/14)




クラッシクな塔を当時流行の表現主義風にアレンジしたデザイン~最上階は展望室(2010/03/14)





中川運河側尖塔~最近お色直しをされたようで外壁はピカピカです(2010/03/14)





塔の下は公園になっています(2010/03/14)





松重ポンプ所玄関(2010/03/14)





中川運河・西日置橋から望む(2007/10/07)



 


昔ながらの洋品店

2010-09-23 | まち歩き
豊田合成名古屋工場跡地のすぐ近くで遭遇した昭和レトロな洋品店。
一昔前はどこでも見かけた用品・雑貨の店ですが、「洋品店」と言う言葉自体余り聞かなくなりました。
明り取りスリット入りの特注木製看板が良い味出してます。



名古屋市西区菊井(撮影:2010/05/05)


豊田合成(株)名古屋工場(旧菊井維布)/名古屋市西区

2010-09-21 | 失われた建物の記憶

ノリタケの森を訪れたついでに、すぐ北東にある豊田合成名古屋工場に向かいました。
前回8年前の平成14年に訪れた時には大正期に建てられた赤煉瓦造りの古い工場が現存していたのですが・・・はたしてまだあるのか?
やはりというか、不安は的中。見事なばかりの更地になっていました。
それも周囲の状況から、おそらく取り壊されたのは今年に入ってから、まだ最近という感じで、ひと足遅かったようです。
跡地は何になるのか、工場の煉瓦の外壁のごくごく一部が鉄骨に支えられ保存され、塗り壁状態でぽつねんとたたずんでいました。
さみしい~~


かつては赤煉瓦の向こうに名古屋駅の高層ビル群が望めました(2002年5月撮影)
大正の赤煉瓦と平成のインテリジェントビルが同居する稀有な風景はもう二度と見ることはできません。

 


きれいさっぱり更地になった工場跡。
大正期操業の工場は時代の流れとともに100年近い歴史に幕を下ろしました。

 


赤煉瓦工場の記憶を唯一伝える「赤煉瓦の塗り壁」
壁一枚にも満たない鉄骨に囲まれたこの物体、果たして残す意味があったのか?

 

 


ノリタケカンパニーリミテド事務館本館(西区則武)

2010-09-20 | 名古屋の近代建築

ノリタケの森の東南の一角に、戦前に建てられた事務館本館が現存しています。
道路に沿って「く」の字型に造られた建物には、淡いクリーム色のタイルが張られ、高級磁器生産で有名なノリタケにふさわしい清潔感と明るさが感じられます。
外観は装飾が少ないシンプルなモダニズム建築ですが、玄関扉の装飾などにアールデコ風の幾何学模様が見受けられます。
名古屋の巨匠、鈴木禎次が晩年(昭和16年没)に設計した数少ない現存するモダニズム建築ですが、彼の代表作として取り上げられることはほとんどありません。
これからもやさしい陶磁器のような外観のこの建物が、いつまでもノリタケの森とともに街角の風景として存在し続けることを願ってやみません。


◆(株)ノリタケカンパニーリミテド事務館本館/名古屋市西区則武新町3丁目1-36
 
 竣工:昭和12~13年(1937~38)
 設計:鈴木建築事務所(鈴木禎次)
 施工:大倉土木
 構造:RC造3一部4階、地下1階
 撮影:2010/05/05



 




輪之内町交差点から見た建物全景





ノリタケの森噴水広場から見た建物北側






北側玄関周りのデザイン
段違いの縦長窓や円筒状に張り出した造形が面白い





建物東側~角に丸みをつけた優しい外観





正面玄関~おなじみ筆記体の「noritake」のロゴマーク





アールデコ風の正面玄関扉





建物南側~リズミカルに並ぶ縦長の窓と3階の庇が水平線を強調





南側玄関扉~幾何学模様が楽しい


 


ノリタケカンパニーリミテド旧製土工場(西区則武)

2010-09-11 | 名古屋の近代建築

産業技術記念館のすぐ南に、ノリタケの工場跡地を再開発した、陶磁器をテーマにした複合施設「ノリタケの森」があります。
その一角に明治37年(1904)に建てられた、日本陶器合名会社の最初の赤煉瓦造りの工場が保存されています。
当時の赤煉瓦工場の面影を今に伝える貴重な建物で、平成19年に近代化産業遺産に認定されました。


◆ノリタケカンパニーリミテド旧製土工場/名古屋市西区則武新町3丁目1-36
 竣工:明治37年(1904)
 構造:煉瓦造3階


 





 






日本陶器の6本煙突として親しまれた窯煙突の
根元の部分だけがモニュメントとして保存されている