かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

七宝小学校講堂(愛知県あま市)

2016-06-12 | 海部の近代建築

名古屋市の西に隣接するあま市は、海部郡七宝町、美和町、甚目寺町が合併し、平成22年に誕生しました。その七宝地区の中心、あま市役所七宝庁舎のすぐ西側にある七宝小学校に戦前の講堂が残っています。

講堂は小学校の敷地の南西、校庭に面して建物東妻側に正面入り口を設け、玄関部分が前に突き出た形状になっています。外壁は3つに分かれており、石張りの腰壁の上は下見板張り、窓枠より上は土壁塗りに仕上げています。玄関上部の3連換気ガラリの下と窓枠の上はタイル張りで、妻壁にはセセッション風の装飾が見られます。

これまで愛知県下の戦前の講堂としては、瑞陵(名古屋市)、小牧、津島、西尾などの高校で現存確認していますが、小学校の講堂は今回が初めてです。おそらく小学校の講堂建築としては現存例が少なく、県下でもかなり貴重な存在と思われます。これからも末永く七宝町の近代遺産として保存されることを願うばかりです。


■建物北東面



■玄関部



■玄関上部の換気口と装飾



■建物南西面~窓は上下2段で窓の間の小壁には装飾の施され、上部の小壁はスクラッチタイル張り


■建物北西面~西側の出っ張った部分は舞台裏になっています



■南門の門柱も竣工当時のまま残されています



◆七宝小学校講堂/愛知県あま市七宝町桂角田1777
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:木造
 撮影:2016/05/04


愛知県立津島高等学校旧講堂(津島市)

2011-04-11 | 海部の近代建築

愛知県立津島高等学校は、愛知県第三中学校(明治33年)として開校され、昭和23年に愛知県立津島東高等学校(津島町立高等女学校として大正4年開校)と合併、現在の津島高校になりました。
愛知県にはいわゆるナンバースクールと呼ばれる旧制中学が八中までありますが、津島高校は旭丘、岡崎に続く第三中学ですから、当時はいかに津島が尾張地方の中心として栄えたかを物語っています。

そんな歴史のある津島高校ですが、戦前の校舎はすでに存在しません。
それでも大正12年に建てられた講堂と南門が残っていて、往時の姿を伝えてくれます。

◆愛知県立津島高等学校旧講堂/津島市宮川町3-20
 竣工:大正12年(1923)
 構造:RC造+木造平屋
 設計:愛知県営繕課
 撮影:2006/05/14

 



◆建物東側正面~玄関が中央ではなく北側に寄せられている

 



◆建物南側~中央部に小屋根が掛けられ出入り口が設けられている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


旧津島信用金庫本店/津島市観光交流センター(津島市)

2011-03-27 | 海部の近代建築

戦前の昭和期、西尾張の経済の中心地だった津島を代表する近代建築。
正面玄関の両脇にオーダー(双子柱)を配置するクラッシクなデザインは、銀行建築らしい重厚さを演出していますが、細部の装飾は簡略化され、古典的要素と幾何学的要素がミックスされた当時の地方銀行定番のデザインになっています。

2006年に国登録有形文化財に指定され、現在は津島の歴史・文化・観光を紹介する津島市観光交流センター(まつりの館 津島屋)として建物もリニューアルされ、津島の歴史を語る近代化遺産として活用されています。


■外壁はお色直しを施され現在は「津島市交流センター」として第二の人生を歩んでいます



■ルネッサンス様式を基調とし、細部装飾は当時流行の幾何学的なモダンデザインを採用






◆旧津島信用金庫本店(旧名古屋銀行津島支店)/津島市観光交流センター(まつりの館 津島屋)
 所在地:津島市本町1丁目52-1
 竣工:昭和4年(1929)
 設計:坂野悦男
 構造:RC造2階
 撮影:2016/05/04
 ※国登録有形文化財