かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

中山道醒井宿散策~その2(滋賀県米原市)

2013-12-27 | まち歩き

中山道醒井宿散策の続編です。
旧中山道を醒井宿の東のはずれ、現在の国道21号線合流点まで歩きました。


■昔の面影を残す醒井宿の町並み







■地蔵川は湧水を源流とする清流で、夏には梅花藻という沈水植物が群生し、白い梅の花に似た小さな花を咲かせるそうです



■地蔵川沿いの紅葉が美しいグラデーションを見せていました







■醒井宿の東のはずれに建つ中山道醒井宿の石碑。ここから国道21号線に合流します。





■こちらは西のはずれに建つ石碑。西隣の柏原宿まで一里半とあります。



■やはりここにもありました!各地で見かける明治天皇御駐輦所の石碑。
明治天皇はかなり行動的なお方だったのか、旧街道はもちろん全国各地に現在も御駐輦所跡が残っています。



■旧街道沿いで見つけた唯一の琺瑯看板。
消防信号の琺瑯看板は彦根でも見かけので、近江地方にはまだまだ残っているかも。



醒井の建築探訪を終え、醒ヶ井駅からJR東海道線に乗り次なる目的地、岐阜県大垣市に向かいました。
ということで、次回は近代建築探訪「西濃編」、大垣駅周辺を散策します。 


中山道醒井宿散策~その1(滋賀県米原市)

2013-12-25 | まち歩き

秋も深まる11月の勤労感謝の日、JR醒ヶ井駅から国道21号線の南側を通る旧中山道の宿場町醒井宿を歩きました。
清流地蔵川沿いの小さな宿場町には、静かなたたずまいの中に昔ながらの風景が残っていました。


■JR東海道線醒ヶ井駅~すぐ前を国道21号線が通ります



■駅前から南側に広がる旧中山道の醒井宿の町並み。向かって左側に旧街道が伸びています



■駅前から東側に延びる旧街道



■醒井宿の案内板~下の現在地とある地点から地蔵川沿いに街道を東(向かって左手)に進みます



■米原市醒井宿資料館として再活用されている旧醒井郵便局舎



■南側の旧街道と途中で合流



■昔ながらの民家で季節の花や果物などを売っていました



■地蔵川の十王水~平安中期に天台宗の高僧、浄蔵法師が水源を開いたとされる(案内板より)



■昭和4年に天然記念物に指定された了徳寺の御葉附銀杏



■地蔵川沿いに続く醒井宿の町並み



■資料館として利用されている旧問屋場



■和洋折衷建築の醒井公会堂



中山道醒井宿散策~その2に続きます。。


醒井尋常高等小学校玄関・旧醒井楼(滋賀県米原市)

2013-12-23 | 滋賀の近代建築

JR醒ヶ井駅前から東へ延びる街道を50mほど行くと、右手に立派な唐破風のある和風の建物があります。玄関脇には「明治時代の醒井小学校の玄関」の表示がある案内板が設置してあり、明治26年竣工の尋常高等小学校の玄関を当地に移築し保存した旨の解説が書かれています。

玄関に付属している建物も、大正2年に建てられた「醒井楼」という料理旅館だった建物で、昭和27年からは松尾寺政所として活用されてきました。現在は松尾寺の本堂が松尾寺山山麓に再建され、養鱒場の近くに移転した醒井楼とともに観光名所になっています。


■明治期の小学校の玄関が近代和風建築の大正期の料理旅館と合体し、ひとつの建物として違和感なく調和しています



■むくり屋根の唐破風にはお約束の立派な鬼瓦が載ります



■竜の鬼瓦とその下の懸魚の造形はまさに芸術品




◆醒井尋常高等小学校玄関・旧醒井楼/滋賀県米原市醒井
 竣工:玄関~明治26年(1893)/醒井楼~大正2年(1913)
 構造:木造
 撮影:2013/11/23


醒井公会堂(滋賀県米原市)

2013-12-20 | 滋賀の近代建築

旧醒井郵便局から旧街道を東へ100mほど向かうと、右手の地蔵川を渡ったちょっと奥まった所に醒井公会堂があります。建物は木造平屋建、寄棟造桟瓦葺で、玄関を正面中央に設け、正面と側面の前よりは腰にモルタル塗りの壁を廻し、その上は吹き付けのドイツ壁風に仕上げて味を出しています。玄関をフルーティング(溝)付きの柱で囲み、両脇に上部が櫛形アーチの縦長窓、隅の柱はコーナーストーン(隅石)風仕上げにして洋風デザインを取り入れていますが、全体では明治時代の擬洋風建築を思わせる和洋混在のデザインです。

大正~昭和初期の公民館建築は各地方に残っていますが、昔ながらの和風の建物に一部洋風を取り入れた和洋折衷のデザインがほとんどです。当時は役場や郵便局などの公共建築がほとんど洋風建築に建て替えられた時代で、町の公民館にも強い洋風志向が感じられます。


◆醒井公会堂/滋賀県米原市醒井字新町117
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:木造平屋建
 撮影:2013/11/23
 ※国指定登録有形文化財
 

■建物正面ファサードは洋風にして、堂々とした雰囲気を演出しています



■玄関ポーチの造りは和風で鬼瓦が載る





■特注の鬼瓦は中央に「醒」の文字が入ります



■洋風意匠を凝らした玄関廻りが見所

 


■宿場町の中心を流れる地蔵川沿いに建つ公会堂(向かって左奥)




米原市醒井宿資料館/旧醒井郵便局局舎(滋賀県米原市)

2013-12-18 | 滋賀の近代建築

11月の勤労感謝の日の祝日、東海道線に乗って滋賀県醒井、岐阜県大垣方面を訪れました。もちろん近代建築探訪がメインでしたが、気ままな町歩きと路上観察も楽しめた秋の一日でした。

醒井は中山道の宿場町として栄え、現在も地蔵川の清流に沿って旧い町並みがよく残っています。国道21号線の南側に沿って旧中山道が通っており、この街道沿いに旧醒井郵便局と醒ヶ井公民館の2件の登録文化財に指定された近代建築が現存しています。

旧醒井郵便局舎は、ヴォーリズ建築事務所設計で大正4年に建てられました。当初は木造下見板張りの洋館風の建物でしたが、昭和9年に現在の姿に改修されました。外観は一見RC造に見えますが木造2階建で、外壁はモルタルを厚く塗り石貼り風に見せています。建物は中央に玄関を配し左右対称、玄関の両脇と角にはフルーティング付きの柱にアーカンサス模様の柱頭飾を施しています。さすがにヴォーリズ建築事務所が手掛けただけあり、堂々とした外観は本格的な西洋建築のツボを押さえた隙のないデザインになっています。

1階が郵便・電信業務や応接室、2階は電話交換室や交換手の宿直室兼休憩室として昭和48年まで使われましたが、現在は米原市醒井宿資料館として生まれ変わり、資料の展示や休憩室として再活用されています。

■ウイリアム・メレル・ヴォーリズについて~
滋賀県の近江八幡を中心とした琵琶湖周辺に、現在もヴォーリズが携わった洋風建築が多数残っています。ヴォーリズは明治38年八幡商業学校の英語教師として来日しました。その後キリスト伝道の傍ら建築事務所を開設、全国で1600にも及ぶ建築設計に携わり、彼が本拠を置いた近江八幡には10件以上の洋風建築が今なお大切に保存されています。

<ヴォーリズの代表作>
大丸心斎橋店、神戸女学院キャンパス、今津教会、堅田教会、滋賀大学陵水館、旧伊庭邸、吉田邸、豊郷小学校旧校舎など、その他にも多数現存








◆米原市醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)/滋賀県米原市592
 竣工:大正4年(1915)、昭和9年(1934)改修
 設計:ヴォーリズ建築事務所
 構造:木造2階建
 撮影:2013/11/23
 ※国登録有形御文化財 


■建物外観
     


■建物内部(1階展示・休憩スペース)
   


■1階案内板
     




阿下喜界隈まち歩き~その1(三重県いなべ市)

2013-12-08 | まち歩き

今回訪れた三重県いなべ市北勢町阿下喜地区は、三岐鉄道北勢線西桑名駅から終着の阿下喜まで各駅停車で1時間、三重県の最北端に位置する養老山地のふもとの山間の小さな町です。北勢線は大正3年開業となかなか歴史が古く、ナローゲージと呼ばれる鉄道路線の一つで鉄道ファンに人気があります。

この日もそれらしきカメラを持った人たちが結構乗車していて、停車駅で車両や風景の撮影をしながらローカル線の旅を楽しんでいました。ちょっと小ぶりな黄色い電車はローカル線に良く似合い、のんびり電車旅を楽しむには最適でした。


■電車に揺られること1時間、終着阿下喜に到着



■ホームのすぐ東側に軽便鉄道博物館があり、昭和6年製の軽便電車モニ226号が保存されています




■9時~14時までは1時間に1本の電車で、いかにもローカル線といった趣きです



■阿下喜駅前の風景~向かって左手に昔からの阿下喜の町があります



■駅前の道を北に向かい、町の中心部本町通りの坂道を上ります
左手に見える大きな屋根は旧阿下喜郵便局の建物



■本町通り沿いの古い商店の看板が良い味を出しています











撮影:2013/11/17


旧阿下喜郵便局(三重県いなべ市)

2013-12-07 | 三重の近代建築

阿下喜駅から桐林館(旧阿下喜小学校)に向かう途中の本町通り沿いに建つ洋館造りの旧郵便局です。木造下見板貼りで上部はモルタル塗り、旧局舎の建物の横に小さな洋風の小屋が付属しています。

旧郵便局の建つ本町通りは、阿下喜駅から町の中心を抜けるかつてのメインストリートでしたが、閉店して空き家になっている商店も目立ち、通りは閑散としています。現在町の商業施設の中心は、西側を通る国道306号線沿いに移動しており、各種量販店やチェーン店が進出し軒を並べています。戦前から栄えた地方の古い町はどこも同じ状況ですが、車中心の生活になり商圏が拡大した現在、道巾が狭く駐車場も少ない旧市街地はどこも衰退の一途をたどっているようです。


◆旧阿下喜郵便局/三重県いなべ市北勢町阿下喜
 竣工:昭和14年(1939)
 構造:木造2階建
 撮影:2013/11/17


■郵便局は同じ通り沿いのすぐ北側に移動し、現在は空き家状態です



■局舎のある敷地はかなり広く、脇の門の奥には地主さんと思われる大きな古い民家が連なっています



■玄関の木製扉や窓枠も当時のままの姿で残されていて、本町通りがにぎわった昭和の時代が偲ばれます



■軒下の持送りと二つ並んだ換気用ガラリが洋館らしい意匠を演出



■玄関の持送りは2本の金属製バーで、なかなかモダン



■脇の小さな建物にもしっかりと洋風換気口が付いています



■人通りの絶えた日曜昼下がりの本町通り


昭和レトロな旧郵便局の前の道を下ると阿下喜駅です。
この建物が旧阿下喜小学校のように、歴史を語る近代化遺産として保存活用されることを願いつつ帰路につきました。


桐林館/旧阿下喜小学校(三重県いなべ市)

2013-12-04 | 三重の近代建築

 伊勢朝日駅周辺の建築探訪を終え再び近鉄で桑名に戻ります。西桑名駅から三岐鉄道北勢線に乗車、1時間かけてのんびりと終点阿下喜駅まで各駅停車の旅です。阿下喜地区は旧員弁郡北勢町の中心として栄えた町で、養老山地の西側のふもとに阿下喜の古い町並みが広がります。駅前から北へ延びる坂道は、町の中心街を通る本町通りで、通り沿いには昔ながらの商店や住宅が点在しています。本町通り沿いの北勢郵便局を過ぎて左へ入ると、右手に広い校庭が広がり、その奥にお目当ての旧阿下喜小学校の校舎が建っていました。

 現在この校舎は、いなべ市役所文化資料保存施設「桐林館」として活用されていますが、元々は昭和11年阿下喜尋常高等小学校として建設されました。東西に横長に建つ校舎の正面中央には、立派な玄関車寄とその上の屋根には小さいながら塔が設けられています。地方の山間に建つ木造校舎としては破格の造りで、戦前まで員弁郡の中心地として栄えた旧阿下喜町の往時の様子が偲ばれます。


◆桐林館(旧阿下喜小学校)/三重県いなべ市北勢町阿下喜1980
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:木造平屋建
 撮影:2013/11/17


■初めてきた場所なのになぜか懐かしい、子どもの頃通った木造校舎が思い出されるノスタルジックな風景です



■建物南側正面~校舎の中央に玄関を設け左右対称に見えますが、向かって右端の窓の配置が若干異なります



■屋根瓦は新たに葺き替えられ、外観もかなりリニューアルされている様子



■外壁はモルタル塗り、腰回りは下見板張りにして外観に変化を持たせてあります



■建物北東側~東側にも出入り口を設ける



■玄関車寄は木骨を見せるハーフティンバー風にして意匠を凝らしています





■塔の正面には二つの窓が設けられていますが現在はふさがれている様子
塔の屋根の中央を山型にしたデザインは、旧四郷村役場(四日市市)を参考にしたのでしょうか?



■屋根に設けられたドーマー風換気口もなかなかオシャレです



■玄関の柱に残るNHK名古屋放送局のプレートは、右から書かれた戦前もの



■時代を感じさせる石造りの校門




安達本家酒造(三重県三重郡朝日町)

2013-12-01 | 三重の近代建築

安達本家酒造は近鉄伊勢朝日駅のすぐ北側、東芝三重工場の東隣にある古い蔵元で、代表銘柄は「富士の光」。創業は明治43年(1910)、現在の建物は大正10年(1921)頃建てられたものです。


■近鉄名古屋線の線路沿いに建つ酒蔵


■現在も残る当時の酒蔵は旧東海道の風情を今に伝えています



◆安達本家酒造(株)/三重県三重郡朝日町縄生2107
 竣工:大正10年(1921)頃
 構造:木造
 撮影:2013/11/17