かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

明宝歴史民俗資料館/旧明方小学校(岐阜県郡上市)

2012-09-30 | 中濃の近代建築

郡上八幡の町を抜け、せせらぎ街道(国道427号)を高山方面へ向かうと、旧明宝村(現在は郡上市)に至ります。
せせらぎ街道沿いの「道の駅明宝」を過ぎ気良口の信号を左折、道なりに走り明宝小学校を過ぎると右手に懐かしい木造校舎が見えてきます。
この木造校舎は、昭和12年に建てられた旧明方小学校で、昭和49年に廃校になった後、明宝歴史民俗資料館としてそのまま利用され、現在4,7000点を超える歴史、生活、生産に関する資料が展示されています。
また校庭の東端には武道館も当時のまま現存しており、木造校舎とともに戦前の小学校の様子を伝えています。

※歴史民俗資料館HP→http://dac.gijodai.ac.jp/vm/virtual_museum/sanpo/5/

◆明宝歴史民俗資料館(旧明方小学校)/岐阜県郡上市明宝気良154
 竣工:昭和12年(1937)
 施工:和田長太郎
 構造:木造2階建
 撮影:2012/09/16


■校門から向かって左側に旧校舎、正面は武道館



■校舎正面~戦前の木造校舎は地方でもほとんど取り壊され、今や貴重な存在。
 木造校舎を前に校庭に立つと、初めて訪れた場所なのに懐かしくしみじみとした気分になります。



■校舎裏側



■玄関は入母屋破風のある立派なもの



■校舎の東側にある武道館~下見板張りの洋風建築で白く塗られた窓枠や柱がモダンな雰囲気です





■校舎の前につくられた築山



■木造校舎にはかかせない定番の二宮金次郎。周りに置かれた古い石造物の説明看板もあります。
 


 


郡上の建築散歩 その3~レトロ商店編

2012-09-29 | まち歩き

古い町並みが残る郡上の町には、まだまだ多くの昭和レトロな商店が元気に営業中です。
町歩きで見つけた印象に残った商店をご紹介します。


■最近はめっきり少なくなった古い酒屋さん。特約店の銘が入った木製の特注看板が良いです。







■郡上の銘菓「肉桂玉」の店



■履物の専門店~元祖踊下駄は郡上ならでは



■昔はどこの町にもあった帽子専門店~帽子をボーシと書くところが、しみじみ味わい深いものがあります



■藍染の専門店


 


郡上の建築散歩 その1~洋風編

2012-09-26 | 中濃の近代建築

郡上八幡の町で見つけた戦前物件と思われる洋風建築です。

■願蓮寺前の仏具店。付け柱と軒下の装飾がポイント。



■新橋北詰左側の住宅。2階部分だけ洋風意匠です。



■八幡町役場会議室の看板があり、まだ現役みたいです。
 


■宮ヶ瀬橋北詰すぐの喫茶セリーヌ。外壁は改装されていますが屋根から突き出た望楼はかなりの年代物です。
 建築当初は何に使われていたのでしょうか?





■小川屋洋品店。建物の最上部に洋風装飾があります。


 


宮ヶ瀬橋/吉田川(岐阜県郡上市)

2012-09-25 | 近代橋めぐり

宮ヶ瀬橋は郡上八幡の町を東西に流れる吉田川に架かる橋では最も下流に位置し、県道319号線が通っています。
橋の北側は郡上のシンボル宗祇水や職人町、鍛冶屋町などの古い町並みがあり、すぐ上流の新橋とともに郡上観光の中心地として多くの観光客でにぎわいます。


◆宮ヶ瀬橋(みやがせ)~吉田川/岐阜県郡上市八幡町本町地内
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:RC桁
 撮影:2012/09/16


■親柱はシンプルなデザインで上には橋灯が載ります
 


旧堀谷医院(岐阜県郡上市)

2012-09-24 | 中濃の近代建築

旧堀谷医院は、郡上八幡の町でも八幡城に近い古くからの町並みが残る市街地に位置し、大正モダンな雰囲気を今に伝える貴重な建物です。
木造2階建、外壁はコンクリート洗出しで石貼り風に目地が切ってあり、2階は洋館の定番上げ下げ窓ですが、1階の大きなアーチ窓と、それに合わせた半円の庇が付く装飾のある玄関ポーチが特に目を引きます。
大きなアーチ窓は名古屋陶磁器会館や旧加納町役場などにも見られ、大正末~昭和初期のアールデコや表現主義に代表されるモダンデザインの流れが感じられます。


■擬洋風建築の林療院(明治40年)と大正モダンな堀谷医院(大正9年)を比較すると、
明治から大正にかけて建築のデザインが大きく変化したのがわかります。



■玄関ポーチの持送りと欄間に施された漆喰の装飾は左官職人の技が冴えます




◆旧堀谷医院/岐阜県郡上市八幡町大手町804
 竣工:大正9年(1920)
 構造:木造2階建
 撮影:2012/09/16
 ※国指定登録有形文化財


郡上八幡博覧館/旧八幡税務署(岐阜県郡上市)

2012-09-23 | 中濃の近代建築

旧税務署の建物を再活用した郡上八幡博覧館は、郡上八幡の魅力を水、歴史、技、郡上おどりのコーナーを設けわかりやすく紹介しています。
建物は大正9年に建てられた木造下見板張りの旧税務署の外観を残していますが、内部は展示施設として完全にリュニューアルされています。
外観は下見板や外壁、屋根瓦など、すべてがきれいに改装されていますが、かえって大正期の建物らしい歴史の重みが感じられず、観光地によくあるレトロな洋館を再現したような印象になってしまったのが、私的にはちょっと残念なところです。

◆郡上八幡博覧館(旧八幡税務署)/岐阜県郡上市八幡町殿町50
 竣工:大正9年(1920)
 構造:木造2階建
 撮影:2012/09/16


■木造下見板張りの外観は大正の面影を残しています



郡上八幡楽藝館/旧林療院本館・旧レントゲン棟・旧看護婦棟(岐阜県郡上市)

2012-09-21 | 中濃の近代建築

旧郡上八幡役場の南西にある旧林療院は、明治37年に建てられた医院で、北側に大正期に増築された県下で最も早く設置されたレントゲン棟が、向かって左東側には、江戸末期に建てられた足軽長屋を改造した看護婦棟が現存しています。
外観は木造2階建の明治期特有の擬洋風建築で、木造に漆喰を塗って洋風に仕上げています。
正面から見てまず目に入るのが、玄関ポーチのイオニア式オーダーの円柱ですが、これは丸太に縄を巻き漆喰で固めたもの。
建物の隅や腰壁はモルタルを厚く塗り石造り風に見せ、窓も洋風建築の定番の「上げ下げ窓」で、上部には三角形のペディメントが載ります。

建物は平成10年に国の登録有形文化財に指定され、現在は郡上八幡楽藝館として郡上八幡の文化伝達、交流、情報発信の場として保存活用されています。

◆郡上八幡楽藝館(旧林療院本館・旧レントゲン棟・旧看護婦棟)/岐阜県郡上市八幡町島谷789-1
 竣工:本館/明治37年(1904)・レントゲン棟/大正初期・看護婦棟/江戸末期
 構造:木造2階建一部地下
 撮影:2012/09/16
 ※国指定登録有形文化財


■本館東側に付属する建物は江戸末期に建てられた元足軽長屋で、看護婦棟として使われた



■本館の後ろ南側に白とグリーンのレントゲン棟が見えます     


■軒下のブラケットや隅の柱、窓枠やペディメントは漆喰を盛り上げ洋風に仕上げています
  


■本館の裏手にある大正期に増築されたレントゲン棟~2階軒下には軒板飾りを設ける
  


■玄関ポーチのイオニア式円柱
  


■玄関を入ると左手に受付窓口、右手に旧リハビリ室があります
  


■当時の医院の木製看板~右書きが時代を語ります



■受付と投薬窓口


  
■廊下を挟んで向かって左側にある旧外科室~当時使用していた医療器具などを展示
  


■外科室の隣の旧診察室~歴代の院長を紹介したパネルなどを展示



■薬品戸棚も当時のものでアールデコ調の装飾があります
  


■本館裏手にあるレントゲン室~渡り廊下でつながっています
  


■本館東側展示室につながる渡り廊下には、当時実際に使われていた便器や洗面台、タイルが展示されています





■リハビリ室の奥にある階段。2階は病室として使われていましたが、現在は郷土出身の芸術家や市民の作品を展示するギャラリーとして使用。
 病室で実際に使われた家具なども展示されています。
  





郡上八幡旧庁舎記念館/旧八幡町役場庁舎・旧八幡町役場土蔵(岐阜県郡上市)

2012-09-20 | 中濃の近代建築

9月の三連休の中日、久しぶりに(前回は10年以上前)清流吉田川を中心に戦前の古い町並みが残る郡上八幡を訪れました。
現存する洋風の近代建築の数はそれほど多くはありませんが、グレードの高い建物が登録文化財の指定を受け、観光資源としても再活用されています。

まずは昭和11年に建てられた郡上を代表する洋風建築、旧八幡町役場を訪ねました。
吉田川に架かる新橋の南詰にある建物は、平成6年まで八幡町役場として使われていましたが、現在は郡上八幡旧庁舎記念館として、観光案内所・売店・休憩所などに再活用されています。

旧庁舎の建物は木造下見板張り2階建、西側正面と南側に玄関ポーチを設け、正面北側を前に出し切妻屋根にし、あえて非対称にすることで外観に変化を持たせています。
また庁舎の東側の吉田川沿いに、書類や行政資料を保管するために旧庁舎と同時に造られた土蔵も現存しています。 


◆郡上八幡旧庁舎記念館(旧八幡町役場庁舎)/岐阜県郡上市八幡町島谷524-6
 竣工:昭和11年(1936)
 設計:野村建築事務所
 施工:水谷藤兵衛
 構造:木造2階建
 ※国指定登録文化財

◆旧八幡町役場土蔵/岐阜県郡上市八幡町島谷524-6
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:土蔵造り平屋建
 ※国指定登録文化財
 

■吉田川沿いに建つ庁舎と土蔵。川沿いの北面は記念館になってから改修を受け、新たに出入り口を設けています。



■建物南東側~建物はコの字型で中庭を設けています



■中庭から庁舎を望む



■西側正面玄関ポーチ
 


■南側玄関ポーチ
 


■庁舎の中には観光案内所やお土産販売のコーナーも



■2階への階段~この日は貸切で一般の観光客は立入禁止でした
 


■庁舎東側の土蔵

2012/09/16撮影

 


岐阜中警察署前の無名橋(岐阜県岐阜市)

2012-09-19 | まちかどの20世紀遺産

岐阜中警察前交差点東側に戦前のものと思しき橋の高欄だけが残されています。
橋と言ってもその下に川はなく、かつて川が流れていたと思われる場所はコンクリートで蓋をされ完全に暗渠化されています。
かくして歩道に沿って、かなり立派な時代を感じさせる親柱と欄干だけが残され、かつてここに川があったことを示すモニュメントととして今も時を刻んでいます。


 
■親柱は昭和初期に流行った幾何学模様のアールデコ様式 (撮影:2006/09/23)


岐阜市立加納小学校正門(岐阜県岐阜市)

2012-09-18 | まちかどの20世紀遺産

加納城三の丸跡にある岐阜市立加納小学校の歴史は古く、明治5年(1872)加納藩藩校を起源とする憲章学校と寺小屋を起源とする曲成義校の開校に始まります。
明治28(1895)年には両校が合併、加納小学校となりその後明治30年(1897)加納町立加納尋常高等小学校に改称されました。
現在も残る赤煉瓦の校門は、地元では赤門と呼ばれ古くから親しまれ、平成7年には市内最古の校門として「岐阜の宝100選」に選ばれています。

◆岐阜市立加納小学校正門/岐阜県岐阜市加納西丸町1-73-2
 竣工:明治30年(1897)頃?
 構造:煉瓦造+御影石
 撮影2010/09/26



■赤煉瓦の門柱に柱頭と土台には白色の御影石が使われ、いかにも明治時代らしい雰囲気の校門です



岐阜街道のレトロ商店

2012-09-17 | まち歩き

岐阜街道は長良橋の南詰から岐阜市を南北に通り加納、笠松を経て尾張に通じますが、岐阜市の街道沿いには昔ながらの商店が残っています。

■昔ながらの町屋造りの肥料店


■特約店ならではの木製看板と琺瑯看板二本立て。木製の方は店名入り特注の一点ものです。
  

■水滴型の琺瑯看板の下には今や懐かしいコンクリート製のごみ箱が



■こちらは建物正面だけ洋風に仕上げてある米屋さん。
 分かりにくいですが、道の角に今も古い井戸のポンプが残っています。
 
撮影:2012/09/02 


美登里橋/忠節放水路(岐阜県岐阜市)

2012-09-14 | 近代橋めぐり

霞橋の西側に昭和のたたずまいを残す橋がもう一つあります。
昭和29年竣工の美登里橋で、デザインは日本が高度成長期を迎える前の懐かしい昭和の雰囲気が感じられます。
建物も橋も昭和30年代くらいまでは、戦前のモダンなデザインを受け継いでいるものが多く、昭和40年代に入ると世の中の流れとともにそのデザインも大きく変わっていきます。

◆美登里橋(みどり)~忠節放水路/岐阜県岐阜市元浜町~東材木町
 竣工:昭和29年(1954)
 構造:RC造
 撮影:2012/09/02


■昭和29年竣工の美登里橋は、戦前の昭和の面影を残す最後の世代
    


霞橋/忠節放水路(岐阜県岐阜市)

2012-09-12 | 近代橋めぐり

長良橋の南詰からホテル十八楼の前を通る岐阜街道(お鮨街道)の南側を流れる忠節放水路に、小さなコンクリート造の和風の橋が架かっています。
この辺りは昔、長良川の水運を利用した川港として栄え、現在も通り沿いには古い町屋が軒を連ねています。
昭和5年に架橋された霞橋は、古い町並みに合わせるように親柱が灯篭のような和風のデザインになっているのが特徴で、現在もきれいに化粧直しされて現役で使われています。

 

◆霞橋(かすみ)~忠節放水路/岐阜県岐阜市元浜町~今町
 竣工:昭和5年(1930)
 構造:RC造
 撮影:2012/09/02