かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

江戸東京たてもの園(3)小出邸/小金井市

2018-03-25 | 東京の近代建築

設計の堀口捨己は、大正9年歴史主義からの脱却をめざし結成された「分離派」のメンバーで、日本のモダンデザインを牽引したひとり。堀口は代表作の一つ紫烟荘(大正15年)で、ヨーロッパのモダンデザインと茶室の融合を試みていますが、前年竣工の小出邸は和洋のハイブリッド住宅の先駆け的作品と言えるのではないでしょうか。


■和洋の造形を絶妙なバランスで折衷したデザインは、現代の住宅に通じるものがあります









■建物の内部は創建当時の間取りをとどめています





■小出邸/旧所在地:文京区西片二丁目
 竣工:大正14年(1925)
 設計:堀口捨己
 構造:木造2階
 撮影:2017/08/12

 


江戸東京たてもの園(2)デ・ラランデ邸/小金井市

2018-03-21 | 東京の近代建築

設計者のデ・ラランデは明治36年来日、横浜・神戸で外国人商館や邸宅を手がけ、神戸にある重要文化財トーマス家住宅(風見鶏の館)が現存しています。
建物は既存の木造平屋建ての洋館を、デ・ラランデが自邸として大幅に増改築したもので、その後何回も所有者が変わりましたが、昭和31年(1959)からカルピスの発明者として知られる三島海雲氏の自邸になり、平成11年(1999)まで三島食品工業の事務所として使われました。


■白く塗られた下見板張りの外壁と赤いマンサード屋根が特徴的
デ・ラランデは当時一世を風靡したドイツの「ユーゲント・シュティル」というスタイルを好み、この建物にもその影響がうかがえます








    


■デ・ラランデ邸(旧三島邸)/旧所在地:新宿区信濃町
 竣工:明治43年(1910)
 設計:デ・ラランデ
 構造:木造3階
 撮影:2017/08/12




江戸東京たてもの園(1)常盤台写真場/小金井市

2018-03-18 | 東京の近代建築

江戸東京たてもの園は、1993年江戸東京博物館の分館として、小金井市の旧武蔵野郷土館の敷地に建設されました。園内には都内に現存した江戸~戦後までの文化的価値の高い歴史的建造物が移築復元され、後世に伝える文化遺産として保存展示されています。
今回は園内の洋風の近代建築を中心にご紹介します。

■常盤台写真場/昭和12年(1937)築/板橋区常盤台1丁目
郊外住宅地の常盤台に建てられた写真館で、外観は装飾を排除し直線を基調としたインターナショナル・スタイル。
建物かどのアールと英語で書かれた「TOKIWADAI PHOTO STUDIO」の屋号がモダンな感じです。


■縦長の窓と階段の円形にくりぬかれた壁が昭和のモダニズムを醸し出しています。



■戦前の写真館はスタジオの安定した照度を得るため、北側に大きな窓を配置しているのが特徴。

撮影:2017/08/12


■高田小熊写真館/明治41年(1908)頃/愛知県犬山市明治村内
こちらも屋根に大きな採光用の窓が設けられています。
建物外観は明治末~大正期の洋館造りで、モダンな昭和の常盤台写真場と比べると華やかな印象。