かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

江戸東京たてもの園(7)震災復興期の看板建築/小金井市

2018-07-15 | 東京の近代建築

東ゾーンには戦前の昭和の面影を残す下町の商店建築が移築されています。
震災復興期の昭和初めに建てられた看板建築もそのひとつで、伝統的な出桁造りの商店とファサードを洋風に仕上げた看板建築が再現され、戦前の昭和の町並みにタイムスリップできます。


■植村邸/昭和2年(1927)/中央区新富町
前面を銅板で覆ったファサードは看板建築の特徴。



■丸二商店(荒物屋)/昭和初期/千代田区神田神保町
こちらは銅板片を組み合わせて模様にした凝ったデザイン。裏手に長屋が続きます。



■村上精華堂/昭和3年(1928)/台東区池之端
人造石洗い出しの外壁にイオニア式の列柱を配したファサード。
当時は化粧品屋さんだけに、洋風モダンな外観が目を引きます。





■大和屋本店(乾物屋)/昭和3年(1928)/港区白金台
木造3階建て出し桁造りの伝統的なファサードながら、縦長のプロポーションは看板建築の特徴。



■武居三省堂(文具店)/昭和2年(1927)/千代田区神田須田町
■花一生花店/昭和2年(1927)/千代田区神田淡路町







■万世橋交番/明治後期/千代田区神田須田町
こちらは煉瓦積みの明治期の建築様式が特徴の交番。
丸ポストが似合います。

撮影:2017/08/12

 


江戸東京たてもの園(6)子宝湯/小金井市

2018-05-27 | 東京の近代建築

戦前の東京下町を再現した東ゾーンには、昔ながらの出桁造り商家や洋風の看板建築などが移築されています。その中でもひときわ目を引くのが、東ゾーンの一番奥にでーんとかまえる子宝湯です。東京の銭湯といえば、神社仏閣を思わせる宮造りが定番で、千鳥破風の大屋根と唐破風をのせた玄関が特徴。子宝湯もそんな東京の下町の銭湯を代表する建物で、足立区の千住から移築されました。

銭湯の軒数は東京オリンピックが開催された昭和40年頃がピークで、都内に2600軒あったそうです。私の実家に内風呂ができたのも昭和40年頃で、それまでは近所の銭湯に通っていたものです。内風呂が普及する以前、庶民にとって銭湯は一日の疲れをいやすオアシスであり、ご近所皆さんの社交場、憩いの場でもあったわけです。現在はわざわざ銭湯まで行く必要はなくなりましたが(そもそも銭湯が無い)、子どもの頃と大学時代に通った銭湯体験は、昭和のあの頃を懐かしく思い出させてくれます。

大きな湯船に肩までつかると、思わず「極楽、極楽」。まさにこの世の極楽を体感できる空間を演出する装置が、神社仏閣を思わせる東京型の銭湯といえるのかもしれません。


■東京型を代表するクラッシクな外観は威厳さえ漂います



■私の地元東海地方には、これだけ立派な宮造りの銭湯はほとんどありません
まじかで見ると、そのスケール感に「これが銭湯?」と圧倒されます



■立派な唐破風の下には舟に乗った七福神の彫刻がお出迎え
七福神の彫り物は神社仏閣で培われた職人のノミの技が生かされています



■玄関脇には大黒様と恵比寿様の飾り瓦が鎮座します





■銭湯といえば木製の蓋にカギ付きの下足箱が定番ですが、ここはタイル張りのシンプルなもの



■ここから男湯と女湯に分かれます。中央の番台が設置されているスペースにはタイル絵の装飾が



■男湯に入ると右手に男なら一度は上がってみたかった番台があります
昭和28年当時の入浴料金表には、大人12才以上金15円とあります



■天井の高い脱衣所には懐かしい籐のカゴが並びます



■男湯と女湯の境の壁は鏡になっていて、当時の広告看板からは昭和の香りが漂います



■昔の銭湯にはお約束のレトロな体重計
体重を測ったあとは、腰に手をあてコーヒー牛乳の一気飲みが銭湯の醍醐味



■脱衣場は広い吹き抜け空間で 豪華な折り上げ格天井はまるでお寺にいるようです



■男湯の浴場~正面のペンキ絵と境の壁のタイル絵が銭湯感を盛り上げます



■銭湯といえば...やっぱり富士山のペンキ絵にとどめを刺します



■源平合戦と弁慶・牛若丸のタイル絵



■こちらは女湯の浴場(そう言えば女湯に入るのは子どもの時以来です)
境の壁が低いので石鹸やシャンプーのやり取りをしたものです



■女湯は子ども向けでしょうか「さるかに合戦」と「ももたろう」のタイル絵です



■東京型の銭湯はとにかく天井がく、最上部には湯気抜きの窓がつく



■子宝湯/旧所在地:足立区千住元町
 竣工:昭和4年(1929)
 構造:木造
 撮影:2017/08/12


江戸東京たてもの園(5)前川國男邸/小金井市

2018-05-13 | 東京の近代建築

コルビュジエに師事したモダニズム建築の巨匠、前川國男の自邸。戦時下竣工という建築資材が制約されるなか、中央の居間の天井を高くし、ロフト状の2階を設けることにより豊かな空間を実現しています。
1階の大きなガラス開口は、コルビュジエが提唱した「ピロティ」を意識しているといわれています。90度回転する戸袋、ディスプレイ機能をもつ棚、ダイナミックに開閉する大扉など、当時としては実験的なデザインを取り入れた斬新的な住宅作品です。





■大きな開口部が特徴的な居間



■天井を高くしてロフトを設けた空間は開放的



■ロフトへの階段



■書斎~やはり窓が大きく開放的で、気持ちの良い空間です



■台所と浴室~白で統一されたモダンで機能的なデザイン





■前川國男邸/旧所在地:品川区上大崎三丁目
 竣工:昭和17年(1942)
 設計:前川國男
 構造:木造ロフト付
 撮影:2017/08/12
〈参考〉江戸東京たてもの園特別展 世界遺産登録記念「ル・コルビュジエと前川國男」


江戸東京たてもの園(4)田園調布の家(大川邸)/小金井市

2018-05-03 | 東京の近代建築

田園調布は、企業家や有名芸能人、スポーツマンなど、いわゆるお金持ちご用達の「超高級住宅地」として知られていますが、それはあくまで戦後高度成長期以降の話。戦前までは中以上のサラリーマンや軍人、弁護士、医師など中産階級向けの郊外型分譲地という位置づけでした。

近代建築総覧(1980年刊)には、田園調布の住所で20軒ほどの住宅が掲載されていますが、現在オリジナルのまま当地に現存する住宅はわずかで、大川邸は当時の豊かな中産階級の暮らしを今に伝えてくれます。

■建物外観





■玄関まわり~照明や換気グリルなど細部にこだわった意匠が目を引きます


      


■居間


■食堂


■キッチン





撮影:2017/08/12


 


江戸東京たてもの園(3)小出邸/小金井市

2018-03-25 | 東京の近代建築

設計の堀口捨己は、大正9年歴史主義からの脱却をめざし結成された「分離派」のメンバーで、日本のモダンデザインを牽引したひとり。堀口は代表作の一つ紫烟荘(大正15年)で、ヨーロッパのモダンデザインと茶室の融合を試みていますが、前年竣工の小出邸は和洋のハイブリッド住宅の先駆け的作品と言えるのではないでしょうか。


■和洋の造形を絶妙なバランスで折衷したデザインは、現代の住宅に通じるものがあります









■建物の内部は創建当時の間取りをとどめています





■小出邸/旧所在地:文京区西片二丁目
 竣工:大正14年(1925)
 設計:堀口捨己
 構造:木造2階
 撮影:2017/08/12

 


江戸東京たてもの園(2)デ・ラランデ邸/小金井市

2018-03-21 | 東京の近代建築

設計者のデ・ラランデは明治36年来日、横浜・神戸で外国人商館や邸宅を手がけ、神戸にある重要文化財トーマス家住宅(風見鶏の館)が現存しています。
建物は既存の木造平屋建ての洋館を、デ・ラランデが自邸として大幅に増改築したもので、その後何回も所有者が変わりましたが、昭和31年(1959)からカルピスの発明者として知られる三島海雲氏の自邸になり、平成11年(1999)まで三島食品工業の事務所として使われました。


■白く塗られた下見板張りの外壁と赤いマンサード屋根が特徴的
デ・ラランデは当時一世を風靡したドイツの「ユーゲント・シュティル」というスタイルを好み、この建物にもその影響がうかがえます








    


■デ・ラランデ邸(旧三島邸)/旧所在地:新宿区信濃町
 竣工:明治43年(1910)
 設計:デ・ラランデ
 構造:木造3階
 撮影:2017/08/12




江戸東京たてもの園(1)常盤台写真場/小金井市

2018-03-18 | 東京の近代建築

江戸東京たてもの園は、1993年江戸東京博物館の分館として、小金井市の旧武蔵野郷土館の敷地に建設されました。園内には都内に現存した江戸~戦後までの文化的価値の高い歴史的建造物が移築復元され、後世に伝える文化遺産として保存展示されています。
今回は園内の洋風の近代建築を中心にご紹介します。

■常盤台写真場/昭和12年(1937)築/板橋区常盤台1丁目
郊外住宅地の常盤台に建てられた写真館で、外観は装飾を排除し直線を基調としたインターナショナル・スタイル。
建物かどのアールと英語で書かれた「TOKIWADAI PHOTO STUDIO」の屋号がモダンな感じです。


■縦長の窓と階段の円形にくりぬかれた壁が昭和のモダニズムを醸し出しています。



■戦前の写真館はスタジオの安定した照度を得るため、北側に大きな窓を配置しているのが特徴。

撮影:2017/08/12


■高田小熊写真館/明治41年(1908)頃/愛知県犬山市明治村内
こちらも屋根に大きな採光用の窓が設けられています。
建物外観は明治末~大正期の洋館造りで、モダンな昭和の常盤台写真場と比べると華やかな印象。


浅草(2)東武浅草駅・松屋浅草店/台東区

2018-02-17 | 東京の近代建築

一時は改変がいちじるしく、外壁は白い外装材でおおわれた悲惨な状況でしたが、近年昭和6年開店当時のアールデコ調の外観が復活しました。




■広告塔だった塔屋も開店時と同じ時計塔にもどされました


■東武浅草駅・松屋浅草店/台東区花川戸1-4
 竣工:昭和6年(1931)
 設計:久野節
 施工:清水組
 構造:RC造
 撮影:2017/08/12


浅草(1)神谷バー/台東区

2018-02-11 | 東京の近代建築

浅草吾妻橋交差点の北角地に建つ大正期の商業ビル。正面外壁はタイル貼りで、三連の半円アーチ窓がモダンな外観を際立たせています。浅草六区の映画館街の戦前建築が失われた現在、大正~昭和戦前期の浅草繁華街の雰囲気を伝える唯一の建物。

神谷バーは電気ブランと葡萄酒で名を馳せた名店で、現在もデンキブランは人気商品。1階店内の本館部分は創建当時の姿を残していて、大正モダンな浅草の大衆バーの雰囲気に浸りながらお酒や料理が楽しめます。1階ホールは150席ほどの大きさで、先に食券を買い求め空いたテーブルに座ると、熟練のホール係のおねえさんたちがすぐにオーダーをとりに来てくれます。料理も比較的リーズナブルで、特にビールのおともに最適なメニューの品ぞろえが豊富で、居酒屋チェーン店とはひと味違った料理が楽しめます。一人でも気軽に入店でき、本物のモダン建築を楽しみながらちょっと一杯やるのに最適です。




■神谷バー本館/台東区浅草1-1-1
 竣工:大正10年(1921)
 設計:清水組
 施工:清水組
 構造:RC造4階
 撮影:2017/08/12
 ※国登録有形文化財


上野公園(8)JR上野駅/台東区

2018-02-07 | 東京の近代建築

現存する駅舎は、震災復興建築として建てられた二代目駅舎。東京駅と並ぶ巨大ターミナル駅ですが、東京駅は明治~大正期のクラッシクな古典様式、上野駅は昭和初期のモダニズムの影響を受けた新古典主義建築で外観は対照的。東京駅は皇居が近いこともあり、東京の玄関口としての威厳が感じられますが、上野駅は東北からの玄関口という地理的な要因もあり、庶民的なイメージが漂います。
上野駅の特徴は乗降客の動線を立体的に処理したことで、当時としては最先端の機能的な駅舎でした。その後全国で機能主義、合理主義に基づいた駅舎が続々と誕生しますが、上野駅はその先駆けとして、各地の駅舎に大きな影響をあたえました。


■駅舎外観(広小路口)


■JR上野駅/台東区上野7-1
 竣工:昭和7年(1932)
 設計:酒見佐市(鉄道省)
 施工:鹿島建設
 構造:RC造地上2階、地下1階
 撮影:2017/08/12


上野公園(7)東京芸術大学の近代建築/台東区

2018-02-03 | 東京の近代建築

■旧東京音楽学校奏楽堂/台東区上野公園8-43
 竣工:明治23年(1890)
 設計:山口半六+久留正道+上原六四郎
 施工:田中幸次郎
 構造:木造2階
 撮影:2017/08/12
 ※国指定重要文化財

明治20年に設立された東京音楽学校の旧本館で、日本最古の洋風木造の音楽専用ホール。
滝廉太郎、山田耕筰など、多くの著名な音楽家がここで育ちました。
現在は東京都台東区が移築保存し、区の音楽ホールとして再活用をはかっています。 


■東京芸術大学正木記念館/台東区上野公園12-8
 竣工:昭和10年(1935)
 設計:金沢庸治
 施工:不詳
 構造:RC造2階
 撮影:2017/08/12
 ※都選定歴史的建造物

東京美術学校5代校長・正木直彦の業績を記念して建てられた作品陳列館。
昭和初期に流行した帝冠様式を採用した近代和風建築。


■東京芸術大学陳列館/台東区上野公園12-8
 竣工:昭和4年(1929)
 設計:岡田信一郎
 施工:不詳
 構造:RC造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

学生等の作品の展示施設。
同時期に建てられた黒田記念館とともに岡田信一郎の設計。
どちらも茶色のスクラッチタイル貼りですが、こちらはより端正で落ち着いた外観。
 


■東京芸術大学赤煉瓦1号館(旧教育博物館書籍閲覧所書庫)/台東区上野公園12-8
 竣工:明治13年(1880)
 設計:林忠恕
 施工:不詳
 構造:煉瓦造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

明治初期、煉瓦や石造の洋風建築のほとんどは、お雇い外国人建築家に委ねられていました。
明治13年に建てられたこの建物は、日本人技術者による最初期の煉瓦造建築で、現存する都内最古の煉瓦建築として大変貴重。
隣の2号館(明治19年)とともに、今も大学構内で大切に保存されています。




■東京芸術大学赤煉瓦2号館(旧東京図書館書籍庫)/台東区上野公園12-8
 竣工:明治19年(1886)
 設計:小島憲之
 施工:服部浅五郎
 構造:煉瓦造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

隣接する赤煉瓦1号館に次いで都内で2番目に古い煉瓦造建築。
入口のイスラム風尖塔アーチや最上部の丸窓など個性的なデザインが面白い。



■東京芸術大学音楽学部赤煉瓦門/台東区上野公園12-8
 竣工:明治23年(1890)
 構造:煉瓦造
 撮影:2017/08/12





上野公園(6)国立国会図書館国際子ども図書館(旧帝国書館)/台東区

2018-01-28 | 東京の近代建築

明治に建てられた本格的なルネッサンス様式のわが国初の国立図書館。当初の計画では中庭を囲むロの字型の平面の壮大な規模の建物(建坪900坪)でしたが、日露戦争による財政難のため東面部分を完成しただけで中止となりました。現存する建物は当初計画の3分の1の規模に縮小された東面だけですが、華麗なフランス・アンピール様式の外観は、未完成に終わった壮大な図書館の片鱗をしのばせてくれます。
建物は2002年に安藤忠雄の手で増改築が施され、現在は「国立国会図書館国際子ども図書館」として保存再生され一般に開放されています。


■建物東面






■エントランスから大階段











■大階段と廊下~木製の建具や鋳鉄製の手摺、漆喰仕上げの壁や天井は創建時の姿に保存復元されています


       
    

3階ホール


 







■国立国会図書館国際子ども図書館(旧帝国図書館)/台東区上野公園12-49
 竣工:明治39年(1906)
 設計:久留正道+真水英夫+岡田時太郎
 施工:直営
 構造:鉄骨補強煉瓦造地上4階、地下1階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物




上野公園(5)東京文化財研究所 黒田記念館本館 ・書庫/台東区

2018-01-24 | 東京の近代建築

近代洋画家黒田清輝の遺言により美術研究所として建設されました。現在は東京国立博物館の一部として、館内2階に黒田記念室が設けられ、遺作の数々を展示公開しており無料で入場できます。
外観は昭和初期の復興建築に好んで使われたスクラッチタイル貼り(ライトの帝国ホテルの影響)で、2階正面にイオニア式列柱6本並べた端正なルネッサンス様式。なお向かい側には同じ岡田の設計した東京芸大の陳列館が現存しています。



■黒田記念館の建つ交差点周辺には、東京芸大の陳列館、正木記念館、奏楽堂、旧京成電鉄駅舎、国際子ども図書館など多くの近代建築が集まっています



■茶色のスクラッチタイルの外観は落ち着いた雰囲気



■イオニア式列柱が目を引く岡田が得意とする古典折衷様式の外観



■玄関上部のアールヌーボー調の装飾を施したファンライト(扇窓)



■本館の向かって右側の建物が書庫


     

 


東京文化財研究所 黒田記念館本館 ・書庫/台東区上野公園12-53
 竣工:昭和3年(1928)
 設計:岡田信一郎
 施工:竹中工務店
 構造:RC造2階
 撮影:2017/08/12
 ※国登録有形文化財

 


上野公園(4)旧京成博物館動物園駅/台東区

2018-01-21 | 東京の近代建築

地下鉄駅の上屋で、ここまで凝った意匠を施した様式建築は他には見当たりません。石貼りの外壁に国会議事堂を思わせるピラミッド風の段状屋根、軒廻りの古典系装飾、出入り口の両脇のオーダー(円柱)など、小さな駅舎ながら見どころいっぱいです。
たかが小さな地下鉄の駅舎にここまで入念なデザインが施されたのは、駅舎の敷地が当時宮内庁の管轄下にあったためで、御料地の下を通る地下鉄の駅舎には、それ相応の威厳と格式が求められたというわけです。
平成9年(1997)京成博物館動物園駅廃止にともない出入り口も閉鎖されたため、内部のパンテオン神殿風ドームが見られらないのは残念ですが、列車通過の際にはかつての駅の様子を垣間見ることができます。


■国会議事堂と並び、石造りの「東京二大墓石建築」と言われています






■旧京成博物館動物園駅/台東区上野公園13
 竣工:昭和8年(1933)
 設計:中川俊二
 施工:不詳
 構造:RC造平屋
 撮影:2017/08/12


上野公園(3)国立西洋美術館本館/台東区

2018-01-20 | 東京の近代建築

近代建築の巨匠、フランスの建築家ル・コルビュジエの我が国における唯一の作品が、2016年世界遺産にも登録された国立西洋美術館本館です。コルビュジエが基本設計、彼の弟子である坂倉準三、前川國男、吉阪隆正が実施・監理の協力のもと昭和34年(1959)に完成しました。
「無限成長美術館」のコンセプトで設計された美術館のひとつで、平面を螺旋形状にして外周部への増築を可能とし、収蔵品の増加にともなう展示空間の拡張に対応しています。
〈参考:江戸東京たてもの園特別展 世界遺産登録記念 ル・コルビュジエと前川國男〉


■淡緑色の外壁は緑色の玉砂利を全面に埋め込んだものですが、現在は改修済みでオリジナルではありません



■1階部分にはコルビュジエの建築の特徴であるピロティのコンクリートの円柱が見えます


■国立西洋美術館本館/台東区上野公園7-7
 竣工:昭和34年(1959)増築:昭和54年(1979)
 設計:ル・コルビュジエ 増築:前川國男建築設計事務所
 施工:清水建設
 構造:RC造地上2階、地下1階
 撮影:2017/08/12
 ※国指定重要文化財