かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

善光寺周辺(3)~楽茶れんが館(旧信濃中牛馬合資会社社屋)/長野県長野市

2017-12-27 | 長野の近代建築

旧藤屋旅館の並びに建つ小さな煉瓦造2階建の建物。もともとは明治末期に建てられた運送会社の社屋で、現在は喫茶・レストラン「楽茶れんが館」として再活用されています。切妻造の屋根にはドーマー窓がのり、ファサードの赤煉瓦に配した白い花崗岩が絶妙なアクセントになっています。


■歴史を刻んだ本物の近代建築で味わう珈琲は、一段と美味しく感じられそうです





■玄関脇には「登録有形文化財」のプレートがさりげなく貼られています




■楽茶れんが館(旧信濃中牛馬合資会社社屋)/長野県長野市大門町67-1
 竣工:明治45年(1912)
   設計:中沢与左衛門
 施工:不詳
 構造:煉瓦造2階一部平屋建
 撮影:2017/11/26
 ※国登録有形文化財


善光寺周辺(2)~THE FUJIYA GOHONJIN(藤屋後本陣)旧藤屋旅館/長野県長野市

2017-12-26 | 長野の近代建築

善光寺参道の歴史的建造物のなかでも、ひときわ目を引く堂々たる西洋館があります。旧藤屋旅館の建物で、前身は北国街道の善光寺宿の本陣として300年の歴史を誇る老舗旅館でした。現存する建物は大正12年の道路拡幅に合わせて、アールデコ風の洋風建築に建て替えられたもの。外観は鉄筋コンクリート造にタイルを貼ったように見えますが、実際は木造モルタル部分をコンクリートにした「鉄網コンクリート」という大正期固有の技法を使っています。

現在は旅館業を休業、平成18年からレストラン・ウェディング業に特化した「THE FUJIYA GOHONJIN」に業態転換し、大正13年築の登録有形文化財の建物を活かして営業を続けています。


■アールデコ調の洋風ファサードの西洋館は、善光寺参道のランドマークとして抜群の存在感を誇ります











■THE FUJIYA GOHONJIN(藤屋後本陣)旧藤屋旅館/長野県長野市大門町82
 竣工:大正13年(1924)
 設計:藤井平五郎(自家)
 施工:師田庄左衛門
 構造:木造3階建
 撮影:2017/11/26
 ※国登録有形文化財

 


善光寺周辺(1)~サンクゼールワイナリー門前店(旧深沢洋品店)/長野県長野市

2017-12-24 | 長野の近代建築

久しぶりに長野の旧友を訪ねたついでに、善光寺にお詣りしました。参道には多くの商店や土産物屋が軒を連ねていますが、再生活用されたレトロな外観の戦前の近代建築がいたるところに残っていて、建築ファンの目を楽しませてくれます。
参道の善光寺交差点から大門の交差点までの短い間をちょっと歩いただけで、数件の洋館造りの近代建築を見つけることができました。


■善光寺参道~奥に仁王門があります(右手の大きな洋館は旧藤屋旅館)



■善光寺の信号の角にあるレトロな外観のワイン屋さん。
もとは大正12年築の洋品店ですが、木造ながら本格的な洋館造りの建物です。
大正期に流行ったセセッション風の外観がとても雰囲気があり、参道の伝統的景観に一役買っています。



■ファサード上部のレリーフが大正モダンな雰囲気を醸し出しています


■サンクゼールワイナリー門前店(旧深沢洋品店)/長野県長野市大門町84
 竣工:大正12年(1923)
 設計:店主
 施工:神田政治(大工)
 構造:木造3階建
 撮影:2017/11/26


築地(4)宮川食鳥鶏卵/中央区築地

2017-12-17 | 東京の近代建築

関東大震災後の復興期、東京の下町の繁華街に多く建てられた看板建築の一つ。看板建築とは、それまでの伝統的な商店建築の出桁造と異なり、平面のファサードに銅板、タイル、モルタルなどを使い自由にデザインした商店建築。
宮川食鳥鶏卵は、壁面全体を覆った緑青色の銅板が見事で、昭和初期の築地の商店の雰囲気を今に伝えています。



■当時木造3階建は建築基準法で許されませんでしたが、どう見ても堂々たる3階建です



■色々な鳥肉をあつかう商売を「諸鳥鶏卵商」というのでしょうか



■「電話 東京代表(54)百七十七番」と右から書かれた電話番号に時代を感じます



■宮川食鳥鶏卵/中央区築地1-4
 竣工:昭和5年(1930)
 構造:木造銅板葺3階建
 撮影:2017/08/11


■築地界隈で見つけた銅板貼りファサードの看板建築(この界隈の現存する看板建築もめっきり少なくなったようです)




築地(3)トイスラー記念館/中央区明石町

2017-12-12 | 東京の近代建築

トイスラー記念館は昭和8年、隅田川畔の明石町19番地(現在の聖路加ガーデン)に聖路加国際病院の宣教師館として建設されました。平成元年に解体工事が行われ、平成10年3月現在地に移築復元されました。壁面にハーフティンバー風の木枠を見せる意匠で、曲線を描く大屋根や煙突など、ヨーロッパの山荘を思わせる外観です。


■保存された旧病棟の脇に、開設者トイスラー院長の記念館として移築復元されています








■トイスラー記念館/中央区明石町10
 竣工:昭和8年(1933)
 設計: J.バーガミニー+A.レーモンド
 施工:清水組
 構造:木造+RC造(地下)地上7階、地下2階、地下1階
 撮影:2017/08/11




築地(2)聖路加国際病院旧棟(チャペル・旧病棟)/中央区明石町

2017-12-09 | 東京の近代建築

明治43年にトイスラー博士により開設された病院が前身で、昭和8年竣工の旧病棟の一部とチャペル(聖ルカ礼拝堂)が現存しています。この建物は当初、フォイエルシュタインのデザインをもとに、A.レーモンドによりインター・ナショナルスタイルで設計されましたが、途中からバーガミニーの手が入り、ニューヨーク風のアールデコ装飾がくわえられました。

十字架を乗せた塔は、今もかつての居留地明石町のランドマークとして親しまれ、旧病棟は看護学校に組み込まれて再生活用されています。









■聖路加国際病院旧棟/中央区明石町9-1
 竣工:昭和8年(1933)
 設計:J.バーガミニー+B.フォイエルシュタイン+A.レーモンド
 施工:清水組
 構造:SRC造7階
 撮影:2017/08/11
 ※東京都選定歴史的建造物