かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧津島信用金庫本店/津島市観光交流センター(津島市)

2011-03-27 | 海部の近代建築

戦前の昭和期、西尾張の経済の中心地だった津島を代表する近代建築。
正面玄関の両脇にオーダー(双子柱)を配置するクラッシクなデザインは、銀行建築らしい重厚さを演出していますが、細部の装飾は簡略化され、古典的要素と幾何学的要素がミックスされた当時の地方銀行定番のデザインになっています。

2006年に国登録有形文化財に指定され、現在は津島の歴史・文化・観光を紹介する津島市観光交流センター(まつりの館 津島屋)として建物もリニューアルされ、津島の歴史を語る近代化遺産として活用されています。


■外壁はお色直しを施され現在は「津島市交流センター」として第二の人生を歩んでいます



■ルネッサンス様式を基調とし、細部装飾は当時流行の幾何学的なモダンデザインを採用






◆旧津島信用金庫本店(旧名古屋銀行津島支店)/津島市観光交流センター(まつりの館 津島屋)
 所在地:津島市本町1丁目52-1
 竣工:昭和4年(1929)
 設計:坂野悦男
 構造:RC造2階
 撮影:2016/05/04
 ※国登録有形文化財


愛知県立小牧高等学校(旧制小牧中学校)正門

2011-03-23 | まちかどの20世紀遺産

小牧市建築散歩~番外編

昭和4年築の講堂が現存する小牧高校には、同じ年に建てられた旧制中学の頃の正門が今も大切に使われています。
県内の学校の校舎や講堂、体育館は老朽化のためほとんど建て替えられてしまいましたが、校門は当時のまま残っている学校が結構あり、開校当時の雰囲気を今に伝えてくれます。

昔の校門はその学校の長い歴史を語りかけてくれるようで、あらためて学校の顔として校門が果たす役割の大きさを認識しました。

 





学校名があえて旧字体にしてあるところが旧制中学時代からの歴史の重みを感じさせます

 



 

 

 


小牧高等学校旧講堂(小牧市)

2011-03-22 | 尾張の近代建築

小牧市建築散歩~その2

小牧城のそびえる小牧山のすぐ東側に位置する愛知県立小牧高等学校(旧制小牧中学)に現在も戦前の講堂が残っています。
建物は鉄筋コンクリート造ですが、コンクリートの庇の上に瓦葺きの大屋根を載せているのが時代を感じさせます。
外観デザインはシンプルですが、随所に戦前の昭和モダンな幾何学的装飾やモチーフが見られ、現代建築とは一味違った細部の意匠が楽しめます。

小牧高校の前身は大正13年に開校された旧制愛知県立小牧中学校ですが、愛知県内の県立旧制中学のRC造建築としては、瑞陵高校と津島高校、西尾高校の講堂が現存しています。

 

◆愛知県立小牧高等学校旧講堂(旧制愛知県立小牧中学校講堂)/小牧市小牧1丁目
 竣工:昭和4年(1929)
 設計:愛知県建築部営繕課
 施工:秋田義工
 構造:RC造平屋
 撮影:2011/02/27

 


建物北側正面玄関




奥の白いドアは控え室入り口、その隣が講堂出入り口になっている




控え室の台形の窓~特注の真新しいサッシに交換




建物東側~コンクリートの庇の上に寄棟の大屋根が架かる




東側出入り口の上にあるアールデコ風の装飾




建物南側~東西に2つの出入り口



  
建物南側の窓と出入り口~上部にキャタピラーの様な凸凹の帯飾りが廻る




建物西側~右側の出っ張った部分が控え室

 



 

 

 

 






  


春を待つ白川郷

2011-03-21 | まち歩き

3月13日の日曜日、岐阜県白川村の世界遺産、白川郷に行ってきました。
当日は数日前までの雪模様の天気が嘘のような上天気で、雪深い白川郷も春のようなぽかぽか陽気でした。
雪の少ない地方で育ったわたしですが、雪の中に点在する合掌造りを巡っていると、なんだか幼い頃に見た懐かしい風景に思えてくるから不思議です。
白川郷の雪深い山里の景色は、日本人なら誰もが持っている心のふるさとの風景に通じるものがあるようです。

 


日本の原風景を思わせる白川郷の雪景色











屋根の雪がてっぺんだけモヒカン風に残っています




白川郷で見つけたナショナルタイヤ・チューブの琺瑯看板




マンホールにも合掌造り

 

 

 

 

 

 

 

 


旧塚原毛織洋館(小牧市)

2011-03-20 | 尾張の近代建築

小牧市建築散歩~その1

名鉄小牧駅のすぐ南側に昭和初めの本格的洋館が残っています。
この地で毛織物業を始めた塚原嘉一によって昭和9年に建てられたもので、本宅は和風建築の3階建ですが、隣に併設された事務所は洋館建築で、木造2階建てのモルタル塗り、石積み状に目地を切った外壁の窓上に装飾を施し、玄関ポーチ上には手摺を廻した本格的な洋館仕様になっています。

当時は7000坪の敷地に本宅、事務所、工場、工員宿舎、裁縫女学校校舎などが建てられましたが、昭和51年に工場は閉鎖され、現在塚原毛織の建物としては、本宅、事務所、門、倉庫が現存しています。

 

◆旧塚原毛織事務所/小牧市中央2丁目
 竣工:昭和9年(1934)
 構造:木造2階建
 撮影:2011/02/27

 


 
旧塚原毛織本宅の和館と事務所として使われた洋館




軒には玉飾りのパラペットを廻し、窓の上には半円形の装飾、中央にはマル嘉の紋が掲げられている




玄関車寄~上部は手摺を廻しバルコニーに、玄関扉も木製で当時のまま




玄関扉の上にはレリーフ状の見事な装飾が施されている

 

 

 



 


琺瑯看板の旅/2011~西尾張編

2011-03-09 | まちかどの20世紀遺産

2月20日に稲沢まで建築探訪に出かけました。
冬の運動不足解消もかねて、久しぶりに自転車での遠出(往復60km)となりましたが、幹線道路は避け昔からの街道筋を走行しました。
国道や県道は道幅を広げ整備が進んでいるので、わたしの興味を引く古い建物や看板はほとんど残っていませんが、古い住宅街を通る裏街道にはまだまだ面白物件が残っています。
今回は江南~一宮~稲沢の裏街道ルート(幹線道路の間を斜めに走っている場合多し)を走行し、琺瑯看板を3枚ゲットしました。
最近は新種の琺瑯看板を見つける機会もめっきり少なくなっていたので、昨年の「キンチョー群生地」発見以来の久々の新種発見に、帰り道のペダルも軽く快適なサイクリングでした。

 


◆完全飼料(三菱)旧美濃街道/稲沢市



◆完全飼料(まるト)/一宮市
 
完全飼料は大人気で数社のバージョンが存在します



◆菅公学生服/江南市

学生服の二大看板のひとつカンコー
ちなみにもうひとつは富士ヨットですが、いまだ出会えません


上之郷公民館(一宮市)

2011-03-06 | 尾張の近代建築

◆上之郷公民館/一宮市瀬部上之郷

 竣工:不詳(大正~昭和初頃?)
 構造:木造平屋建て
 撮影:2011/02/20

県道江南木曽川線の江南市と一宮市の境、瀬部上之郷の信号交差点に昔ながらの戦前の公民館が残っています。
建築年代は不明ですが、外観のデザインから大正~昭和初めにかけて建てられたと推測されます。
当時の地方の公民館建築は木造下見板貼りの比較的装飾の少ないシンプルなデザインが大半ですが、上部の外壁をドイツ壁風にし、特に玄関周りのデザインは細部にも設計者のこだわりが感じられます。
外壁は一部トタン張りに建具もサッシに変わっていますが、建設時の状態を良く保ちながら現在も大切に使われている様子です。


◆玄関周りは「公」マークや車寄の柱の「◎」の形の装飾、縦長の換気口と木製の持ち送りなど見所がいっぱい





◆東側入り口~上部の小窓は木製枠で一部模様入りのガラスも当時のままです



◆幾何学模様のアールデコ風金属製持ち送り



戦前に建てられた地方の公民館も老朽化のため建て替えが進んでいます。
上之郷公民館は大正、昭和の公民館建築の面影をとどめる貴重な近代化遺産で、これからも町の記憶として末永く保存活用されることを願います。

 





 


稲沢町の洋館(稲沢市)

2011-03-02 | 尾張の近代建築

稲沢市建築散歩~その4

美濃街道沿いに発達した旧市街地の南側、戦前からの住宅地に昭和初めに建てられた洋館建築が現存しています。
大正から昭和にかけて建てられた和風住宅に洋室や小さな洋館を付けたスタイルのいわゆる一部洋風住宅ではなく、半切妻の屋根やドーマー(屋根窓)、ハーフチンバー風の外壁など全体を洋風意匠でまとめた昭和初めの洋風住宅の特徴を良く残す洋館建築です。
さすがに外壁や窓、ドアなどは改修されていますが、良く手入れが行き届いた外観は美しく、とても築80年以上が経過した建物には見えません。

周りの住宅の建て替えが進む中、昭和の初めに建てられた住宅を現在も大切に使っている様子が良く分かり、住む人のこの建物への並々ならぬ思いや愛情が伝わります。

◆稲沢町の洋館/稲沢市稲沢町前田
 竣工:昭和2年頃(1927)
 構造:木造平屋建て
 撮影:2011/02/20

 





◆ちょっと見はそんなに古い建物には見えませんが・・・じっくり細部を観察すると
現代住宅には無い大正~昭和に建てられた洋館ならではの味わいが感じられます