かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

戦前の医院建築

2008-05-29 | まちかどの20世紀遺産
 近代建築(西洋館)の最大の魅力は、外観のバリエーショの豊富さです。時代や目的によっていろいろなデザインが採用されているので、現代の画一的な住宅にはない面白さがあります。
 現存する近代建築では、戦前の医院建築が、和・洋・折衷様式とデザインが多様で楽しめます。特に戦前のお医者さんといえば、現在とは比較にならない社会的なステータスがあり、家柄、財力、知力の三拍子がそろった地方の名士でした。当時、個人で最新の建築様式を採用した西洋館を建てられるのは、一部の金持ちだけでしたので、一般庶民はその立派な洋風の建物を見るだけで、お医者様の威光をいやがうえのも実感したのです。
 


◆北原医院(長野県諏訪市)
 諏訪湖畔で見つけた古い医院。張り出し窓が洋館らしさを演出しています。



◆宮島耳鼻科/大正3年(長野県松本市)
 屋根に小さな塔がある本格的洋館です。



◆上條医院(長野県松本市)
 


◆山崎歯科医院/明治20年代(長野県松本市)
 明治に建てられた珍しい赤煉瓦建築の医院



竹内産婦人科/昭和3年(愛知県刈谷市)
 大中肇設計の貴重な医院建築。



◆藤本内科医院/(岐阜県土岐市)
 ライトブルーの下見板が洋館に良く似合います。



武藤医院/昭和初(三重県桑名市)
 昔はこんな医院がどこの町にもありました。



新美眼科医院/大正14年(愛知県半田市)
 大正の洋館らしく屋根瓦は和風です。



山田歯科医院/昭和前(岐阜県多治見市)
 外壁は改装されていますが、玄関のペディメントとオーダーが古典様式のツボを押さえたつくりになっています。



熊谷医院/昭和13年(岐阜県土岐市)
 ヨーロッパの民家を思わせるマンサード屋根の医院。



石黒歯科/(愛知県名古屋市)
 窓枠から昭和の匂いが・・・



◆新生医院(岐阜県揖斐郡池田町)
 ドイツ壁と玄関のスクラッチタイルが渋いです。



久保田外科/昭和9年(岐阜市)
 玄関周りが見所です。
 



源氏橋(岐阜県養老君養老町)

2008-05-09 | 近代橋めぐり

養老駅の北東、県道213号線の脇に源氏橋という小さな石橋があります。
「源氏橋」の名前は1159年(平地元年)、平治の乱で平氏に敗北した源氏の棟梁源義朝が京都から落ち延びる際に、この地から舟で津屋川を下り愛知県知多郡美浜町まで落ち延びたことからつけられたと言われています。
もちろんその時は木橋でしたが、大正4年に現在の石橋に架け替えられました。
(ぎふ歴史的土木構造物より http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/rekishiteki-doboku.data/ibigawa.pdf

◆源氏橋(げんじ)~津屋川/岐阜県養老郡養老町飯ノ木
 竣工:大正4年(1915)
 構造:石桁橋
 撮影:2008/05/03
 ※養老町指定文化財


■親柱には大正四年三月架橋と刻まれています



■高欄外側には源氏の笹竜胆(ささりんどう)の紋のレリーフが施されています





■内側には矢が彫られています



■橋のそばにある石標~明治十三年多芸郡飯木村とあり、裏には源氏橋と彫ってあります




 


西大垣駅~養老鉄道 養老線(岐阜県大垣市)

2008-05-08 | 木造駅舎の旅

養老線は開業当時の古い木造駅舎が残っていますが、今も当時のたたずまいを残す西大垣駅は、映画「黄色い涙」(2007年公開)のロケ地になり、1960年代の東京の阿佐ヶ谷駅として使われました。
このほか愛知県江南市の商店街も、アイドルグループ嵐演じる若者たちが通うレトロな食堂のある阿佐ヶ谷の商店街として登場しています。


 

◆西大垣駅~養老鉄道 養老線/岐阜県大垣市木戸町910
 竣工:大正2年(1913)
 構造:木造平屋
 撮影:2008/05/03 


養老駅~養老鉄道 養老線(岐阜県養老郡養老町)

2008-05-06 | 木造駅舎の旅

大正時代の当時のまま時間が止まったようなの古い木造駅舎ですが、養老公園に遊びに来る行楽客のための正面玄関にふさわしい風格を感じさせる立派な駅舎です。
鬼瓦の載った入母屋屋根と洋風のドーマー窓が違和感なくマッチし、和洋折衷の独特の雰囲気が観光駅としての華やかさを演出しています。
現在は当時と比べ鉄道を利用する行楽客も減り、訪れた日はゴールデンウィークの連休中にもかかわらず駅前はひっそりとして、ほとんど人影もなく、立派な駅舎がさびしそうに見えました。

 
◆養老駅~養老鉄道 養老線/岐阜県養老郡養老町鷲巣白石道
 竣工:大正2年(1913)
 構造:木造平屋 
 撮影:2008/05/03


■鬼瓦の載る入母屋の車寄とドイツ風のツノ付きのドーマー窓


 

■待合室と改札口



■駅構内にある昭和にタイムスリップしたようなレトロな売店と喫茶店。
売店には懐かしいセルロイド(死語?)の飾りが下がり、名産のひょうたんが所狭しと並んでいます。
隣の喫茶店で珈琲を飲みたかったのですが、残念ながら閉店していました。



■カフェと呼ぶのがふさわしい木製のドアも当時のままの「千歳」

 


養老・大垣 自転車の旅

2008-05-05 | まち歩き

 ゴールデンウイークの連休初日、自転車で久しぶりのロングツーリングに出かけました。
 今回の目的地は岐阜県の養老から大垣です。いつものように近代建築を撮影しながらのツーリングになるので、一日の走行距離は100キロを超えそうです。今までの最長不倒距離が70キロくらいですので、初の大台をめざし朝7時30分、犬山の自宅を出発しました。天気が良すぎて気温の上昇が心配ですが(天気予報では予想最高気温28度)午前中は快調に走行。愛知県一宮市から濃尾大橋を渡り、岐阜県羽島市へ。



羽島市は円空上人誕生の地で、円空資料館があります。




木曽、長良、揖斐の木曽三川に囲まれたこの地域は、輪中と呼ばれ、水害に備えて母屋とは別に水屋と呼ばれる蔵が、高く詰まれた石垣の上に建てられています。



輪之内町から揖斐川を渡ると養老町です。レンゲ畑の向こうに広がる養老山脈の大パノラマに疲れも忘れます。



近鉄養老駅の近くで見つけた古い石造りの橋。
「源氏橋・大正4年架橋」の銘が彫ってあります。名前にたがわぬ優美なデザインです。



10時45分、ついに養老駅に到着。犬山からの行程47km、途中寄り道したので、所要時間は3時間15分。思ったより疲れもなく、駅前の巨大ひょうたんの前でしばし休息です。



養老の滝をデザイン化したマンホール



養老鉄道(旧近鉄養老線)沿いを大垣に向かいます。
途中、美濃高田駅(大正2年)に寄り駅舎を撮影。



大垣市内に入り、西大垣駅(大正2年)を撮影。



◆大垣消防組員頌徳碑(昭和7年)
 大垣城に隣接する公園にかなり奇抜なデザインの石碑を発見。様式建築に見られるオーダー(石柱)を狭い空間に、これでもかといわんばかりに並べた姿はまさに壮観、設計者の心意気が伝わります。





◆大垣共立銀行旧館記念柱(大正13年)
 大垣共立銀行の前庭に旧館の柱の一部が、オブジェのように保存されています。


 大垣市は二度目の訪問なので、今回は前回見落とした物件を中心に手短に撮影し、13時20分大垣を後にしました。午後から予想以上に気温が上昇し、帰り道は30度を越える炎天下での過酷な長時間走行になりました。途中から軽い熱中症にかかったようで、最後は頭痛と気分の悪さにへろへろになりながら、16時に何とか犬山にたどり着きました。

~今回のツーリングの感想と反省~
 走行距離は104km、所要時間は休息を含め8時間30分でした。体力、筋力的には思ったよりきつくありませんでしたが、後半はとにかく暑さにやられ、かなりペースダウンしました。さすがに30度を超える炎天下での長時間の運動は中年のオヤジにはこたえます。今回は長距離ツーリングが目的でしたので、とにかく一日で100キロ走れたのは、自分なりに自信になりました。ただ距離を欲張ると、もうひとつの楽しみの近代建築探訪や、路上観察の時間的余裕が余りありません。今度はもっと涼しい日を選び、適当な距離で、余裕を持ってツーリングと町めぐりを楽しみたいと思います。