かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧犬山橋(愛知県犬山市~岐阜県各務原市)

2011-04-17 | 近代橋めぐり

近代建築を訪ね歩いていると、各地で現役で使われている戦前の古い橋に出会えます。
近代に造られた橋は、近代建築と同じように歴史様式やモダンデザインを採用した細部の装飾も見所ですが、その構造(石、煉瓦、鉄、コンクリート、アーチ、トラス、吊橋など)により多彩な表情が楽しめます。

というわけで、近代橋めぐりの第1回目は、わたしの地元の旧犬山橋を紹介します。
旧犬山橋は、江戸時代から続く「内田の渡し」があった交通の要所に大正14年に架橋され、翌年には犬山~鵜沼間に名鉄電車が開通し、愛知と岐阜が近代的な永久橋で結ばれました。
以来75年間、地元の人にとっては生まれた時からずっとそこにある風景として親しまれてきました。

旧犬山橋の犬山市側には名鉄の犬山遊園駅があり、昭和40年代頃までは電車を利用して日本モンキーパークを訪れるたくさんの人でにぎわいました。
私は当時小学生で岐阜県側の各務原市に住んでおり、日帰りレジャーや遠足と言うと必ず名鉄電車に乗り、モンキーパークへ出かけました。
電車が旧犬山橋の上にさしかかると、車窓からすぐ隣をぎりぎりで走行する車が見下ろせ、わくわくしたのを覚えています。

平成12年3月にすぐ下流側に道路専用の新犬山橋(ツインブリッジ)が開通し、全国でも珍しい鉄道と道路の併用橋としての役目を終えた旧犬山橋は、現在は鉄道専用橋として使用されています。
旧犬山橋は大正期のモダンな橋の面影を残す貴重な近代土木遺産で、国宝の犬山城とともに「そこにあるいつもの木曽川の風景」としていつまでも地元の人々に愛され続けていくことでしょう。


◆現在の旧犬山橋北詰(各務原市側)撮影:2011/04/10
 モンキーパークで開催中のポケモンが描かれた名鉄電車が走り抜けます



◆併用橋として使用されていた頃の旧犬山橋~電車の横を自動車がぎりぎりですり抜けます
 すぐ隣には新犬山橋建設中のクレーンが写っています(撮影:1999/05)



◆各務原市側には当時のままの広いテラスやオリベスク様の大きな橋灯、石積みの橋脚などが残っています



◆現在の旧犬山橋南詰(犬山市側)2011/04/10



◆1999年5月当時の旧犬山橋南詰



◆新犬山橋(ツインブリッジ)と旧犬山橋~75年の時を超えて新旧の橋が並んでいます
 新犬山橋の色は周囲の景観に配慮し、橋の色としては珍しい黒色を採用



◆旧犬山橋南詰に残る「内田の渡し」の常夜灯



◆旧犬山橋遠景~犬山市側上流より



◆犬山市側下流より



◆犬山橋/木曽川(愛知県犬山市内田東町~岐阜県各務原市鵜沼南町)
 竣工:大正14年(1925)
 構造:鋼ワーレントラス


■戦前の様子を伝える絵はがき
     






最新の画像もっと見る

post a comment