かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

十六館(旧十六銀行益田支店)/岐阜県下呂市萩原町萩原

2022-02-26 | 飛騨の近代建築

JR飛騨萩原駅の西側、十六銀行益田支店の斜め向かいに明治44年築の旧店舗が現存しています。
開業時は明治期の地方銀行でよく見られる木造土蔵造りの建物でしたが、現在はRC造に改築され、十六館としてギャラリーなどとして再生活用されています。
玄関部分は改変されていますが、漆喰塗りの外壁やアーチ窓の意匠など外観は当時の姿をよくとどめています。







◆十六館(旧十六銀行益田支店)/岐阜県下呂市萩原町萩原1359-1
 竣工:明治44年(1911)
 構造:土蔵→RC造平屋
 撮影:2006/08/06
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/7081.html


このブログで取り上げた現存する明治~大正期の漆喰塗りの土蔵造銀行建築です。
おもに観光施設やギャラリーなどに再生活用されています。
近代建築保存の一番幸せな形として、これからも再生活用される建物が増えるのを願うばかりです。

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まち並みふれあいの館(旧岩村銀行本店)岐阜県恵那市 - かどの煙草屋までの旅 

岩村建築散歩その3~まち並みふれあいの館(旧岩村銀行本店)岩村の中心街本町通の真ん中に建つ土蔵造の建物で、明治41年に岩村銀行設立時に本店と...

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昭和横丁/旧村瀬銀行犬山支店(愛知県犬山市) - かどの煙草屋までの旅 

犬山城から南へ延びる本町通り沿いに、土蔵造の洋風銀行建築の遺構が残っています。犬山城下町の中心、本町通りには近世の町屋が比較的多く残っていま...

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旧村瀬銀行萩原支店(愛知県一宮市) - かどの煙草屋までの旅 

旧美濃路萩原商店街沿いには旧萩原郵便局とともに、大正期の銀行建築の貴重な遺構、旧村瀬銀行萩原支店が現存しています。村瀬銀行は明治31年(18...

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小弓の庄/旧加茂郡銀行羽黒支店(愛知県犬山市) - かどの煙草屋までの旅 

私の地元犬山市には国宝犬山城があり、城下町には江戸末~明治期に建てられた町屋が多数現存しています。また博物館明治村には、9件の国の重要文化財...

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下呂温泉 湯之島館~洋館探訪・その1(岐阜県下呂市)

2019-06-15 | 飛騨の近代建築
 
本館に併設された洋館棟は、創建当時の昭和モダンな造形が随所に残っていて、迷路のような廊下や階段を巡りながら近代建築探訪が楽しめます。


■洋館棟外観




■旧ダンス場(クラブムーンライト)




 
 

■足湯のあるテラス


  



■撞球室




■会議室


 

■会議室の奥にあるサンルーム




■卓球室
 

下呂温泉 湯之島館~玄関・本館(岐阜県下呂市)

2019-06-12 | 飛騨の近代建築

6月8~9日、一泊で岐阜県下呂温泉に行ってきました。
宿泊は玄関と本館の建物が登録有形文化財に指定されている湯之島館です。
本館は昭和6年竣工の本格的数寄屋造ですが、当時としてはまだ珍しかったRC造の娯楽室と呼ばれる洋館が併設されています。

山腹に建つ深い木立に囲まれた木造3階建ての宿は、戦前の温泉宿の雰囲気をよく残しており、レトロな洋館にはダンスホールや撞球室、足湯のあるテラス、サンルームなどが当時のままの姿で訪れるものを迎えてくれます。

 
■本館玄関






■玄関脇の囲炉裏


■本館客室~木造3階建の和風意匠を凝らした旅館建築




■湯之島館/岐阜県下呂市湯之島645番地
 竣工:昭和6年(1931)
 設計:丹羽英二建築事務所
 施工:戸田示造
 構造:木造・RC造
 撮影:2019/06/08・09
 ※国登録有形文化財


高山の建築散歩~その2

2012-08-29 | 飛騨の近代建築

■飛騨高山 中華そば 鍜治橋
鍛冶橋西詰、鍛冶橋交差点の北側にあります。2階の角の柱の柱頭飾りとレトロな窓割りが見所。





■高山市図書館の南にある洋風建築。階段状の玄関のひさしの支えと2階の縦長の連続窓が特徴。



■筏橋西交差点南すぐの町家
 1階は純日本風、2階は下見板張りの洋風仕様。



■だんだんばたけ
朝日町の市民広場の東、高山中央駐車場向かいにある店舗。
1階は店舗用に改装されていますが、2階は下見板張り、窓枠も木製で当時のまま。



■川久金物店・刃物の川久(昭和10年)
本町4丁目にある金物店。2階の軒下に小さなアーチが連なるロンバルド帯風の装飾あり。
川の字が一本足らないのはご愛嬌ですが、斜めの屋号はヘタウマか?



ネットで調べてみるとその他にも洋風の店舗建築が多数現存しているようです。
今回は時間が取れずじっくり見て回ることができませんでしたが、伝統的な町家の中に戦前の洋風建築を探すのも高山の町歩きの楽しみです。
(撮影:2012/08/18)

 




高山の建築散歩~その1

2012-08-28 | 飛騨の近代建築

今回高山を訪れたのは実に25年ぶり、お盆休みの最後の連休とあって昔ながらの町並みが残る伝建地区は、夏の軽井沢並みの人手で大賑わいでした。前回訪問時は観光客もそこそこで、まだまだ静かな町並みでしたが、現在は宮川沿いの伝建地区周辺のほとんどの建物が観光客向けの店舗に改装され、京都の清水寺の参道のようにずらりと土産物屋や飲食店が軒を連ねています。

伝統的な町家に混じって古い洋風の建物もちらほら見られ、1階部分は店舗に改装されているものの2階部分は当時のままという建物がかなりあります。観光客向けの店舗に改装されたことにより、結果的に当時のままの外観を残すことになったようで、これが普通の商店街では取り壊しや建て替えになるケースがほとんどだと思われます。

■雑貨店モチーフ
筏橋西詰北側、天狗総本店の向かい側。壁面の装飾や柱頭飾りが見所のかなり本格的な洋風建築。築年は天狗総本店と同じ昭和初期か?
 






■フレッシュフーズ駿河屋本町店
本町通りの筏橋西交差点を50mほど北に向かうと東側に店舗があります。
1階部分はアーケードでほとんど隠れていますが、2階部分にギリシャ風の溝付きオーダーとタイル貼りの壁面が見えています。
駿河屋は昭和8年創業の老舗。



撮影:2012/08/18


和食処 角一亭/旧日下部味噌醤油醸造会社醤油庫(岐阜県高山市)

2012-08-27 | 飛騨の近代建築

高山市中心部の伝建地区にある飛騨高山まちの博物館の南、県道462号線の上一之町交差点から南へ約70メートルのところに、高山で最初の煉瓦造の蔵が残っています。
現在建物は、飛騨牛や朴葉味噌などの郷土料理店「
和食処 角一亭」の店舗として使われていますが、当初は明治38年、高山の豪商日下部一族の経営する醸造会社の醤油庫として建てられました。

◆和食処 角一亭(旧日下部味噌醤油醸造会社醤油庫)/岐阜県高山市上一之町93
 竣工:明治38年(1905)頃
 施工:都竹朝太郎
 構造:木骨煉瓦造2階
 撮影:2012/08/18




 

 


天狗総本店(岐阜県高山市)

2012-08-26 | 飛騨の近代建築

高山市中心部を流れる宮川沿いの伝建保存地区には、江戸時代の面影を残す家並みが広がります。そんな伝統的な古い町並みに、ひときわ異彩を放つ天狗の面が描かれた洋館造の建物があります。
宮川に架かる筏橋の西側、広小路通りと本町通の交差点に建つ天狗総本店は昭和2年創業、現在の建物は昭和11年(1936)に建てられたもので、1階や2階窓は改修されていますが、2階壁面や上部の装飾などは当時のまま残っています。
外観は2階建の城館風でバロック建築の雰囲気が漂いますが、屋上の天狗の顔のトレードマークと「精肉」の文字が日本的で、そのミスマッチ的レトロな外観が、古い高山の町並みに溶け込んでいます。

『そもそもなぜ肉屋に天狗のトレードマークなのか?』
食べ物の洋風化が始まった明治初期に、京都で「肉料理大天狗」という書物が出版され、それが金沢や富山の大きな精肉店に広まり、その屋号にあやかったものと言われています。(参考:総覧日本の建築5)

◆天狗総本店/岐阜県高山市本町1-21
 竣工:昭和11年(1936)
 施工:大工棟梁西田清
 構造:木道2階建
 撮影:2012/08/18
 ※国登録有形文化財


■2階の角にベランダを設け、付け柱の上部に楕円形の装飾と渦巻き型柱頭飾りを施す



■屋根部分には馬蹄形アーチ紋様、小尖塔が並ぶ



■屋号の天狗をモチーフにした妻飾りはひときわ目を引きます
 

 


高山市政記念館/旧高山町役場(岐阜県高山市)

2012-08-24 | 飛騨の近代建築

お盆休みの後半、古くからの友人たちの家族と高山、平湯温泉へ一泊旅行に出かけました。高山市内で2時間ほど時間が取れたので、市内の近代建築を駆け足ですが巡ることができました。高山市内を南北に流れる宮川沿いにある伝統的建造物群保存地区には、江戸から明治、戦前にかけて建てられた伝統的な町家建築が建ち並んでいますが、明治以降に建てられた西洋の技術を取り入れた洋風建築も数は少ないながら点在しています。

高山市政記念館(旧高山町役場)は三町伝統的建造物群保存地区の南の端、高山陣屋の東に位置し、古い町並みを見渡すように建っています。中橋に通じる道路に面した建物の北側に正門があり、正面には二つの玄関が東西に並んでいます。
外観は和洋折衷の明治建築で、明治28年町役場として竣工、高山市役所(昭和11年)、公民館(昭和43年)を経て、昭和61年高山市政記念館として開館し、古くは高山町から現在の高山市にいたる行政資料を保存展示しています。
建物を手がけたのは飛騨の名工といわれた大工棟梁坂下甚吉。甚吉は伝統的技法を基本としながらも洋風建築を巧みに取り入れ、優れた高山の洋風建築を多数手がけ、旧高山測候所は山岳資料館として「飛騨の里」で保存されています。
 

◆高山市政記念館(旧高山町役場)/岐阜県高山市神明町4-15
 竣工:明治28年(1895)
 設計・施工:棟梁坂下甚吉 
 構造:入母屋造桟瓦葺木造2階建
 撮影:2012/08/18
 ※高山市指定文化財 

  
■正門から西玄関を望む
 


■東門から建物を望む



■建物北側正面~同形式の玄関が二つ並び向かって左側が事務室、右側が2階議場への出入り口になっている



■西玄関(向かって右)~東西両玄関ともむくり屋根、ガラス窓は高山で初めて導入された



■東玄関(向かって左)~手前の花の連続模様の鉄欄は、東京の鋳物問屋に注文した特注品で、太平洋戦争で供出後復元されたもの



■西玄関の照明