かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

西尾レトロ散歩~その3

2011-12-31 | まち歩き




怪しい雰囲気が漂う求生堂本舗~店内には瓶に入ったマムシや鹿のツノなどが所狭しと並んでいます(肴町)





建物前面に豆タイルが貼られた事務所(中町)



二階の屋根の角に小さな妻が載る面白いデザイン(中町)



建物正面はモルタル塗りですが、裏側は下見板張り(伊文町)



むかし中学の入学祝にセーラーの万年筆を買ってもらった思い出があります
こういう店なら大切な万年筆の修理も安心そうです(花ノ木町)



西尾レトロ散歩~その2

2011-12-30 | まち歩き


まさに昭和レトロな「角の煙草屋」(会生町)





古い歯科医院前の右書きネーム入りの用水(伊文町)



◆天王町~肴町界隈の昔ながらの個人商店◆
ちゃんと営業しているのが嬉しいです!


看板によると囲碁用具、茶道具、花器などを売っているようですが、何屋さんと呼ぶのでしょう?



表具店の響きも今や懐かしい



昔ながらの正統派呉服店



鰹節だけで勝負するまさにこれぞ専門店




西尾レトロ散歩~その1

2011-12-29 | まち歩き

名鉄西尾駅の西側は、旧城下町の雰囲気を残す細い路地や古い町屋、昭和レトロな商店がまだまだ数多く残っています。
最近はどこの町を訪れても、昔からの商店街はシャッター通りと化していて大変さびしい状況ですが、西尾の古い商店街はまだまだ現役で、老舗の個人商店が頑張っているので街角の散策が楽しくなります。
私のような建築、路上観察大好き人間にはまさに宝の山のような町で、懐かしい昭和の街角にしばしタイムスリップした気分に浸れます。

 


味噌蔵のある細い路地(吾妻町)



1861年創業のはと屋が古い味噌蔵を利用して味噌のテーマパークを営業中



ファサードに装飾を施した看板建築風商店(本町)





古い町屋が並ぶ商店街(須田町)



井桁屋跡の公園に設置された日本で一つの抹茶色の丸ポスト




井桁屋百貨店(愛知県西尾市)

2011-12-25 | 失われた建物の記憶

かつて西尾の町の中心街に大正期に建てられた井桁屋百貨店がありました。
西尾では唯一の本格的な百貨店建築で、外観はルネサンス様式を基調とし、地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造、屋上には高さ5mの塔屋もありました。
玄関の両脇にはショーウインドを設置、1階~3階は陳列場(売場)、3階には展望レストランと児童室、屋上には催事場があり、小規模ながら百貨店建築としての機能を備えていました。
特筆すべきは屋上の催事場の周囲に庭園が設けられたことで、当時地方の百貨店としては流行の最先端を行くモダンな屋上庭園でした。

2005年10月幸いにもに西尾市を訪れる機会があり、取り壊し前の最後の姿をこの目で見てカメラに収めることができました。
建物は長年使われていない様子で老朽化が進み、外壁のモルタル崩落防止用のネットに覆われた姿は、大正生まれの老建築の最後の姿といった風情で、これでまた一つ西尾の近代の街角の原風景が消えてしまうと思うと残念でたまりませんでした。

かつては多くの老若男女でにぎわった大正生まれの西尾唯一の百貨店も 、道路の拡張工事に伴い2006年3月完全に解体撤去され、大正モダンな百貨店と屋上庭園は姿を消しました。

◆井桁屋百貨店/愛知県西尾市幸町19
 竣工:大正13年(1924)
 構造:RC造3階建、地下1階
 撮影:2005/10/09
 ※2006年取り壊し


大正モダンの夢のあと~ 塔屋の周りには屋上庭園の名残の草木が顔をのぞかせ、廃墟のような雰囲気が漂う 



大正時代から80年以上親しまれてきた井桁屋百貨店のある風景



現在百貨店の跡地は「井桁屋公園」として整備され、かろうじてその名前だけが残されている

 

 


横須賀小学校校門(愛知県西尾市)

2011-12-21 | まちかどの20世紀遺産


西尾建築散歩 番外編その5~西尾市立横須賀小学校校門/愛知県西尾市吉良町上横須賀菱池13-1

上横須賀駅のすぐ東側に位置する横須賀小学校は、明治41年横須賀尋常小学校として設立された歴史のある小学校で、人生劇場で有名な小説家、尾崎士郎の母校だそうです。

小学校の校舎はもちろん鉄筋コンクリートに建て替えられていますが、尋常小学校当時の石を削り出しただけの正門が小学校のシンボルとして現在も大切に保存されています。
上の写真は正門の北側にある古い門柱で、こちらは柱頭に装飾が施してあります。


旧上横須賀郵便局(愛知県西尾市)

2011-12-19 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その7~旧上横須賀郵便局

名鉄西尾線上横須賀駅の西100mほどの所に昭和元年に建てられた旧上横須賀郵便局が残っています。
木造下見板張2階建、本瓦葺の入り母屋づくりの和風の建物ですが、窓、玄関廻りは洋風意匠を取り入れています。
正面に玄関が二つ並んでおり、その間の小さな前庭を囲う鉄製のフェンスと扉に施された、当時の逓信省の〒マークを入れたアイアンワークが見所です。

◆旧上横須賀郵便局/愛知県西尾市吉良町上横須賀宮前74
 竣工:昭和1年(1926)
 構造:木造2階建
 撮影:2011/09/25




地方の郵便局としてはかなり大きな建物で、玄関が二つあるのは郵便局用と住居用でしょうか





鉄製のフェンスの上に小さな〇に〒マークの飾りが付いています



こちらは門扉に大型の〒マーク


西尾小学校正門(愛知県西尾市)

2011-12-18 | まちかどの20世紀遺産


西尾建築散歩 番外編その4~西尾小学校正門

昭和3年の旧校舎竣工時につくられたと思われる校門が残っています。
校門脇には、かつてここに西尾城の三之丸から東之丸の入り口があったことを示す「西尾城東之丸太鼓門跡」の案内看板が立っています。
門柱の両脇に大きな袖壁がつけられている以外に装飾はほとんどありませんが、柱頭には当時の橋や階段の親柱にみられる幾何学的デザインが施されています。




西尾小学校旧本館正面玄関上部遺構(愛知県西尾市)

2011-12-17 | まちかどの20世紀遺産

西尾建築散歩 番外編~その3

◆西尾小学校旧本館正面玄関上部遺構/愛知県西尾市錦城町162-1

名鉄西尾駅の西600mほどの所に西尾小学校があります。
西尾小学校の歴史は古く、嘉永7年に創立された西尾藩校「修道館」までさかのぼります。
明治27年に西尾尋常高等小学校になり、昭和3年には地方都市の小学校では珍しい鉄筋コンクリート造2階建の校舎が竣工しました。
本館は正面に車寄、両端に昇降口を全面に張り出しホールを設けたE字型平面で、小学校では昭和初期に建てられた数少ない本格的な鉄筋コンクリート造校舎でしたが、平成2年に現在の校舎に建て替えられました。

旧本館はすべて取り壊されましたが、正門を入ったすぐ左側の草木に囲まれた空き地の片隅に、旧本館正面玄関車寄上部の遺構が移築保存されています。
すぐ横に「 西尾小学校旧本館正面玄関上部遺構・昭和3年創建」と記された説明杭?があるので何とか分かりましたが、残された校舎の一部だけ見るとまるでモダンアートのようです。

また現校舎の玄関部分が旧本館正面玄関車寄部分のイメージを復元したデザインになっていて、旧校舎の面影を現在に伝えています。






昭和3年竣工の旧本館正面玄関を復元した現校舎の玄関部分
上部に突き出した三連アーチと透かし窓部分が校庭に移築保存されています(撮影:2011/09/25)

 


旧西尾中学校正門(愛知県西尾市)

2011-12-14 | まちかどの20世紀遺産

西尾建築散歩 番外編その2~旧西尾中学校正門

現校舎の前に残る旧校舎車寄とともに、当時を語る遺構として旧制西尾中学校の正門が現在も保存されています。
昭和54年にすぐ横に正門が新設されていますが、旧正門は西尾高校の歴史を語る生き証人のように今も校舎の正面に堂々と建っています。

私が現存を確認している旧制中学の校門は、今のところ小牧中学、津島中学、刈谷中学、一宮中学、西尾中学ですが、大正末~昭和初にかけて建てられた県立の旧制中学は県営繕課が設計を担当したため校門もほとんど同じデザインが採用されています。
門柱は全て4本セットで、中央の2本の門柱の間に鋳鉄製の両開門扉を設け、脇門には片開門扉が付属しています。
全体的には非常にシンプルなデザインながら、柱頭には建築同様その当時流行の装飾が施されています。
校舎は老朽化により建て替えられても、まだまだ使える校門はそのまま学校のシンボル的存在として残っているようです。






旧西尾中学校本館車寄遺構(愛知県西尾市)

2011-12-13 | まちかどの20世紀遺産




西尾建築散歩 番外編その1~旧西尾中学校本館車寄遺構

昭和51年に西尾中学校設立時の校舎が現在の鉄筋の校舎に建て替えられ、旧西尾中学校時代の校舎は残っていませんが、現校舎の前庭に西尾中学校本館跡として車寄部分(昭和1年築)が移築保存してあり、当時の校舎の姿を偲ぶことができます。

 


愛知県立西尾高等学校武道場/旧西尾中学校武道場(愛知県西尾市)

2011-12-12 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その6~愛知県立西尾高等学校武道場/旧西尾中学校武道場

名鉄西尾線桜町前駅を下車、北西に住宅街を10分程歩くと愛知県立西尾高等学校があります。
前身は西尾町立西尾高等女学校(大正7年開校)で、大正15年に旧制西尾中学校として設立されました。
校舎は地元民の寄付でつくられ、設計は地元の大中肇と伝えられていますが、当時の校舎は建て替えられ現存していません。
唯一同時期の昭和4年に建てられた武道場が残っていて、窓などはサッシに改修されましたが、現在も当時のまま大切に使われています。
外壁は鉄筋コンクリート造、小屋組みは木造と鉄棒を組み合わせたクィーンポストトラスという、この時期の鉄筋コンクリート造建築によく見られた構造になっています。

建物は校舎の北東、東側のグランドに面した一番奥まった所にあり、わたしの訪問時もグランドでは野球の練習試合が行われていました。
グランド脇で武道場の写真を撮っていると、先生らしき人から「OBの方ですか?」と声をかけられ、近代建築撮影の趣旨を説明すると快く西高の名が入った特注の屋根瓦などの説明をしてくださいました。
先生の話からも唯一残る旧制中学からの古い武道場が、西尾高校のシンボルとして大切に使われている様子が伝わってきました。
歴史のある建物は人それぞれの思いがそこに寄り添っていて、またその建物に出会うことで新たな思いをそこからもらえる、そんな近代建築の良さを再認識した一日でした。


◆愛知県立西尾高等学校武道場(旧西尾中学校武道場)/愛知県西尾市奥新田2-2
 竣工:昭和4年(1929)、昭和58年改修
 設計:大中肇(伝承)
 構造:RC造+木造平屋
 撮影:2011/09/25


建物南側外観~屋根は本瓦葺の和風ながら外観はセセッション建築の影響を受けた洋風建築




建物北側外観




建物西側~右手に出入り口が設けられている






西側屋根の立派な鬼瓦には西高と學の文字が刻まれ
建築時の地元の人々の学校に対する思いが伝わります




軒瓦も西高の文字が入る特注品




南側屋根の鬼瓦


西尾市立図書館おもちゃ館/旧岩瀬文庫児童館(愛知県西尾市)

2011-12-11 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その5~西尾市立図書館おもちゃ館(旧岩瀬文庫児童館)

西尾図書館玄関すぐ脇の緑の木立の中に、白ペンキ塗りの下見板に青い瓦屋根の可愛らしい小さな洋館建築があります。
建物に「NISHIO CITY おもちゃ館」の看板がかかっていますが、もともとはすぐ隣にある岩瀬文庫付属の児童館として大正14年に建てられました。
木造平屋建てのアメリカ下見板張り、コロニアル・スタイルの典型的な大正時代の洋館住宅らしい建物で、日本最初の児童館だといわれています。
建築当初は子供のための児童書の閲覧室として使用されたため、窓台の高さなども子供に合わせて低くつくられています。
現在は登録有形文化財に指定され、子供の室内遊戯場として使われながら大切に保存されています。

 










スタジオジブリのアニメに登場しそうなかわいい洋館


 

◆西尾市立図書館おもちゃ館(旧岩瀬文庫児童館)/愛知県西尾市亀沢町474
 竣工:大正14年(1925)
 構造:木造平屋
 撮影:2011/09/25
 ※国登録有形文化財

 


岩瀬文庫書庫(愛知県西尾市)

2011-12-09 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その5~岩瀬文庫書庫

名鉄西尾駅の北西、町の中心部からちょっと外れた亀沢町に西尾市立図書館があります。
図書館の敷地内の中庭に、コンクリートの建物に囲まれ、まるでタイムスリップして現代に現れたような煉瓦造りの大きな蔵と木造下見板張りの小さなコロニアル様式の洋館が建っています。

煉瓦造の3階建ての蔵造の建物は岩瀬文庫書庫で、地元の実業家岩瀬彌助が明治40年に設立した私立図書館の書庫として大正9年に建設されました。
構造は土蔵造をそのまま煉瓦造にしたもので、外壁には常滑の陶栄株式会社の製造した小口タイルが貼られ、書庫にふさわしい堅牢な建物になっています。

◆岩瀬文庫書庫/愛知県西尾市亀沢町480
 竣工:大正9年(1920)
 設計:西原建築工務所
 構造:煉瓦造地上3階地下1階
 撮影:2011/09/25
 ※国登録有形文化財


コンクリートの現代建築に囲まれた中庭には明治の香りが残る煉瓦建築が建っていました
煉瓦タイル張りの外壁は現在も美しく茶色に白の御影石が映えます




煉瓦タイルの壁に御影石の窓台と庇にはキーストーン風の洋風意匠が施される
防火のため窓にも鉄製の扉をつけています





玄関扉も鉄製で上部の古典様式風装飾が重厚な外観を与えています




玄関前に建てられた説明看板




(株)愛三工業所/旧メソジスト西尾教会(愛知県西尾市)

2011-12-07 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その4~(株)愛三工業所/旧メソジスト西尾教会

カテキン堂から301号線を300mほど西に向かうと、左手にこじんまりとした急勾配の三角屋根の建物が見えてきます。
明治30年にメソジスト西尾教会として建てられた教会建築で、現在は愛三工業所の施設として使われています。

大きな妻屋根に尖頭(ゴッシク)アーチの窓はいかにも教会建築らしく、1世紀以上前の教会が本来の用途を変え、取り壊されることなく現在も使われているのは非常に珍しいのではないでしょうか。
これからも愛三工業さんが、100歳越えの老建築を一日でも長く取り壊さずに活用していただくのを願うばかりです。


◆(株)愛三工業所(旧メソジスト西尾教会)/愛知県西尾市鶴舞町29
 竣工:明治30年(1897)
 構造:木造平屋
 撮影:2011/09/25

 


質素な外観ながら明治期の地方の教会建築の姿を今に伝える貴重な建物



教会らしいゴシック風の上げ下げ窓は木製の窓枠のままです



いかにも明治の建築らしい屋根飾りも健在




カテキン堂/旧西尾郵便局(愛知県西尾市)

2011-12-03 | 西三河の近代建築

西尾建築散歩 その3~カテキン堂(旧西尾郵便局)

西尾の町の中心にある古い商店街本町通りを通る301号線沿いに旧西尾郵便局の建物が現存しています。
大正8年築の木造2階建て、明治期に建てられた擬洋風建築のような外観で、正面に大きな破風の玄関を設けています。

2005年に訪れた時にはすぐ隣の中善楽器の倉庫になっていましたが、現在はカテキン堂という甘味どころとして再利用されていて、西尾の名産抹茶を使った大判焼きやソフトクリームなどが手軽に味わえます。
倉庫として余生を送っていた大正の建物が、もう一度表舞台で第二の人生を送れるようになり、誠に喜ばしい限りです。

◆カテキン堂(旧西尾郵便局)/愛知県西尾市鶴ヶ崎町4-9
 竣工:大正8年(1919)
 構造:木造2階建
 撮影:2011/09/25


建物正面(道路側)~2階の切妻破風に大きな窓をを設け明り取りにしています




建物西側~当時のままの下見板張りで木製のドアものこっています




建物裏側は一部トタン張りに改装されています




玄関はむくり屋根風で明治期の擬洋風建築を思わせます




玄関の屋根には戦前の郵便局によく見られる〒(逓信)マーク入りの立派な特注鬼瓦が鎮座しています




2階の屋根には一対のシャチ?らしきものが載っています
尾ひれがないのでまるでバナナがそそり立っているように見えますが、見ようによってはかなり危ない




隣に駐車してあった丸ポストを乗せた抹茶色に塗られた年代物のコロナ
店の宣伝カーとして使っているのでしょうか?