かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

昔ながらの昭和の銭湯

2009-05-31 | まちかどの20世紀遺産

 古い町を歩いていて、必ず一軒は見つけることができるのが昔ながらの銭湯です。しかし最近は、廃業しているところが多く、現役で営業している銭湯はめっきり少なくなっています。
 東海地方の銭湯は、関東で良く見られるお寺のような立派な宮造りタイプは少なく、洋風、和風、民家風など様々です。


            ◆◇◆戦前の洋風銭湯◆◇◆


■広見湯(戦前)/愛知県江南市
 最近ではお目にかかれないレトロな洋風銭湯。残念ながら廃業してしまいました。


■上天温泉(昭和2年)/愛知県刈谷市
 大中肇設計のモダンな銭湯として有名でしたが、廃業してしまいました。
 当時としては珍しい鉄筋コンクリートの銭湯で、正面の幾何学的窓割は現在でも新鮮です。


■四谷浴場(戦後)/愛知県一宮市
 スクラッチタイルが使われていますが、昭和20年代頃の開業と思われます。


■墨俣町の銭湯(戦前)/岐阜県大垣市
 正面だけ洋風にしてタイルを貼った看板建築風。


■片倉館(昭和3年)/長野県諏訪市
 ヨーロッパの温泉保養施設を手本にして建てられた本格的な西洋建築で、とても入浴施設とは思えません。現在も当時の姿のまま温泉浴場として営業されているのがすごいところで、これぞ「元祖温泉日帰りスーパー銭湯」と言っても過言ではありません。


■栄湯/愛知県江南市
 昭和30~40年代の町並に良く似合う銭湯。




            ◆◇◆和風銭湯◆◇◆

■新川温泉/愛知県碧南市


■ライン温泉/愛知県犬山市


■蛭子湯/愛知県瀬戸市



          ◆◇◆町家風◆◇◆

■玉乃井湯/愛知県一宮市


■彦根市の銭湯


常滑の駄菓子屋

2009-05-27 | まち歩き

5月の連休に常滑の町を歩きました。その時偶然見つけた駄菓子屋さんです。


■瓶に貼ってある数字が値段です。10円~40円までの駄菓子が並んでいます。
 金属製のフタの瓶はかなりの年代物でしょう。


■懐かしいレトロなゲーム機ですが、さすがに今は動かないようです。





■カゴいっぱい駄菓子を買っておばちゃんに渡すと、ちょうど200円でした。おばちゃんは紙袋の束から何気に一枚取り出し、駄菓子を入れてくれたのですが、そのグリコのアイスクリームの袋には、何と若き日の南野陽子が微笑んでいるではありませんか。その裏には「カラオケザウルス」プレゼントの応募要項が載っており、よく見ると締切日が1990年6月30日になっています。19年前の新品の紙袋が残っているのもすごいですが、それを今でもごく普通に使っているおばちゃんはもっとすごいです。駄菓子屋を出て、袋から取り出した「黒糖ふがし」を食べながら、久しぶりにほのぼのとした気分になりました。
 


20世紀少年ロケ地(江南市古知野町の商店街)

2009-05-20 | まち歩き

 昨年公開された映画「20世紀少年」のDVDを見ていて気づいたのですが、以前このブログで取り上げた地元の商店街がロケ地になっていました。
 名鉄江南駅の西側にある古い商店街の酒屋が、ケンヂ(唐沢寿明)の実家の遠藤酒店として使われています。ケンヂの姉のキリコ(黒木瞳)が店の前で恋人?の諸星と話すシーンがあるのですが、青いタイル貼りの角にアールをつけた特徴的なデザインの酒屋さんなのですぐに分かりました。この商店街は昭和30~40年代の雰囲気を良く残していて、同じ通りの衣料品店も嵐主演の「黄色い涙」の食堂として使われました。昭和の町並が通りごと残っている商店街は、今では貴重な存在で、レトロな商店街として21世紀も末永く残って欲しいものです。
 「20世紀少年」では以前アップしました常滑の町も、ケンヂたちの少年時代(昭和40年代)の町並として登場しています。愛知県には明治村もあり、県内各地に残る昭和の町並とともに、これからも色々な映画に登場してくれると、昭和の町並大好き愛知県民としては嬉しい限りです。

■遠藤酒店として登場した川松酒店






■大衆食堂さかえや(黄色い涙)として登場したイチハラ衣料品店


■レトロな風情が漂う「新町通り ユアタウン」~まさに街角の20世紀遺産です


丸丈・愛知県農業総合試験所農機具試験室(愛知県安城市)

2009-05-19 | 西三河の近代建築

■丸丈(旧外国領事館員の公邸)/大正12年(1923)/木造
  安城市池浦町池浦87-2

外観はかなり改装されているので、ちょっと見には大正時代の建物とは思えません。


■この部分はオリジナルに近いのではと思われます。



■愛知県農業総合試験所農機具試験室(旧愛知県農事試験場農機具実験室)
  大正14年(1925)/RC平屋/安城市池浦町境目1


■歴史様式の装飾はほとんどなく、モダニズム建築への志向が見受けられます。
 鉄製のサッシュに合わせた外壁の目地が、建物を取り巻く帯のように見え、唯一外観のアクセントになっています。



安城農林開校記念館・神杉酒造(愛知県安城市)

2009-05-17 | 西三河の近代建築
■愛知県立安城農林高等学校開校記念館(旧安城農林学校農場管理室)
  明治36年(1903)/木造平屋/安城市池浦町茶筅木1

 シンプルな木造下見板貼りの白ペンキ塗りの建物で、当時の洋館に多く見られるアメリカ下見板貼りのコロニアル様式。
 下見板貼りを日本に導入したのは、19世紀末に北海道開拓のために招かれたアメリカの技術者で、アメリカ下見は全国に普及し、明治の木造西洋館のメジャーな建築スタイルとして定着した。


■窓台より下はアメリカ下見、上はドイツ下見と2種類の下見板の貼り方を使い分けている。
 アメリカ下見の部分は板が重ね合わせてある分、ドイツ下見と比べ板の幅が狭くなっているのが分かる。


■門柱も時代が感じられる。



■神杉酒造(株)/昭和12年(1937)/木造/安城市明治本町20-5




■神杉酒造前の洋館
 建設年代不明ながらスクラッチタイルや、木製窓枠に昭和の匂いが。


旧明治郵便局(愛知県安城市)

2009-05-16 | 西三河の近代建築

安城市の和泉町に明治44年に建てられた洋風の郵便局舎が保存されています。隣には和風の職員官舎も現存しており、明治時代の局舎と官舎が当時のまま現存する例は、極めて珍しいと言うことです。
 
■旧明治郵便局局舎・官舎(現悟葉館)/明治44年(1911)/木造平屋
  安城市和泉町上之切20-5


■下見板貼りの簡素な外観ですが、玄関屋根の軒先にはペンダント飾りが下がっています。


■妻飾りに〒の文様が浮き彫りにされています。


■純和風の職員官舎


■鬼瓦にも〒がデザインされています。


■旧郵便局近くの古い木造下見板貼りの建物


■窓ガラスの格子のデザインがステンドグラス風でモダンです。


■安城建設高等職業訓練校
 建設年代は不明ですが昭和20~30年頃の雰囲気が漂います。


■玄関の柱に豆タイルが貼ってあります。

撮影:2009/5/10



常滑散策~古い建物のある風景

2009-05-06 | まち歩き

 常滑焼は千年の歴史があり、常滑は古くから焼き物の町として栄えました。近代になると大正時代に本格的なタイル生産も始まり、昭和40年代までは多くの製陶工場が稼動していました。その頃の窯や工場はもちろん、市内には戦前の古い建物が多く残っており、私の大好きな建築ウオッチングも楽しめました。



■一木橋/大正10年 アーチが美しい。


■大正10年竣工の銘がある親柱。曲線のデザインが大正モダンです。



■INAXミュージアムのそばの古い製陶所
 左手の壁は当時(昭和初頃)のスクラッチタイルがそのまま残っています。



■INAXミュージアムそばの古い洋館
 門から見える表側は洋風ですが、奥は和風になっています。
 玄関脇の立派な陶製の像と表札からINAXの創業者の旧宅?と思われます。


■門柱と壁にも豆タイルがあしらわれています。


■玄関脇には盛装したいかにも偉そうなおじさん(INAXの創業者?)の陶製の立像が。



■常滑西小学校の門
 校舎は建て替えられていますが門はかなり古いです。



■昔ながらの煙草屋
 自販機とコンビニに押され、町の煙草屋さんはめっきり少なくなりました。




 常滑駅から名鉄電車で大野町に向かいました。
 常滑の中心地からちょっと離れた大野町は、鎌倉時代から湊町として栄えた海運の町で、古い寺や町屋が当時の面影を残しています。格子のある町屋に混じって、近代の洋風の建物が残る町並は時間がゆっくり流れているようでした。


■小倉公会堂
 良くぞ今まで残っていましたと言うのがぴったりな、町の古い公民館



■樂游館(旧まつや別邸)/昭和7年
 地元の足袋製造会社の創業者がゲストハウスとして建てた別邸。現在は色々なイベントや展示会場として再利用されています。表から見ると西洋館ですが、裏は純和風で茶室や日本庭園もあります。訪れた日は閉館していましたが、入館無料で内部が見学できます。


■玄関脇にドイツ壁の洋室が張り出しています。


■窓と玄関のデザインが洋館らしさを演出しています。


■裏側が和風になっているのが分かります。



■のこぎり屋根が懐かしい戦前の紡績会社。
 現在は使われておらず廃墟のような雰囲気が漂います。



■タイル貼りの事務所


■トタンで覆われた壁の上部に洋風の意匠が残っていました。



■昭和初によく建てられた一部洋室住宅。



■木造下見板貼りの洋風住宅。鉄骨で支えてがんばっています。



■大野町駅近くの元食堂の古い建物。洋風の上げ下げ窓が使われています。
 コカコーラの看板が懐かしい。



■明日の祭の準備を見ながら常滑を後にしました。(大野町駅のホームから撮影)


常滑散策~路上アートのある風景

2009-05-05 | まち歩き

 やきもの散歩道には、いたる所に陶彫(粘土を直接成形し彫刻を施し焼成したもの)が置かれています。その数は100体にのぼり、その個性的な作品はまさに路上美術館と呼ぶにふさわしく、街角散策がさらに楽しくなります。その中でも私が気になった作品を少し紹介します。



■街角がギャラリーになっています



■常滑焼と言えば招き猫です



■かなりのリラックスモードです。題して「オヤジの休日狛犬」



■翼のある狛犬ならぬ狛蛙



■カエルの水盤。庭に置いて金魚を飼ってみたい。



■ただのニワトリですが、わたしの干支なので、ひとつよろしくお願いします。



■かなりシュールな作品ですが、好きです。
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/31/aaff75287afde2a9ebedf25a5b644cf2.jpg


■ポストの上にもかわいい郵便配達が。手紙を出すのが楽しくなります。





■お墓も焼き物で、墓石ならぬ墓陶



■お稲荷さんのキツネも焼き物です。
  常滑の町で映画「20世紀少年」のロケがあり、この神社周辺もロケ地として使われました。


常滑散策~レンガ煙突のある風景

2009-05-04 | まち歩き

連休の5月3日、常滑の町を歩きました。
常滑市は中部国際空港セントレア開港を機に、焼き物の町として観光に力を入れています。
まずは名鉄常滑駅の観光案内所で観光マップを手に入れ、やきもの散歩道Bコース(4km)を回りました。適度に起伏のあるコースは散策にぴったりで、ゆっくり時間をかけて町を見ることができます。古くから常滑焼で栄えた焼き物の町らしく、いたるところに製陶工場のレンガの煙突があり、懐かしい風景を見せてくれます。現在は使われなくなり、その数も少なくなったった煙突ですが、陶都常滑の昔の姿をとどめる貴重な近代産業遺産です。


■散歩道途中の丘から町を見下ろすと、遠くに何本も煙突が見えます。



■散歩コースでたくさんのレンガの煙突や黒板貼りの工場を見かけます。










■INAXライブミュージアム


■市内で唯一現存する登窯(陶栄窯)と煙突
 国指定重要有形民俗文化財・近代産業遺産認定