かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧久々利小学校(岐阜県可児市)

2011-07-31 | 中濃の近代建築

可児市広見と土岐市を結ぶ土岐可児線(84号線)沿いの久々利と言う町に、廃校になった大正時代の小学校が残っています。
岐阜県の山間部でも戦前の木造校舎はほとんど建て替えられ、当時のまま現存する大正期の小学校は貴重な存在で、小学校5年生まで戦前の木造校舎で学んだ私には、のどかな山間に建つ木造校舎の風景はノスタルジーをかきたて、しばし懐かしい少年時代の記憶を甦らせてくれます。
白く塗られた木造下見板張りの校舎はかなり傷んでいますが、広い校庭もそのまま残っており、このまま町の歴史を語る施設として再生活用されることを願うばかりです。

 

◆旧久々利(くくり)小学校/岐阜県可児市久々利
 竣工:大正14年(1925)
 構造:木造平屋
 撮影:2006/11/05

 







 
「学」と「學」の字が入った特注の鬼瓦も昔のまま


 
廃校後は電器会社として使われていたようですが現在は空き家になっています

 

 


長良川鉄道 富加駅(岐阜県加茂郡)

2011-07-26 | 木造駅舎の旅

大正~昭和に建てられた地方の木造駅舎は、素朴なデザインながら現代の機能的な駅舎とは一味違った旅情を誘う趣があります。
地方のローカル線の経営は苦しく、廃線に至る鉄道路線も数多い昨今、今ならまだ間に合う各地に残る木造駅舎を一つでも多く紹介していきたいと思います。

長良川鉄道の富加駅は、大正12年国鉄越美南線開業時のまま残る駅舎で、開業時は加茂野駅と言う駅名でした。
現在越美南線は第三セクター方式の長良川鉄道によって運営されていますが、沿線の過疎化とモータリゼーションの波に押され乗降客が減少、経営環境は厳しく苦しい経営が続いています。
環境にやさしい交通手段として再び鉄道が見直されていますが、地方の鉄道はどこも経営状態は苦しく、路線の存続は私たち利用者にかかっています。

◆富加駅(長良川鉄道越美南線)岐阜県加茂郡富加町羽生
 竣工:大正12年(1923)
 構造:木造平屋
 撮影:2007/03/04

 


駅舎玄関~屋根の鬼瓦も当時のまま



駅構内~美濃太田方面ホーム



ホームの木製のベンチ~かなりの年代ものです

 

 


富加駅前の医院(岐阜県加茂郡富加町)

2011-07-24 | 失われた建物の記憶

長良川鉄道富加駅前にかつて戦前の古い医院が建っていました。
木造2階建ての個人経営の小さな医院ですが、2階には病室らしき部屋も見受けられ、かつては地域医療を担う町のお医者さんとして、多くの患者さんが訪れたことでしょう。
現在医院は取り壊されましたが、大正12年に建てられた古い木造駅舎は健在で、人影の途絶えた静かな駅前通りで、かつての賑わいを懐かしむように以前と同じようにゆっくり時を刻んでいます。

 








 
門柱の古い金属製プレートが歴史を語る(撮影: 2007/03/04)




現在も開業当時の姿を残す富加駅の木造駅舎(撮影:2010/03/22)

 

 


美濃加茂市立加茂野小学校校門(岐阜県美濃加茂市)

2011-07-18 | まちかどの20世紀遺産

以前に小牧高校と津島高校の残された校門を紹介しましたが、近代建築を訪ねて各地を歩いていると、建物は建て替えられても、なぜか門だけは当時のまま残っているケースを数多く目にすることができます。
建物を取り壊す時に、せめて門だけでもとわざわざ残したのか、まだ使えるので門だけは再利用したのか、そのあたりは定かではありませんが、明治、大正、昭和(戦前)に造られた門は、近代建築と同じようになかなか味があります。
そんなわけで、近代建築探訪時に各地で見つけた戦前の色々な古い門を随時紹介していきたいと思います。

岐阜県加茂郡富加町を訪れた時に偶然、加茂野駅(長良川鉄道越美南線)のすぐ西側にある美濃加茂市立加茂野小学校で見つけた古い校門です。加茂野小学校のホームページによると、創立は明治6年までさかのぼり、明治23年に現在地に移転しました。現在残されている校門は、校舎と一緒にその時に新築されたのではないかと思われます。
当時の校舎は戦後鉄筋コンクリートに建て替えられましたが、校門だけが学校の歴史を語る記念碑のように今もたたずんでいます。

 

 


鉄筋コンクリートの校舎の前に残された古い校門(撮影:2010/03/22)



明治期の校門らしい石を削り出しただけのシンプルなデザインながら
柱頭に洋風建築らしいモチーフが施されています



校庭には古い小学校にはおなじみの二宮金次郎がたたずむ
背中には柴(雑木の小枝)ではなく槇(マキ)をかついでおります

 

 


今渡発電所(関西電力)岐阜県可児市

2011-07-03 | 中濃の近代建築

今渡発電所は木曽川と飛騨川が合流する地点からすぐ下流、木曽川水系の最下流に位置するダム式発電所で、設計は木曽川水系で多くの発電所を手掛けた佐藤四郎建築事務所です。
佐藤四郎は木曽川で7つの発電所(寝覚発電所、桃山発電所、読書発電所、落合発電所、大井発電所、笠置発電所、今渡発電所)を設計していますが、発電所の外観はそれぞれ異なったデザインが採用されています。

今渡発電所の外観はまさにコンクリートの四角い箱ですが、その白い箱の外壁は柵で囲ったようにぐるりと柱で囲まれ、まるで巨大な虫かごを連想させます。
基礎部分から屋上まで通されている主柱の間に、等間隔に同じ長さの連続した付け柱(ピラスター)を配し、すべての柱は屋上から飛び出し上に伸びています。
建物正面の主柱4本と側面の両端の主柱2本は、付け柱より高く突き出し、垂直性を志向する中世のゴシック建築を思わせる味わいがあります。

◆今渡発電所(関西電力)/可児市川合字西野~美濃加茂市
 竣工:昭和14年(1939)
 設計:佐藤四郎建築事務所
 施工:間組
 構造:RC造
 撮影:2006/11/05

 


◆発電所正面(下流の新太田橋から撮影)
 スリット状の縦長の窓と小さな半円アーチの窓の2段に分かれ、最下部に3つ1組の換気用の窓が4か所設けられています
 上空に飛び出した柱で屋上が凸凹になっているのが良く分かります




◆発電所側面(可児市側)
 上空に突出した柱が中世の城郭を思わせます

 

 


路上の魚たち(岐阜県美濃加茂市)

2011-07-02 | まち歩き

道路からにょっきりと頭を出した魚たち
岐阜県美濃加茂市の中濃大橋と太田橋の間にある木曽川緑地ライン公園の風景です
車止めもただのコンクリートの柱ではなく、その土地に合わせてひと工夫あると楽しいですね


発射を待つ魚型ロケット?今にも飛んでいきそうです