かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

NHK朝ドラ「花子とアン」ロケ地in明治村(2)~蓮様のお見合い場所/帝国ホテル中央玄関

2014-05-10 | 明治村散歩

 「花子とアン」も5月5日から第6週目に入りました。修和女学校で、はな(吉高由里子)と腹心の友になった蓮子(仲間由紀恵)に突然見合いの話しが舞い込みます。落ち目の伯爵家を救うため、蓮子は兄の頼みで「九州の石炭王」とホテルでお見合いする羽目になるのですが・・・

 お見合い場所のホテルという設定で、明治村の帝国ホテル中央玄関のロビーが登場しました。この建物の設計は、言わずと知れた20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライト。建物内外は透かし彫りのテラコッタや大谷石の彫刻で埋め尽くされ、まさに唯一無二のライトならではの独創的な空間が広がります。


■帝国ホテル中央玄関/大正12年(1923)/設計:フランク・ロイド・ライト







■帝国ホテル中央玄関ロビー~彫の深い大谷石のテラコッタの造形が光と影を織りなし、ライト特有の空間が広がります


■ロビー2階より吹き抜き空間を望む(正面1階は玄関、2階はティーバルコニー)



■まさにこのロビーの席で蓮様がお見合いをしていました(玄関を入りロビーに向かって右側)
明治村においでの際は、この椅子に座ってぼんやりするするのがお奨めです。
とにかく居心地がいいので、ライトの空間にどっぷり浸り、しばし時間がたつのを忘れます。
また2階のティーバルコニーでゆっくりお茶すれば、さらに至福のひと時が過ごせます。



■メインロビーの中央は3階までの吹き抜きの大空間ですが、周りの空間は天井や床の高さを変え、落ち着いた空間をつくりだしています



 帝国ホテルは1967年、老朽化を理由に解体が発表されたのですが、時の首相佐藤栄作の鶴の一声で明治村への保存が決定しました。結局中央玄関部分だけの保存になりましたが、佐藤首相の英断が無ければ、世界的な文化遺産ともいえるライトの帝国ホテルを現在もこの目で見ることはかなわかったのです。映画やTVドラマで帝国ホテルを見るたびに、「明治村があってほんとうによかったなあ」と思います。

 建築は外観を見るだけでは、その本当の素晴らしさの半分も体験できません。実際に帝国ホテルのロビーの椅子に座り、その贅沢な空間に身を浸せば、時間とともに深みを増した年代物の名酒を味わうような、芳醇なひと時を過ごすことができます。


NHK朝ドラ「花子とアン」ロケ地in明治村~修和女学校/北里研究所本館

2014-04-09 | 明治村散歩

 明治村(愛知県犬山市)の近所に住む明治村大好きの近代建築ファンなので、映画やドラマに明治村の洋館が登場するとついつい気になってしまいます。以前にもこのブログでNHK朝ドラ「ごちそうさん」のロケで使われた明治村の洋館を紹介しましたが、4月から始まった「花子とアン」も同じ時代設定(明治末~昭和)なので、ひょっとしたらと思って見ていたら、主人公が編入する女学校として北里研究所本館が登場しました。ドラマを見ている皆さんにも建物の由来を知ってもらえたら、よりドラマが楽しめるのではと思い、今回も明治村の洋館が登場しだい紹介していきますのでどうぞお楽しみに!

 物語は「赤毛のアン」を日本に紹介した翻訳家 村岡花子をモデルにしたもので、山梨の貧しい農家に生まれた主人公安東はなが、東京の女学校で学んだ英語をきっかけに、欧米文学の翻訳家としての夢を実現させ、やがて「赤毛のアン」との運命的な出会いを果たすまでを描きます。ドラマは第2週から、はなが編入した東京の修和女学校に舞台を移し、ヒロイン役も子役の山田望叶から吉高由里子にバトンタッチ、女学校での波乱万丈のストーリーが展開しそうで、これからの放送が楽しみです。


■北里研究所本館・医学館/大正4年(1915)
ヒロイン安東はなが入学した修和女学校の設定で建物外観が使われています。
建物は細菌学の権威として知られる北里柴三郎が研究所の本館として建てたもので、中央に塔を頂くドイツバロック風の西洋建築。
研究所としてはかなりおしゃれな外観で、女学校の設定にはぴったりだったようです。





■北里研究所本館内部~ドラマ本編では学校内部は別セットで撮影されていました。
 

  


■はなが父・吉平(伊原剛志)に連れられ上京、修和女学校へ行く途中の背景として使われたレンガ通り。
洋館が並ぶレンガ通りは、市電も走っていて「ごちそうさん」にも頻繁に登場した人気スポットです。
今回は一番手前の札幌電話交換局の並びに千早赤阪小学校講堂と京都七條巡査派出所をCG合成し、
その前に京都市電を走らせるという手の込みようで、よりリアルな明治の町並みを再現していました。
 


■京都七條巡査派出所/明治45年(1912)



■千早赤阪小学校講堂/明治30年(1897)
 


■実際に明治村内を走っている京都市電




NHK朝ドラ「ごちそうさん」のロケ地~明治村(愛知県犬山市)

2013-11-04 | 明治村散歩

わたしの地元犬山市にある明治村は、一か所に明治~大正にかけて建てられた様々なタイプの和風・洋風建築が移築保存されているので、近代を描いたドラマなどのロケ地としては最適で、これまでにもたくさんの映画、テレビドラマの舞台として使われています。

このブログでも以前、映画「剣岳・点の記」のロケに使われた建物などを紹介しましたが、今回は現在放送中のNHK朝ドラ「ごちそうさん」で使われた明治村のロケ現場を紹介します。
ドラマはヒロインの実家である洋食屋の開明軒のある東京から大阪に舞台が移り、明治村のシーンも出番が少なくなりますが、これまで多くのシーンで背景に出てきた明治村の建物を紹介します。


■ヒロイン卯野め以子(杏)一家の住む近所の町並みとして使われたレンガ通り。
レンガ通り沿いに奥から、東松家住宅、京都中井酒造、安田銀行会津支店、札幌電話交換局、京都七条巡査派出所、京都七条停留所が並ぶ。
毎朝この通りを、め以子と開明軒に下宿している帝大生の西門悠太郎(東出昌大)が、本郷春見駅(京都七条停留所)まで歩いて通学していた。
 


■明治村内には京都市電として実際に使われていた明治期の車両が走っていて、京都七条停留所がめ以子と悠太郎が通学に利用した本郷春見駅の設定になっている
毎朝電車を待つ間め以子と悠太郎が話をするのだが、停留所
のベンチには必ず同じ紳士が新聞を広げて座り、二人の会話に聞き耳を立てているシーンが笑えた。



■東松家住宅(重要文化財)明治34年(1901)頃



■中井酒造(向かって左)/明治3年(1870)と安田銀行会津支店/明治40年(1907)



■札幌電話交換局(重要文化財)/明治31年(1898)
ドラマでは郵便局として使われ、前に置かれたポストの陰で室井(小説家志望でいつも開明軒で賄いを食べている)が、め以子と悠太郎の結婚話を立ち聞きする。



■京都七条巡査派出所/明治45年(1912)



■名古屋衛戍病院/明治11年(1878)
悠太郎が通う帝大の校舎の設定で、中庭で悠太郎と友人が話をするシーンが撮影された。



■宇治山田郵便局/明治44年(1909)~め以子と友人たちが話をしていたシーンに使われた。



■本郷喜之床/明治末(1910)頃~石川啄木が「一握の砂」を発表した明治43年、一家でこの床屋の2階に住んでいた。
ドラマでは室井幸斎の下宿先楠木理髪店として使われ、悠太郎が下宿先の開明軒を追い出された時、一時的に居候していた。

 


春の明治村~カタクリの花

2010-03-22 | 明治村散歩
3月21日春分の日、何とか天気も回復し、市民無料招待デーを利用し明治村に行ってきました。
明治村の敷地にあるカタクリの群生地が公開されていて、薄紫のかわいい花を見ることができました。








明治村の桜はまだこれからですが、咲き始めている桜もありました。



晩秋の明治村2009~その4

2009-12-05 | 明治村散歩


■森鴎外・夏目漱石住宅(明治20年頃)






■金沢監獄中央看守所(明治40年)






■東京盲学校車寄(明治43年)




■長崎居留地二十五番館(明治22年)




■菊の世酒蔵(明治初年)




■内閣文庫(明治44年)




■大明寺聖パウロ教会堂(明治12年頃)




■モミジの下でひと休み



自然に囲まれた明治村はいつ来ても四季折々の美しい姿を見せてくれます

特に秋は西洋館と紅葉の組み合わせが素晴らしくまた今年も来てしまいました

建物と自然が見事に調和した優しい空間は心の底から癒されます


 


晩秋の明治村2009~その1

2009-12-02 | 明治村散歩

11月29日、市民無料招待デーを利用して一年ぶりに明治村を訪れました。
同時期に訪れた昨年に比べると紅葉のピークは過ぎていましたが、落ち葉を踏みながらの西洋館めぐりはまた格別で、心身ともにリフレッシュできた一日でした。
今年も晩秋の明治村の風景と紅葉に映える西洋館を、昨年とは違ったアングルでご紹介します。


■ワカサギ釣りのボートでにぎわう入鹿池



■シアトル日系福音教会(明治40年頃)



■内閣文庫(明治44年)



■宇治山田郵便局(明治42年)



■高田小熊写真館(明治41年)



■金沢監獄正門(明治40年)



 







映画「剱岳・点の記」ロケ地~犬山市明治村

2009-07-04 | 明治村散歩

 新田次郎原作の「剱岳・点の記」が映画化され、犬山市の博物館明治村でロケが行われました。
映画のほとんどは剱岳を中心とした山岳シーン(木村監督の撮影が素晴らしい)ですが、舞台が明治40年頃という設定なので、当時の陸軍関連の建物や、主人公夫婦の住宅、SLや市電のシーンが明治村で撮影されています。
 犬山在住の近代建築ファンとして、映画に登場する明治村の建物を分かる範囲でご紹介したいと思います。

■北里研究所本館・医学館/大正4年

映画では主人公の測量官、柴崎芳太郎(浅野忠信)が勤務する陸軍参謀本部陸地測量部の建物として使われています。
映画の冒頭、柴崎はこの建物の一室で上司の陸軍のお偉いさんたちに、前人未踏の剱岳の山頂に三角点埋設と言うとんでもない至上命令を受ける。


柴崎が日本山岳会の小島烏水(仲村トオル)とすれ違う廊下。
この場面ではまだお互いの存在を知る由もないが、後に剱岳初登頂を争うことになる。


■京都市電/明治43年~44年製造

柴崎が通勤に利用している都電の設定。写真の京都七條駅を柴崎の自宅近くの神田の停車場に見立て、妻の葉津よ(宮崎あおい)が夫の帰りを出迎えるというシーンが撮影された。


■森鷗外・夏目漱石住宅/明治20年

柴崎夫婦の新婚家庭。撮影は実際の部屋をそのまま使用。
浅野忠信と宮崎あおいが、いかにも明治時代らしい初々しい夫婦を演じている。


■第四高等学校武術道場「無声堂」/大正6年

柴崎が剱岳登頂のアドバイスを受けに測量部OB古田盛作(役所公司)を訪ねた弓道場。
建物は柔道、剣道場で、一番奥に弓道場がある。


■幸田露伴住宅「蝸牛庵」/明治初年

測量部OBの古田の自宅も登場するが、外観が写らず未確認。(たぶん幸田露伴住宅では・・・)


■三重県尋常師範学校・蔵持小学校/明治21年

柴崎が古田を訪ねる(二回目の訪問)図書館?の設定。建物をバックに剱岳登頂について相談する。


■SL東京駅

柴崎が列車から降り立つ富山駅プラットホームとして使用。柴崎が乗車する蒸気機関車も村内で動態展示されている100年前の現役のSLが使われている。ここで案内人の宇治長次郎(香川照之)と初めて出会う。
富山駅の正面からの撮影は、富山地方鉄道の岩峅寺駅が使われている。


■三重県庁舎/明治12年



陸軍のお偉いさんのいる司令部として使用。柴崎の剱岳登頂の知らせを、柴崎の直属の上司である玉井大尉(小澤征悦)が報告に走るシーンで使われた。
しかし剱岳の頂上には柴崎たちが思いもかけないあるものが待ち受けていた・・・・以下映画をご覧ください。


 新田次郎の書く山岳小説は昔から大好きでした。以前映画化された新田作品では、「八甲田山」が忘れられません。
 今回の作品も同じカメラマン木村大作がメガホンを取り、剱岳の自然の美しさと厳しさをストレートに見せてくれます。ほとんどが現地の山岳ロケで、昨今流行のCGは一切使われておらず、本物の山の美しさが大スクリーンで堪能できます。
 ちなみに少しだけ出てくる建物のシーンも、セットではなく明治村などでロケをした本物の近代建築が使われています。


続・晩秋の明治村

2008-12-03 | 明治村散歩

 11月30日に訪れた明治村の秋の風景続きです。


 
◆聖ザビエル天主堂 




◆菊の世酒造より内閣文庫、川崎銀行(展望タワー)を望む




◆品川灯台と入鹿池




◆札幌電話交換局とレンガ通り




◆展望タワーより菊の世酒造を望む




◆ハワイ移民集会所



◆高田小熊写真館



◆三重県尋常師範学校蔵持小学校と近衛局本部付属舎



◆東松家住宅の蔵




◆落ち葉のベンチ(逍遥の小道)




◆漱石家(猫の家)の秋



○漱石先生の家の猫は、いつも日当たりの良い縁側で日向ぼっこです。