かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

醒井尋常高等小学校玄関・旧醒井楼(滋賀県米原市)

2013-12-23 | 滋賀の近代建築

JR醒ヶ井駅前から東へ延びる街道を50mほど行くと、右手に立派な唐破風のある和風の建物があります。玄関脇には「明治時代の醒井小学校の玄関」の表示がある案内板が設置してあり、明治26年竣工の尋常高等小学校の玄関を当地に移築し保存した旨の解説が書かれています。

玄関に付属している建物も、大正2年に建てられた「醒井楼」という料理旅館だった建物で、昭和27年からは松尾寺政所として活用されてきました。現在は松尾寺の本堂が松尾寺山山麓に再建され、養鱒場の近くに移転した醒井楼とともに観光名所になっています。


■明治期の小学校の玄関が近代和風建築の大正期の料理旅館と合体し、ひとつの建物として違和感なく調和しています



■むくり屋根の唐破風にはお約束の立派な鬼瓦が載ります



■竜の鬼瓦とその下の懸魚の造形はまさに芸術品




◆醒井尋常高等小学校玄関・旧醒井楼/滋賀県米原市醒井
 竣工:玄関~明治26年(1893)/醒井楼~大正2年(1913)
 構造:木造
 撮影:2013/11/23


醒井公会堂(滋賀県米原市)

2013-12-20 | 滋賀の近代建築

旧醒井郵便局から旧街道を東へ100mほど向かうと、右手の地蔵川を渡ったちょっと奥まった所に醒井公会堂があります。建物は木造平屋建、寄棟造桟瓦葺で、玄関を正面中央に設け、正面と側面の前よりは腰にモルタル塗りの壁を廻し、その上は吹き付けのドイツ壁風に仕上げて味を出しています。玄関をフルーティング(溝)付きの柱で囲み、両脇に上部が櫛形アーチの縦長窓、隅の柱はコーナーストーン(隅石)風仕上げにして洋風デザインを取り入れていますが、全体では明治時代の擬洋風建築を思わせる和洋混在のデザインです。

大正~昭和初期の公民館建築は各地方に残っていますが、昔ながらの和風の建物に一部洋風を取り入れた和洋折衷のデザインがほとんどです。当時は役場や郵便局などの公共建築がほとんど洋風建築に建て替えられた時代で、町の公民館にも強い洋風志向が感じられます。


◆醒井公会堂/滋賀県米原市醒井字新町117
 竣工:昭和11年(1936)
 構造:木造平屋建
 撮影:2013/11/23
 ※国指定登録有形文化財
 

■建物正面ファサードは洋風にして、堂々とした雰囲気を演出しています



■玄関ポーチの造りは和風で鬼瓦が載る





■特注の鬼瓦は中央に「醒」の文字が入ります



■洋風意匠を凝らした玄関廻りが見所

 


■宿場町の中心を流れる地蔵川沿いに建つ公会堂(向かって左奥)




米原市醒井宿資料館/旧醒井郵便局局舎(滋賀県米原市)

2013-12-18 | 滋賀の近代建築

11月の勤労感謝の日の祝日、東海道線に乗って滋賀県醒井、岐阜県大垣方面を訪れました。もちろん近代建築探訪がメインでしたが、気ままな町歩きと路上観察も楽しめた秋の一日でした。

醒井は中山道の宿場町として栄え、現在も地蔵川の清流に沿って旧い町並みがよく残っています。国道21号線の南側に沿って旧中山道が通っており、この街道沿いに旧醒井郵便局と醒ヶ井公民館の2件の登録文化財に指定された近代建築が現存しています。

旧醒井郵便局舎は、ヴォーリズ建築事務所設計で大正4年に建てられました。当初は木造下見板張りの洋館風の建物でしたが、昭和9年に現在の姿に改修されました。外観は一見RC造に見えますが木造2階建で、外壁はモルタルを厚く塗り石貼り風に見せています。建物は中央に玄関を配し左右対称、玄関の両脇と角にはフルーティング付きの柱にアーカンサス模様の柱頭飾を施しています。さすがにヴォーリズ建築事務所が手掛けただけあり、堂々とした外観は本格的な西洋建築のツボを押さえた隙のないデザインになっています。

1階が郵便・電信業務や応接室、2階は電話交換室や交換手の宿直室兼休憩室として昭和48年まで使われましたが、現在は米原市醒井宿資料館として生まれ変わり、資料の展示や休憩室として再活用されています。

■ウイリアム・メレル・ヴォーリズについて~
滋賀県の近江八幡を中心とした琵琶湖周辺に、現在もヴォーリズが携わった洋風建築が多数残っています。ヴォーリズは明治38年八幡商業学校の英語教師として来日しました。その後キリスト伝道の傍ら建築事務所を開設、全国で1600にも及ぶ建築設計に携わり、彼が本拠を置いた近江八幡には10件以上の洋風建築が今なお大切に保存されています。

<ヴォーリズの代表作>
大丸心斎橋店、神戸女学院キャンパス、今津教会、堅田教会、滋賀大学陵水館、旧伊庭邸、吉田邸、豊郷小学校旧校舎など、その他にも多数現存








◆米原市醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)/滋賀県米原市592
 竣工:大正4年(1915)、昭和9年(1934)改修
 設計:ヴォーリズ建築事務所
 構造:木造2階建
 撮影:2013/11/23
 ※国登録有形御文化財 


■建物外観
     


■建物内部(1階展示・休憩スペース)
   


■1階案内板
     




彦根散策(銀行建築)

2007-10-28 | 滋賀の近代建築

 市の中心街に戦前の銀行建築が3件現存しています。同じ時期の銀行建築ですが、それぞれ異なった外観デザインを採用しているので楽しめます。

●旧彦根信用金庫本店/大正13年/本町

画像ファイル "https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/99/df1df370529f3cd9e3358ad12523c885.jpg" は壊れているため、表示できませんでした。

 現在は俳遊館として再利用されています。大正の時代を感じさせるセセッション風のモダンな建物。

●滋賀銀行彦根支店(旧百三十三銀行本店)/大正13~14年/銀座町3

 ちょっと見は四角い箱のようですが、連続の縦長窓と正面の列柱に、銀行建築らしい古典様式の面影が感じられます。玄関廻りにはお約束の装飾が施され、現代建築とは一味違う細部へのこだわりが見られます。

●滋賀中央信用金庫銀座支店(旧明治銀行彦根支店)/大正13年/河原3

角を玄関にしてマンサード風の屋根を設け、その両脇に切妻屋根を配しています。お堅い銀行建築らしくない赤い屋根がかわいらしく、ちょっと珍しい洋館風の銀行建築です。

 


彦根散策(ヴォーリズの建築)

2007-10-24 | 滋賀の近代建築

 5月の連休に、彦根城築城400年祭で賑わう彦根の町を散策しました。HPにアップしようと思いながら、ずっとそのままお蔵入りになっていましが、とりあえずブログで近代建築を中心にご紹介します。

 ◇ヴォーリズ設計の近代建築◇

●滋賀大学経済学部講堂(旧彦根商業学校講堂)/大正13年(1924)/彦根市馬場

      

   

         

 屋根の換気塔とドーマー窓型換気口が特徴

●滋賀大学陵水会館/昭和13年(1938)/彦根市馬場

  

           キャンパスに花を添えるスパニッシュ建築

●旧外国人教員住宅/昭和13年(1938)/彦根市金亀町