かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

川越建築散歩(3)日本聖公会川越キリスト教会礼拝堂

2018-09-30 | 埼玉の近代建築

川越商工会議所を東へすぐのT字路の交差点に赤煉瓦の外壁が美しい川越キリスト教会があります。設計は立教大学新築のため来日したアメリカ人技師W.ウィルソンで、鐘楼と平屋の煉瓦造教会というシンプルな形態。ウィルソンは同タイプの熊谷聖公会教会も設計しています。
礼拝堂の内部はハンマービーム風の小屋組を見せ、外壁のバットレス(控え壁)や尖塔アーチの縦長窓が中世ゴッシク教会の雰囲気を思わせる重厚な雰囲気を感じさせます。



■T字路の突き当たりに鐘楼と妻壁を見せる美しい外観は、川越の伝統的町並みの景観に寄与しています





■フランス積みの煉瓦壁にからまるツタがクラッシクな外観をきわだたせています



■尖頭アーチの玄関脇には「国登録有形文化財」のプレート



■日本聖公会川越キリスト教会礼拝堂/埼玉県川越市松江町2-4-13
 竣工:大正10年(1921)
 設計:W.ウィルソン
 施工:清水組
 構造:煉瓦造平屋
 撮影:2018/04/30
 ※国登録有形文化財


川越建築散歩(2)川越商工会議所(旧武州銀行川越支店)

2018-09-24 | 埼玉の近代建築

りそな銀行のある蔵造りの町並の仲町交差点を東に入ると、ドリス式オーダーをずらりと並べた重厚な外観の川越商工会議所があります。
りそな銀行とは対照的なオーダーを前面に配したクラッシクな外観は、大正~昭和初期に流行った銀行建築の定番的手法。交差点の隅角部に出入り口を設け、上部にはバロック風のペディメント装飾を施すなど、当時の銀行建築の特徴をよく表しています。


■オーダーを配した重厚な古典主義風外観は、当時の銀行建築の定番


■2階分を貫くドリス式のジャイアント・オーダーは迫力満点、銀行の威厳をいやがうえにも強調します







■川越商工会議所(旧武州銀行川越支店)/埼玉県川越市仲町1-12
 竣工:昭和3年(1928)
 設計:前田健次郎
 施工:清水組
 構造:RC造地上2階、地下1階
 撮影:2018/04/30
 ※国登録有形文化財


川越建築散歩(1)埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店)

2018-09-16 | 埼玉の近代建築

遅ればせながら5月の連休に訪れた、埼玉県川越市の建築探訪をアップします。
小江戸と呼ばれる蔵造りの町並みには、明治~戦前期の和洋取り混ぜた建物が今も数多く残っていて、町歩きを楽しむ観光客でにぎわっていました。

川越の中心にある蔵造の町並みにひときわ目を引く西洋建築、埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店)が建っています。
角に塔を頂いたルネサンス風ですが、バットレス(控柱)にサラセン風な縞模様を施した外観は大正期の建築らしい明るく軽やかな印象です。


■銀行建築に好んで用いられたオーダーを強調した古典主義建築の重厚さはなく明るく明快な外観


■白いタイルにグレーの縞が入るサラセン風の明るい外観は、黒壁の並ぶ明治の伝統的な蔵造りの町並みの近代化を象徴する建物



■蔵造の低い町並みにひときわ目立つルネサンス風塔屋



■埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店)/埼玉県川越市幸町4-2
 竣工:大正7年(1918)
 設計:保岡勝也
 施工:印藤順造
 構造:SRC造3階
 撮影:2018/04/30
 ※国登録有形文化財