かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

浅草(2)東武浅草駅・松屋浅草店/台東区

2018-02-17 | 東京の近代建築

一時は改変がいちじるしく、外壁は白い外装材でおおわれた悲惨な状況でしたが、近年昭和6年開店当時のアールデコ調の外観が復活しました。




■広告塔だった塔屋も開店時と同じ時計塔にもどされました


■東武浅草駅・松屋浅草店/台東区花川戸1-4
 竣工:昭和6年(1931)
 設計:久野節
 施工:清水組
 構造:RC造
 撮影:2017/08/12


浅草(1)神谷バー/台東区

2018-02-11 | 東京の近代建築

浅草吾妻橋交差点の北角地に建つ大正期の商業ビル。正面外壁はタイル貼りで、三連の半円アーチ窓がモダンな外観を際立たせています。浅草六区の映画館街の戦前建築が失われた現在、大正~昭和戦前期の浅草繁華街の雰囲気を伝える唯一の建物。

神谷バーは電気ブランと葡萄酒で名を馳せた名店で、現在もデンキブランは人気商品。1階店内の本館部分は創建当時の姿を残していて、大正モダンな浅草の大衆バーの雰囲気に浸りながらお酒や料理が楽しめます。1階ホールは150席ほどの大きさで、先に食券を買い求め空いたテーブルに座ると、熟練のホール係のおねえさんたちがすぐにオーダーをとりに来てくれます。料理も比較的リーズナブルで、特にビールのおともに最適なメニューの品ぞろえが豊富で、居酒屋チェーン店とはひと味違った料理が楽しめます。一人でも気軽に入店でき、本物のモダン建築を楽しみながらちょっと一杯やるのに最適です。




■神谷バー本館/台東区浅草1-1-1
 竣工:大正10年(1921)
 設計:清水組
 施工:清水組
 構造:RC造4階
 撮影:2017/08/12
 ※国登録有形文化財


上野公園(8)JR上野駅/台東区

2018-02-07 | 東京の近代建築

現存する駅舎は、震災復興建築として建てられた二代目駅舎。東京駅と並ぶ巨大ターミナル駅ですが、東京駅は明治~大正期のクラッシクな古典様式、上野駅は昭和初期のモダニズムの影響を受けた新古典主義建築で外観は対照的。東京駅は皇居が近いこともあり、東京の玄関口としての威厳が感じられますが、上野駅は東北からの玄関口という地理的な要因もあり、庶民的なイメージが漂います。
上野駅の特徴は乗降客の動線を立体的に処理したことで、当時としては最先端の機能的な駅舎でした。その後全国で機能主義、合理主義に基づいた駅舎が続々と誕生しますが、上野駅はその先駆けとして、各地の駅舎に大きな影響をあたえました。


■駅舎外観(広小路口)


■JR上野駅/台東区上野7-1
 竣工:昭和7年(1932)
 設計:酒見佐市(鉄道省)
 施工:鹿島建設
 構造:RC造地上2階、地下1階
 撮影:2017/08/12


上野公園(7)東京芸術大学の近代建築/台東区

2018-02-03 | 東京の近代建築

■旧東京音楽学校奏楽堂/台東区上野公園8-43
 竣工:明治23年(1890)
 設計:山口半六+久留正道+上原六四郎
 施工:田中幸次郎
 構造:木造2階
 撮影:2017/08/12
 ※国指定重要文化財

明治20年に設立された東京音楽学校の旧本館で、日本最古の洋風木造の音楽専用ホール。
滝廉太郎、山田耕筰など、多くの著名な音楽家がここで育ちました。
現在は東京都台東区が移築保存し、区の音楽ホールとして再活用をはかっています。 


■東京芸術大学正木記念館/台東区上野公園12-8
 竣工:昭和10年(1935)
 設計:金沢庸治
 施工:不詳
 構造:RC造2階
 撮影:2017/08/12
 ※都選定歴史的建造物

東京美術学校5代校長・正木直彦の業績を記念して建てられた作品陳列館。
昭和初期に流行した帝冠様式を採用した近代和風建築。


■東京芸術大学陳列館/台東区上野公園12-8
 竣工:昭和4年(1929)
 設計:岡田信一郎
 施工:不詳
 構造:RC造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

学生等の作品の展示施設。
同時期に建てられた黒田記念館とともに岡田信一郎の設計。
どちらも茶色のスクラッチタイル貼りですが、こちらはより端正で落ち着いた外観。
 


■東京芸術大学赤煉瓦1号館(旧教育博物館書籍閲覧所書庫)/台東区上野公園12-8
 竣工:明治13年(1880)
 設計:林忠恕
 施工:不詳
 構造:煉瓦造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

明治初期、煉瓦や石造の洋風建築のほとんどは、お雇い外国人建築家に委ねられていました。
明治13年に建てられたこの建物は、日本人技術者による最初期の煉瓦造建築で、現存する都内最古の煉瓦建築として大変貴重。
隣の2号館(明治19年)とともに、今も大学構内で大切に保存されています。




■東京芸術大学赤煉瓦2号館(旧東京図書館書籍庫)/台東区上野公園12-8
 竣工:明治19年(1886)
 設計:小島憲之
 施工:服部浅五郎
 構造:煉瓦造2階
 撮影:2017/08/12
 ※東京都選定歴史的建造物

隣接する赤煉瓦1号館に次いで都内で2番目に古い煉瓦造建築。
入口のイスラム風尖塔アーチや最上部の丸窓など個性的なデザインが面白い。



■東京芸術大学音楽学部赤煉瓦門/台東区上野公園12-8
 竣工:明治23年(1890)
 構造:煉瓦造
 撮影:2017/08/12