かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

関西電力 大井発電所(岐阜県中津川市)

2011-09-25 | 東濃の近代建築

木曽川の電力王、福沢桃介が特に力を注いだ発電所施設で、日本で始めての50メートルを超える本格的ハイダム式の発電所です。
ダムの高さは53m、長さは276mあり、近くで見るとまさにコンクリートの壁でそのスケールに圧倒されます。
発電所の設計は佐藤四郎で、そのデザインは機能的なスタイルの中にも様式美を残しており、近代的なコンクリート打ち放しと様式主義が見事に融合しています。
佐藤は木曽川で7つの発電所を設計していますが、80年以上を経た現在もそのデザインは色褪せていません。

 

◆関西電力 大井発電所/岐阜県中津川市蛭川
 竣工:大正13年(1924)
 設計:佐藤四郎(大同電力)
 施工:石川榮次郎
 構造:RC造
 撮影:2011/09/25


◆大井発電所と新大井発電所(向かって右側)を対岸(恵那市側)から望む

 


◆東雲橋から大井発電所を望む



◆発電所入り口



◆発電所施設に向かう橋~二連アーチが美しい



◆発電所の裏を通りダムまで続く見学の為の小道が整備されています



JR東海中央本線 武並駅(岐阜県恵那市)

2011-09-23 | 失われた建物の記憶

釜戸駅の健在を確認後、一駅先の武並駅に向かいます。
19号線を右折し坂を下りると、目の前に現れたのはコンテナのような長方形の箱で、以前の木造駅舎は影も形もありません。

以前の駅舎は玄関の上に小さな半円形のドーマー窓を設けた大正期の洋館風で、まさに「ふるさとの木造駅舎」のイメージがぴったりの味のある駅舎でした。
大正15開業の駅舎は、地元の人にとっては生まれた時からそこにある「あたりまえの風景」として存在していました。長い歴史のある建物は、その存在自体が町の歴史そのものであり、その時代を生きた人々の思いを受け継いでいます。
80年以上もの長い間、町とともに時を過してきた駅舎が建て替えられたのはとても残念な思いがします。

新しい駅舎は現代風のモダンな建物で、それ自体が決して悪いわけではありません。
ただ私的にはもし私がこの町で生まれ育った人間で、久しぶりに故郷に帰ってきた時に迎えてくれるのは、ずっと昔から変わらずそこにあるあの木造駅舎であって欲しいと思うのです。
現在の駅舎が80年後に人々の思いを受け継ぎ、町の歴史を語る建物として存在するのを願うばかりです。

◆JR東海中央本線 武並駅/岐阜県恵那市武並町竹折
 竣工:大正15年(1926)
 構造:木造平屋
 ※2008年取り壊し


 
◆屋根のドーマー窓が特徴、大正期らしい洋館風駅舎(2001年撮影)



◆2008年に建て替えられた現武並駅舎(2011/09/18撮影)

 

 


JR東海中央本線 釜戸駅(岐阜県瑞浪市)

2011-09-21 | 木造駅舎の旅

ほぼ10年ぶりくらいに岐阜県東濃地方に建築探訪に出かけました。
国道19号線で恵那市に向かう途中、こちらも10年ぶりに中央本線の釜戸駅と武並駅に立ち寄りました。
まずは瑞浪市にある釜戸駅。最近は地方の小さな木造駅舎も次々とモダンな駅舎に建て替えられているので心配でしたが、以前と変わらず明治の木造駅舎が健在で一安心。
やっぱり地方の小さな駅は木造駅舎が似合います。

 

◆JR東海中央本線 釜戸駅/岐阜県瑞浪市釜戸町東大島
 竣工:明治35年(1902)
 構造:木造平屋
 撮影:2011/09/18

 

 


カトリック多治見教会神言修道院(岐阜県多治見市)

2011-09-20 | 東濃の近代建築

三連休の中日の日曜日、久しぶりに岐阜県多治見市にあるカトリック多治見教会を訪れました。
国道19号を名古屋方面から北上し、多治見市街を抜け北側に左折すると小高い丘の上に見事な教会建築が姿を現します。
今回が3回目の訪問になりますが、ゆるやかな坂道を上るにつれ教会全体が目の前に現れると、毎度のことながらそのスケール感に圧倒されます。

東西に長く伸びた赤い屋根の白い建物には、十字架をいただく尖塔がそびえ、その雰囲気はさながらヨーロッパ中世の修道院を思わせます。
ブドウ畑に囲まれた広大な敷地には、宿泊用のログハウスやバーベキュー広場が設けられ、南山大学の学生の研修施設として利用されています。
また地下にはワインの醸造、貯蔵設備があり、敷地内で収穫されたブドウから作られた自家製ワインやクッキーなどが玄関わきの売店で販売されています。

建物の設計は神言修道会のドイツ人ヨセフ・モール神父で、日本人の司祭と修道士の育成を目的に日本管区の本部修道院として昭和5年に設立されました。モール神父はこの修道院長として多治見の地で布教に生涯をささげ、教会の敷地内の墓地に永眠しています。

この日も9時30分からの日曜朝のミサに、外国の信者の方も含め多くの信者の方が訪れていました。
町を見下ろす丘の上に建つ愛らしい修道院は、これからも多治見市のシンボルとして、多くの市民から愛され続けていくことでしょう。


◆カトリック多治見教会神言修道院/岐阜県多治見市緑ヶ丘38番地
 竣工:昭和5年(1930)
 設計:ヨゼフ・モール神父 
 構造:木造3階、地下1階 
 撮影:2011/09/18



◆修道院全景(南側正面)~建物は凹型に配置され向かって左端に尖塔があります

 


◆桜咲くころの修道院(2007年4月撮影)

 


◆外観は修道院らしく清楚なデザイン
 白い壁と赤い屋根のコントラストが美しく、連続した小さな屋根窓が明るい雰囲気を醸し出しています



 
◆聖堂玄関~入って右手に売店があります        ◆車寄せのある中央玄関~屋根には風見鶏のついた小さな塔がのります




◆東側に広がるブドウ畑の小道より修道院を望む




◆聖堂玄関前の修道院案内図




◆道案内版にしたがって修道院墓地にむかいました




◆ブドウ畑の中の小道を抜けると・・・・




◆ブドウ畑の一番奥にある静かな一角に修道院墓地があります
 洋画などでよく目にする石板のような墓石がずらりと並んでいます



◆ブドウの実もたわわに実り、美味しいワインになるのを待っています



マンホール紀行(5)~岐阜県各務原市

2011-09-05 | ご当地マンホール紀行

現在は各務原市に編入されている川島地区は、2004年までは岐阜県羽島郡川島町として町制が敷かれていました。
旧川島町は木曽川の中州に位置し、全域が川に囲まれている全国唯一の町で、国営木曽三川公園のひとつ河川環境楽園には淡水魚専門の水族館としては世界最大級の岐阜県世界淡水魚園水族館(アクア・トトぎふ)があり、多くの人に親しまれています。

 






旧川島町時代オリジナルのマンホールと側溝のフタ
木曽川にちなんだアユや水鳥がデザイン化されています

 

 


前野町の火の見櫓(岐阜県各務原市)

2011-09-04 | まちかどの20世紀遺産

岐阜県各務原市の前野町に国登録有形文化財の火の見櫓があります。
火の見櫓も登録文化財として保存される時代になり、嬉しいやらちょっと寂しいやら複雑な心境です。
移り変わる町の景観とともに歴史を刻んできた火の見櫓、これからもずっとそこにある町のランドマークとして町を見守り続けます。

◆前野町の火の見櫓/岐阜県各務原市前野町4-2
 竣工:昭和12年(1937)
 施工:熊田商店鉄骨部
 構造:鉄骨造
 撮影:2007/11/03

 


高さ19m、四脚の鉄骨造、中間にも半鐘を設置



最上部の屋根は円錐形でお約束の渦巻き装飾もあります

 



~火の見櫓のバリエーション~
火の見櫓の構造は鉄骨三脚と四脚の2タイプ、望楼の屋根は、円錐、三角錐、四角錐の3タイプに分かれます。
反り返った屋根のてっぺんには風見や避雷針が取り付けてあるものも多いようです。
古い火の見の屋根には、たいてい渦巻き型の鋳鉄製の装飾が見られます。

    
採集場所:愛知県丹羽郡大口町


マンホール紀行(4)~岐阜県美濃加茂市

2011-09-03 | ご当地マンホール紀行

岐阜県美濃加茂市は木曽川流域に位置し、古くから水運の中継地点として、また中山道の宿場町(太田宿)として栄えました。
また日本ライン発祥の地でもあり、美濃加茂市側の太田橋には観光船の乗船場があり、犬山橋まで木曽川のライン下りが楽しめます。

 

 

 


木曽川の急流とライン下りの船を操る船頭が図案化されています




市の花のあじさいに可愛いカエルが2匹