かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

観音橋(かんおんばし)岐阜県美濃加茂市

2011-06-26 | 近代橋めぐり

観音橋(かんおんばし)は、飛騨川に浮かぶ中の島にある小山観音参拝のために架けられた橋で、現在も当時のまま使われています。
小山観音のある中の島はもともと陸続きでしたが、下流に今渡ダム(昭和14年)が建設され陸路が水没してしまうため、昭和13年に「観音橋」が参拝用の橋として建設されました。
小山観音周辺は飛騨木曽川国定公園に指定されている風光明媚なところで、市内でも有数の桜の名所として知られています。
川岸の桜並木から飛騨川に浮かぶ観音堂に続く橋のある風景は、これからも地元の人々にずっと愛されていくことでしょう。

 

◆観音橋(かんおんばし)飛騨川/美濃加茂市下米田町小山104
 竣工:昭和13年(1938)
 構造:RC造
 撮影:2007/04/08

 


観音橋全景~訪れた時はちょうど川岸の桜並木が満開でした



飛騨川にぽっかり浮かぶ小山観音



中の島には馬蹄観音が祀られた観音堂があります



参拝橋ということで欄干、親柱は和風意匠のデザイン



観音橋から望む飛騨川沿いの桜並木






 

 

 


太田橋(岐阜県可児市~美濃加茂市)

2011-06-21 | 近代橋めぐり

橋門が立派で、右書きの「橋田太」の題額と御影石でできた青銅飾りのある親柱が時代を語ります。
美濃加茂市側の太田橋の袂から観光船に乗ることができ、犬山市の犬山橋までライン下りが楽しめます。

◆太田橋(木曽川)/岐阜県可児市今渡字町~美濃加茂市古井
 竣工:昭和2年(1920)
 施工:大阪鉄工所
 構造:鋼ワーレントラス
 撮影:2006/11/05


太田橋全景(可児市上流側より)



右書きの「橋田太」の立派な題額



橋灯付きのオリベスク風親柱(御影石に青銅製の飾りあり)

 


美濃市のレトロな歯科医院

2011-06-20 | 中濃の近代建築

美濃市を散策中偶然見つけた昭和の香りがぷんぷん漂う、木造下見板貼りの洋風建築の歯医者さんです。
今では珍しくなりましたが、私の子供の頃はこんな昭和レトロな医院がどこの町にもありました。



 ブロック塀ではなく菱形に金属の装飾が入ったモルタル塀が良い味出してます





 門柱に旧字体で書かれた表札が時代を語ります

 


立花橋(岐阜県美濃市)

2011-06-19 | 近代橋めぐり

◆立花橋(長良川)/美濃市立花字木の末
 竣工:昭和13年(1938)
 構造:RC造
 撮影:2007/04/29

長良川鉄道越美南線の湯之洞温泉口駅前に国道156号線と長良川対岸の291号線を結ぶ立花橋があります。
この橋を渡り上流へ100mほど上がると長良川発電所、さらに500m先に湯之洞温泉に通じる道路があり、湯之洞水路橋があります。

立花橋の外観はいたってシンプルで、どこにでもある普通のコンクリート製の橋ですが、昭和13年の架橋以来70年以上にわたって人々の暮らしを支えています。







立方体の親柱の上にピラミッドを途中で切断したような形の装飾が載っています


湯之洞水路橋(岐阜県美濃市)

2011-06-18 | 近代橋めぐり

長良川発電所の前の道路を600mほど上流に上った左手に、湯之洞温泉に向かう細い道路があり、その道路を上るとすぐに湯之洞水路橋が見えてきます。
この水路橋は煉瓦造5連アーチ構造で、長良川発電所に送水するための導水路が谷川を横断するため、高架構造になっていて、アーチの下を湯之洞温泉への市道(立花3号線)が通っています。
シンプルなデザインながら、山の緑に映えるイギリス積みの赤煉瓦が美しく、下流にある同様のデザインの日谷水路橋とともに登録文化財に指定され、現在も使われています。
100年前から同じ姿で山のなかに佇む赤煉瓦のアーチ橋は、明治の近代化を象徴する遺産として、これからも時を刻み続けます。

◆湯之洞水路橋/岐阜県美濃市立花
 竣工:明治34年(1910)
 構造:煉瓦造5連アーチ
 撮影:2007/04/29
 ☆国指定登録有形文化財

 


水路橋全景~連続アーチが美しい

 


水路橋の下を通る湯之洞温泉に通じる市道~道路の終点に温泉宿(湯元館)があります



水路橋のアーチ~下を谷川が流れる



水路橋上部~両側に点検用の歩道(煉瓦造)が設けてある



導水路のトンネルポータル部



登録有形文化財のお墨付きプレート
100歳の高齢ですがこれで老後も一安心!

 

 


中部電力 井ノ面水力発電所(岐阜県美濃市)

2011-06-12 | 中濃の近代建築

156号線を美濃市街を抜け長良川沿いに北上すると、長良川を挟んで左手にちょっと細身のミニギリシャ神殿風の白い三角屋根(百葉箱)と排水口が目にとまります。
井ノ面水力発電所は山をくりぬいた岩窟屋舎のため、少し上流に位置する長良川発電所のような本館と呼べる建物がなく、一般の人には発電所の存在が分かりにくくなっています。
ミニ神殿風百葉箱の隣には同様の古典的デザインで統一された発電所の入り口があり、「中部電力 井ノ面水力発電所」と書かれた門柱が発電所の存在を示しています。
長良川発電所のようないかにも近代建築らしい建物はありませんが、真っ白に塗られたクラッシクなデザインの百葉箱と入り口の造形には、しっかりと当時流行の歴史様式を取り入れています。

◆中部電力 井ノ面水力発電所/美濃市安毛字井ノ面874-11
 竣工:大正10年(1921)
 構造:岩窟屋舎
 設計:板取川電気(株)
 撮影:2007/04/29


対岸から見た発電所全景~排水口から勢いよく長良川に放水されています



道路に面して発電所入り口と百葉箱が並んでいます



 
ギリシャ神殿風デザインで統一された入り口と百葉箱

 

 


中部電力 長良川発電所本館・正門・外塀(岐阜県美濃市)

2011-06-11 | 中濃の近代建築

長良川水系では最も古い発電所で、完成当時はわが国2番目の規模を誇っていました。
本館はイギリス積みの赤煉瓦造で、竣工時は発電機室建物が本館の南側にL字型に接していましたが、切り離され新築されました。
南側の壁面には発電機室の妻屋根の跡がはっきりと残っており、接合部は新しくタイルが貼られています。
正門の煉瓦造の門柱や外壁も当時のままで、鉄製の扉には中電のロゴマークがあしらわれています。

 

◆長良川発電所本館/岐阜県美濃市立花字木の末844-1
 竣工:明治43年(1910)
 構造:煉瓦造地上2階地下1階建
 撮影:2007/04/29
 ☆国指定登録有形文化財


発電所本本館・正門・外塀全景(北側)




本館南側~取り壊された発電機室接合部が壁面に残っています




発電所遠景~手前は新築された発電機室建物




発電所本館入り口~アーチの中心にはキーストーンがはめ込まれています




発電所正門~門柱の柱頭には花崗岩を用い袖塀と階段も煉瓦造



  
袖塀に取り付けられた登録有形文化財のプレートと鋳鉄製門扉の中電の社章




正門前に設置された発電所の説明板

 

 


マンホール紀行(3)~岐阜県美濃市

2011-06-09 | ご当地マンホール紀行

美濃和紙で有名な岐阜県美濃市はうだつの上がる町としても知られています。

うだつとは~
火事の多かった江戸時代、隣家からの類焼を防ぐため防火壁として造られたが、次第に装飾的な意味が大きくなり、自己の財力を誇示するため商家の屋根には競って立派なうだつが上げられるようになった。
文字通りかなりのお金持ちでなければうだつをあげることは難しかったので、立派なうだつをあげることのできない家は、まさに「うだつが上がらない」と言うわけである。

 


マンホールにもしっかりうだつが上がっています

 

 


旧名鉄美濃町線美濃駅本屋・プラットホーム(岐阜県美濃市)

2011-06-08 | 中濃の近代建築

◆旧名鉄美濃町線美濃駅本屋・プラットホーム/岐阜県美濃市2926-4
 竣工:大正12年(1923)
 構造:木造平屋建
 撮影:2007/04/29
 ☆国指定登録有形文化財

名鉄美濃町線美濃駅は、美濃町線の廃止にともない1999年3月31日に廃駅となりましたが、駅本屋とプラットホーム、車両、一部線路が記念館として保存展示されています。
駅舎は大正期に建てられた役場や公民館、学校などに良く見られる木造下見板貼りの洋風建築で、戦前の名鉄の駅舎はほとんどこのタイプです。
名鉄は古い木造駅舎が結構残っていましたが、ここ10年程で岐阜県内のローカル線(揖斐線、谷汲線、八百津線、美濃町線など)が廃線になり、現在当時のまま残っている戦前の木造駅舎は数えるほどになってしまいました。
旧名鉄美濃駅舎は地域のランドマークとして長い間住民に親しまれてきた建物で、登録有形文化財として保存活用の道が開けたのは嬉しい限りです。

 


駅舎妻側に出入り口を設け壁面に装飾的に木骨を見せる



待合室と改札口



ターミナル型の駅舎に2本のホームが取り付く



コの字型のプラットホームにかつて美濃町線を走った車両が保存されている



大正15年製の丸窓がレトロなモ510形
当時流行の正面が半円筒形の流線型の車体



美濃町線の廃線跡~路線の一部が道路になりプラットホームも残っていました
サイクリングロードに最適で気持ちよく走れます(関市下有知中学附近)

 

 


美濃和紙あかりアート館(旧美濃町産業会館)/岐阜県美濃市

2011-06-05 | 中濃の近代建築

岐阜県美濃市は古くから和紙の産地として知られ、江戸時代の豪商が建てたうだつのある古い町並が現在も残っていて、国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
そんなうだつの上がる町並の一角に、戦前に建てられた木造下見板貼りの洋館建築があります。
元々は美濃町信用購買販売利用組合が建設、美濃町産業会館として使われてきましたが、現在は美濃和紙で作られたちょうちんやあかりアート作品の展示、販売などを行う「美濃和紙あかりアート館」として生まれ変わり、美濃市の観光拠点のひとつとして活用されています。

◆美濃和紙あかりアート館(旧美濃町産業会館)/岐阜県美濃市本住町1901-3
 竣工:昭和16年(1941)
 構造:木造2階
 撮影:2011/04/29
 ☆国指定登録有形文化財

 


切妻造の総2階建、外壁は下見板に腰タイル貼りで
縦長の窓の上下を繋げて廻し水平線を強調したデザイン




内部は展示スペースに改装されていますが
1階階段親柱のデザインが当時の面影を残しています




改装前の建物全景~正面玄関軒下に装飾がありましたが現在は撤去されています