かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

蓬左文庫旧書庫(名古屋市東区)

2016-05-07 | 名古屋の近代建築

徳川園は尾張藩二代藩主光友が隠居所として造った大曽根屋敷が起源で、昭和6年に十九代当主義親から邸宅と庭園の寄贈を受けた名古屋市が整備改修を行い、「徳川園」として公開しました。

徳川園の西にある黒門(国登録文化財)を入ると、右手に白く塗られた土蔵造りの建物があります。これは昭和58年まで蓬左文庫の書庫として使用されていた建物で、現在は移築されそのままエントランスホールに再利用されています。この旧書庫に続いて蓬左文庫の閲覧室と展示室があり、尾張徳川家の旧蔵書を中心に11万点に及ぶ和漢の古典の所蔵公開、また近世武家文化を紹介する展示も行っています。

入口が二つ並ぶ旧書庫の建物は、明治33年に完成した尾張徳川家名古屋大曽根邸内の9棟の土蔵のうちの2棟を、昭和10年に1棟に合体移築し再利用したものです。建物は伝統的な和風2階建の蔵造りですが、小屋組みは当時としては珍しい様式のキングポストトラスを採用した斬新な構造です。移築にあたり基礎や外壁は鉄筋コンクリートで補強されていますが、内部や軸組は当時の姿をそのままとどめています。


■徳川園の西側入口黒門(旧尾張徳川家大曽根別邸表門/明治32年築/国登録有形文化財)
門を入ると正面に徳川美術館、右手に蓬左文庫があります



■明治33年築の土蔵→書庫に改修(昭和10年)→エントランスホールに移築改修再利用(平成16年)
まさにリノベーションの先駆けであり、お手本といえるでしょう!それにしても残ってよかったですね




◆蓬左文庫旧書庫/名古屋市東区徳川町1001
 竣工:昭和10年(1935)~明治33年築の蔵を改修/平成16年(2004)移築改修
 設計:吉本与志雄
 構造:木造一部鉄筋コンクリート造2階建
 撮影2016/05/01
 ※国登録有形文化財
     



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