かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

松駒荘(岐阜県各務原市)

2010-12-09 | 岐阜市周辺の近代建築

各務原市の建築散歩~その3

各務原市の南西部の稲羽地区は、戦前から昭和40年代頃まで繊維産業が盛んで、個人経営の織物工場が軒を並べていました。
織物工業が隆盛を極めた時代を物語る建物として、昭和2年に建てられた中屋織物工業協同組合の建物が最近まで現存していましたが残念ながら取り壊され、稲羽地区には戦前の洋風建築はほとんど残っていません。
小佐野町に残る「松駒荘」は大正から昭和初に建てられたと思われる木造下見板の洋風建築で、現在も当時の面影を良く残している貴重な建物です。
松駒荘(まつこましょう)をネットで検索してみると、現在は不動産屋さんとして使われているようで、何はともあれ戦前の建物が有効利用されているのは喜ばしい限りです。
建築当初は織物関係の会社か住宅として使われたと思われますが詳細は不明です。
しかしそれ自体がアパートの名前のような「松駒荘」と言う屋号を、そのまま不動産屋に使っているのが面白いところです。

◆松駒荘/各務原市小佐野町3丁目230
 竣工:大正~昭和?
 構造:木造2階
 撮影:2006/08/15

 





玄関ポーチの造りや屋根飾りが大正期の洋風建築の面影を残します





玄関には右から読ませる「荘駒松」と言う木製の看板がかかっています

 

 

 





 


旧各務原駅前郵便局(岐阜県各務原市)

2010-12-07 | 岐阜市周辺の近代建築

各務原市の建築散歩~その2

◆旧各務原駅前郵便局/各務原市鵜沼各務原町
 竣工:昭和14年(1936)
 設計:鈴木工業建築
 施工:波多野某
 構造:木造2階
 撮影:2007/07/16


旧川島郵便局と同様、正面中央に玄関を設けた端正な外観ですが、外壁は石貼り風で1、2階にスクラッチタイルを廻し外観に変化をもたせています。
ドアや窓枠はサッシに変えられ現在も使用されている様子で、保存状態も良好です。





 


 


旧川島郵便局(岐阜県各務原市)

2010-12-05 | 岐阜市周辺の近代建築

各務原市の建築散歩~その1

◆旧川島郵便局/各務原市川島町河田491
竣工:昭和11年(1936)
構造:木造平屋
撮影:2006/06

郵便局の奥には住居の母屋が続く典型的な戦前の町の郵便局
屋根瓦は葺き替えられていますが、玄関のドアや窓は木製のまま当時の面影を残しています








岐阜市の東隣に位置する各務原市は、古くは鵜沼宿のあった旧中山道沿いに発展しました。
大正期には鵜沼地区と愛知県の犬山が橋でつながり、木曽川沿いの景勝地は「日本ライン」として全国に名を馳せました。
犬山橋周辺には近代的な別荘や旅館が建てられましたが、ほとんどが現存せず、唯一川上貞奴が建てた別荘(晩松園)が保存されています。

那加地区には大正6年国内で最初の岐阜飛行場(現航空自衛隊岐阜基地)が開設、大正12年には岐阜高等農林学校(現岐阜大学)が設立されました。
現在岐阜基地には戦前の建物が残っていますが、岐阜大学に引き継がれた岐阜高等農林時代の木造校舎は、大学移転とともに1980年代に全て取り壊されました。