かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

木曽川町玉ノ井散策

2009-10-28 | まち歩き
一宮市は繊維産業で栄えた町ですが、名鉄尾西線の終点木曽川町の玉ノ井もそんな面影を残す繊維の町です。
戦前からの毛織の工場が残る細い路地の入り組んだ古い街並みは、どこか懐かしい昭和の風景を思い出させてくれます。



■路地の奥には懐かしい煙突のある風景が





■戦前からの木造下見板の古い工場



■珍しい下見板貼りの蔵



■昔ながらの銭湯「玉ノ井湯」



■玄関には帆船が行きかった戦前の木曽川の風景を描いたタイル画がありました
 撮影:2009/10/18

木曽川資料館(旧木曽川町会議事堂)

2009-10-25 | 尾張の近代建築
名鉄名古屋本線新木曽川駅から線路沿いに北に向かうと、すぐに木曽川資料館のレトロな建物が見えてきます。
この建物は旧木曽川町会の議事堂として大正13年に建てられたもので、単独の建物で現存する町村会の議事堂は全国的にも珍しく、国登録有形文化財に指定されています。
同時期に建てられた役場庁舎は惜しくも平成15年に取り壊されましたが、隣接する町会議事堂は取り壊しをまぬがれ、木曽川資料館として末永く幸せな余生を送ることになりました。

■木曽川資料館(旧木曽川町会議事堂)/一宮市木曽川町大字黒田字宝光寺東20
 竣工:大正3年(1922)
 構造:木造平屋建
 撮影:2009/10/18


■建物南側正面



■南東側~東隣にあった旧庁舎は取り壊され、現在跡地には商工会館が建つ





■丸柱に支えられた立派な玄関車寄が当時の議事堂の面影を伝える



■車寄せ上部の壁面には、当時のままの右から書いた「堂事議会町」の文字が残る


 
■玄関車寄照明

JR東海道本線木曽川駅 駅倉庫(一宮市木曽川町)

2009-10-21 | 尾張の近代建築
平成20年に木曽川駅は古い木造駅舎を取り壊し、新駅舎に生まれ変わりましたが、駅の西口に大正元年当時の煉瓦積みの倉庫と駅の柱の一部が保存展示されています。

■JR東海道本線木曽川駅 駅倉庫/一宮市木曽川町黒田
 竣工:大正元年(1912)
 構造:煉瓦造平屋




■全体の雰囲気は漆喰の変わりに煉瓦を使った伝統的な土蔵造り



■入り口の建物資産標には大正1年11月の記載が



■小屋の脇には駅舎の柱の一部が保存されているものの・・・
 もうちょっと当時の駅舎の雰囲気を伝えるものも残して欲しかった



■移築前の煉瓦小屋(現在は数メートル移動して保存)



■取り壊し前の木造駅舎(明治25年築)
 現役最古級の貴重な駅舎でしたが、120年に及ぶ長い歴史に幕を下ろしました。
 保存活用の道はなかったのか、非常に残念です。
 
 

鋼製耐震煙突(旧日本紡績一宮工場跡地)

2009-10-18 | まちかどの20世紀遺産


 一宮市の競輪場のすぐ脇、家電量販店コジマの駐車場の一角に、柵で囲まれたモニュメントのような鉄の筒が建っています。
 この場所には1997年まで紡績工場が建っており、この鉄の筒は工場の煙突(高さ40m)の一部をカットしたもので、すぐ脇には「東京芝浦製作所製 明治四十一年二月」と記された銘板も一緒に保存されています。
 一宮を中心とした尾西地方は、戦前から繊維産業が栄えましたが、戦後の繊維不況により多くの紡績工場が閉鎖されました。その広大な跡地には大手スパーや巨大量販店、マンションなどが建設され、当時の面影を残すのこぎり屋根の工場も今ではすっかり姿を消してしまいました。

■旧日本紡績一宮工場 鋼製耐震煙突(一部保存)/一宮市羽衣2丁目
 竣工:明治41年(1908)
 設計:技師吉田朋吉
 施工:芝浦製作所
 構造:鋼板製(内部レンガ張り)
 撮影:2009/10/11



■右から書かれた当時の銘板

一宮市向山の洋館

2009-10-17 | 尾張の近代建築
数年前、柳戸ポンプ場を訪れた時に、偶然なかなか味のある古い洋館を見つけました。
私的には「おっつ、これは!」と思わず心の中で叫んでしまうくらい雰囲気のある建物で、地方都市ではなかなかお目にかかれない優良物件です。
今回も柳戸ポンプ場撮影のついでに寄ってみましたが、幸い建て替えられることもなく健在で安心しました。
建築年は不明ですが、洋館部分の大屋根の張り出し窓や、スクラッチタイルや丸窓のある凝ったデザインの玄関など、細部に設計者のこだわりが感じられ、戦前の昭和モダンな住宅の面影が当時のままの状態で残っています。


■大江川沿い(西側)の道路から見る外観。裏(南東側)に回ると和風の和洋折衷様式。


■二つ並んだドーマー(屋根窓)が見所。小さな煙突が可愛らしい。



■大きなポーチのある玄関の脇に多角形の建物が張り出す



■現在は使われていない石積みの門柱。取って付けたような壁の三角ペディメントが面白い。



■建物東側は和風の造り。(東側の神社境内から撮影)
 右手の多角形の建物は、いかにも戦前のちょっと怪しい洋館の雰囲気が漂い、非常に良い感じです。

撮影:2009/10/11

柳戸ポンプ場(愛知県一宮市)

2009-10-16 | 尾張の近代建築




■柳戸ポンプ場(旧下水抽水場)/一宮市柳戸1丁目
 竣工:昭和4年(1929)
 構造:鉄筋コンクリート造1階
 撮影:2009/10/11

水面の高い大江川に排水するたの下水抽水場として建設されました。
歴史様式の近代建築が持つ華やかさはありませんが、装飾を廃した機能主義のコンクリート建築は、現代建築にも通じるシンプルな美しさが漂います。
現在もポンプ場として現役で使用されている貴重な近代化遺産です。





尾西繊維協会ビル(愛知県一宮市)

2009-10-15 | 尾張の近代建築


■尾西繊維協会ビル(旧尾西織物同業組合事務所)/一宮市栄4-5-11
 竣工:昭和8年(1933)
 設計・施工:清水組名古屋支店
 構造:鉄筋コンクリート3階
 撮影:2009/10/11

この地方が「毛織物王国」と呼ばれ隆盛を極めた、昭和の古きよき時代の面影をとどめる一宮を代表する近代建築です。
落ち着いた毛深い茶褐色のスクラッチタイルの外壁に、建物の角や窓の縁に使った白い石が華やかを加え、洋館らしい瀟洒な雰囲気を演出しています。



■建物北側~西洋館には欠かせない煙突もスクラッチタイル貼り



■建物東側遠景~屋上に神社があるのが分かります



■二階分の高さの縦長のアーチ窓
 窓枠の中はタイルの並び方が変えてあり、編みこんだ毛糸のように見えます。
 スクラッチタイルと白い石積みのコントラストが抜群です。

一宮市役所西分庁舎(旧名古屋銀行一宮支店)

2009-10-14 | 尾張の近代建築


■一宮市役所西分庁舎(旧名古屋銀行一宮支店)/一宮市本町2-4-345
 竣工:大正13年(1924)
 設計:鈴木禎次
 構造:鉄筋コンクリート3階
 撮影:2009/10/11

元々は東海地方の建築界の巨匠、鈴木禎次が設計した当時の銀行建築の典型と言える建物で、正面にドリス式大オーダーを配したクラッシクな外観です。
現在は市役所の分庁舎として再利用されていますが、本町商店街のアーケードに埋もれて建物全体が見られないのは非常に残念です。
こちらも本庁舎と同様に建て替え計画が進行中でらしいですが、一宮の近代を語る歴史遺産として保存活用されるのを願うばかりです。



■南側の建物が取り壊され側面が見えるようになりました。右手の渡り廊下が本庁舎に続いています。

航空自衛隊岐阜基地の近代建築(岐阜県各務原市)

2009-10-13 | 岐阜市周辺の近代建築

毎年秋に行われる岐阜基地の航空際ですが、今年も天気に恵まれ大勢の人でにぎわいました。
皆さんのお目当てはブルーインパルスの曲技飛行ですが、私の目的は基地内の近代建築です。
岐阜基地の歴史は古く、明治初期に陸軍の大砲射撃場として開設され、その後各務原飛行場として使われました。
基地内には陸軍各務原航空隊当時の古い建物が、現在も数多く残っています。


■大勢の人でにぎわう正門附近




■航空自衛隊岐阜基地渉外室広報館(旧陸軍飛行第一聯隊将校集会所)/岐阜県各務原市那加官有地無番地

 竣工:大正9年(1920)
 施工:北川組
 構造:木造平屋
 撮影:2009/10/12


■建物正面~屋根や外壁はリニューアルされ塗装も真新しい


■8本の石柱が並ぶ玄関部分


■下見板貼りに縦長の上げ下げ窓が当時の雰囲気を伝えます





■補給倉庫(旧飛行機格納庫)昭和3年(1928)




■基地内に現存する古い洋風の建物
 

 
昭和40年代は基地に勤務する隊員の住宅として使われていました。
私が中学生の頃の友人は、実際にこの建物の一軒に住んでいてよく遊びにいきました。
玄関を入ると当時では珍しい広い板貼りのワンルームになっていて、日本式住宅に慣れていた私はそのモダンさに驚いたものです。
おそらく戦後のアメリカ軍による接収期に住宅として使用されたようで、広い敷地に点在する洋風住宅は、とても同じ日本とは思えない風景だったのを記憶しています。





 
実家にいた頃は余りに身近すぎて航空際もご無沙汰でしたが、ブルーインパルスの飛行展示も久しぶりに間近で堪能しました。


一宮市役所本庁舎(愛知県一宮市)

2009-10-12 | 尾張の近代建築

繊維の街として栄えた頃の一宮を代表する近代建築で、愛知県最初の鉄筋コンクリート造市庁舎。
装飾の少ない端正な外観ながら、玄関を角に設けメダリオンやオーダーを配するなどバロック様式風なクラッシクな意匠も見受けられます。
1階の窓口には庁舎としては日本で初めての対面式カウンターが設けられ、職員がカウンターを挟んでオープンな空間で市民に接するという現代と同じ形式を採用した大変モダンなつくりになっています。
建設当時は中庭を設けたコの字型の建物でしたが、現在は正面玄関を中心に両翼(東、北側)の部分しか残っていません。
現在旧庁舎を取り壊して新庁舎を建築する計画が進められており、建築史学会から地方都市の近代化を語る歴史的文化財として保存再生の声が上がっています。

■一宮市役所本庁舎/一宮市本町2丁目5-6
 竣工:昭和5年(1930)
 設計:松本善一郎(前愛知県営繕課技師)
 施工:榊原信太郎
 構造:鉄筋コンクリート造
 撮影:2009/10/11




■庁舎全景~敷地の外側に建物を配置し中庭を設けた、当時の庁舎・事務所建築の典型
左後方には増築した庁舎が見えます




■北東角に設けられた正面玄関
上部のメダリオンと幾何学模様の装飾が目を引く



■4本のオーダーが並ぶ



 

■玄関ホールの銅製の装飾腰板



■玄関照明



■北側玄関



■南西側の建物は取り壊され現在は駐車場に





 


東山給水塔(千種区田代町)

2009-10-04 | 名古屋の近代建築

揚輝荘のすぐ西側が覚王山日泰寺です。
この日(9月21日)はちょうど縁日のようで、参道にはたくさんの露天が出てにぎわっていました。
日泰寺を抜け東山給水塔へ向かいます。



東山給水塔は覚王山日泰寺の北側の高台にあり、現在は災害時の貯水施設として使用されています。
とんがり帽子を頭に載せ、街を見下ろすように建つ姿はどこか愛嬌があり、昭和の風景を今に伝える覚王山のランドマークとして、現在も市民に親しまれています。


■東山給水塔/名古屋市千種区田代町四観音堂西5-1
 竣工:昭和5年(1930)
 設計:市水道部(成瀬薫)
 施工:大倉土木
 構造:鉄筋コンクリート

 


■年2回一般公開されていますが、今回は敷地外からの撮影になりました



■公開日に撮影した東山給水塔(1999/6/6)