一日何度も思わず口にしてしまう「暑い暑い」と。
山谷の路上生活者のおじさんたちにとって、夏は冬より厳しいと言う、夏の暑さには逃げ場がないとのことだ。
北風よりも太陽が強いと言うことであろうか。
いや、また冬になれば口にしてしまう「寒い寒い」と。
不平不満を口にしても現状は変わりようがない、変わることの出来るものは内面であり、他者他物ではなく自己である。
ならば、微笑もうではないか、笑う門の福を頂こうではないか。
きっとケンジは穏やかに微笑んだろう。
「日照りの時は涙を流し、寒さの夏はおろおろ歩き。みんなにでくのぼーと呼ばれ、褒められもせず、苦にもされず、そういうものにわたしはなりたい」と思いながら。
土曜にブラザーから聞いた。
あのカニューレの男は病院に行ってくれたと。