昨日はそろそろ爪の長くなってきたあんの爪切りのために、近所のホームセンターの中にはあるあんの美容院に行こうとした。
まず美容院に電話を掛け、約一時間後の三時の予約をした。
雨の日には乗らないミニなのでここ最近はまったくミニに乗っていなかった。
なので、今日は頑張ってもらおうと思い、キーを回ると、シュルシュルシュルとだけセルが回るだけでエンジンは一度うんと言ったが、その後、うんともすんとも言わなくなってしまった。
その間、あんは家の中でヒュ~ンと言って、ドライブに連れてってとそわそわしていた。
はぁ~、残念だが、時すでに遅し、あまりにミニに乗らなかったのでバッテリーが上がってしまったのである。
ホームセンターまで歩いていくことにした、有り難いことに気温はあまり高くなく、このくらいであれば、あんはどうにか頑張って歩いてくれるだろうと期待を持てた。
あんを励まし励まし30分ぐらい歩いてホームセンターに着いた。
運良く前回もあんの爪を切ってくれたトリマーさんが今回も担当してくれた。
彼女はとても優しくあんに接してくれるので、あんは少し震えはしていたものの泣き声は出さずにトリマー室に大人しく連れて行かれた。
がしかし、いや、やはりと言う感じで、少し経つとキャンキャンキャン・・・とあんの声が聞こえてくる。
私はその声に胸の痛めながらも、じっとあんと同じように我慢して、耳を澄ませていた。
そこであんの声の少しの変化を感じた。
それは以前よりは声のボリュームが減った感じのように思われた。
ほんの少しだがあんは慣れてきたのかなと思えた。
私はあんのことが心配でたまにトリマー室を覗いては、あんに見つかるとまたあんは大声を出すかも知れぬと思い、すぐに隠れては、でも、傍にいることをあんに知らせながら、嫌ことを頑張って受け容れているあんのおやつを買ってあげようかと何度も売っているおやつを手にしたりして気を紛らわしていた。
「終わりました」と笑顔でトリマーさんがあんを連れて出てきた。
「ありがとうございます!いつも騒いでごめんなさい・・・」
あんはもう嫌なことが終わったことを肌で感じているので澄ました顔をしていた。
「あんちゃん、良く頑張ったね」とそう言って、トリマーさんはあんをたくさん撫でてくれた。
「すいません、ほんとうに。あんは怖がりビビリなのでギャーギャー言ってすいません」
「いや、大丈夫ですよ。柴ちゃんはおしゃべりなんです」
えぇ、と思った。
あんがおしゃべり・・・?
あれはただ怖いから騒いでいるだけで、でも、それをおしゃべりと言ってくれるんですか・・・?
心の中で呟いた。
それはトリマーさんの営業トークだと分かっていながらも、それだけではない、心あるトリマーさんのお人柄と仕事の上手さに感心するのであった。
彼女が切ったあんの爪はとても綺麗にしっかりと切ってある、それにあんもこのトリマーさんが好きなようで、トリマーさんがあんに顔を近づけると、あんはトリマーさんの顔をペロペロとしていた。