カルカッタより愛を込めて・・・。

次のアピア40のライブは9月13日(金)です。また生配信があるので良かったら見てください。

狐狸庵物まで。

2013-11-08 13:01:56 | Weblog

 遠藤氏の作品もとうと狐狸庵物まで読むようになった。

 狐狸庵とは、あの有名なネスカフェのCM、「違いのわかる男・狐狸庵先生」のそれであり、遠藤氏のサブネームである。

 一つの名前では息が詰まるとの思いから、人間本来の多面性を表記するところもあったのだろう、狐狸庵山人ともなのり、町田に引っ越してから別棟を「狐狸庵」と名づけた。

 遠藤氏はまた三島由紀夫氏の名前のようではあまりにも硬くイメージがあり、その作品の幅も自ら狭くしてしまうような生きづらさ、それは書きづらさがあると感じていたとエッセイで書いている。

 人間は自ずから生きづらくしてしまうことは多々あるが、小説家も右に同じである、もちろん、小説家は深く人間観察をする人間だからでもある。

 遠藤氏の作品には軽文学と純文学とがあるが、私にはその区別はどうでも良い、軽文学、純文学、また狐狸庵物であれ、それは一つの遠藤氏の心から生まれるものである。

 遠藤氏の「大変だぁ」と「その夜のコニャック」を読み終えた。

 「大変だぁ」はユーモアの長編小説、「その夜のコニャック」は主に「侍」から「スキャンダル」の間に書かれた短編小説である。

 「大変だぁ」はありもしないこともさもありげに設定し、またそこに人を騙すことの好きなイタズラ好きな遠藤氏の遊び心が活き活きしている、そして、最終的には登場人物を少し成長させ、あたたかな家庭に戻すところなどはほんとうにニクイなぁと思わざるを得ないかった。

 「その夜のコニャック」は遠藤氏がユングを読みあさっていた頃の作品と言うこともあり、私の興味を惹いた。

 そのなかでも「あかるく、楽しい原宿」などは胸をあつくして読んだ。

 戦争時あの辺りにも空襲があり、青山通りから明治神宮外苑まで逃げ遅れて防空壕のなかで死んだ人たちが多かったと言う、そこで亡くなった妹が孫として生まれ変わった話しである。

 これは「深い河」などに繋がっているものであろう、興味深く感動しながら読んだ。

 さて、今日から遠藤氏の「走馬燈」を読み始めた。

 これは日本におけるキリスト教の影響を受けた人たちの話である。

 紹介文はこのようなものである、「日本人として初めてエルサレムを訪れたペドロ岐部、贋の大使として渡欧し、ローマ法王に謁見した支倉常長、そして多くの名もない殉教者たち――日本にはキリスト教の伝統はないと信じられながら、実際は四百年にわたる栄光と苦難の歴史が秘められている。日本人でありながらイエスと関わり、劇的な運命をたどった人々を、そのゆかりの地に赴いて回想した異色のエッセイ」
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