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空海 塔のコスモロジー 読す

2013年07月24日 | 読後記
空海 塔のコスモロジー       武澤秀一著    春秋社刊

インドの仏塔は土や煉瓦を饅頭の形に盛ったもので宇宙卵を象徴したものでした。
仏教が中国に伝わった過程で煉瓦造、石造、木造の「塔」に変形し、それが日本に伝わりました。 
この「塔」が日本の柱信仰と融合し、堀立の心柱を持つ五重塔が誕生しました。
飛鳥寺や法隆寺の五重塔がまさにそれで、御神体の心柱の底の心礎には舎利が安置されています。
当初は「塔」伽藍の中心でしたが、仏造を安置する「金堂」に伽藍の中心の地位を奪われ、
伽藍の周辺に追いやられてしまいました。

ここで空海による「塔」の復権が起こります。
空海は心柱を「大日如来」に見立てることで、「塔」を曼荼羅宇宙を体現する場へと変身させました。
これが東寺の五重塔です。
空海はさらに高野山においてインドの塔である半球体と五重塔の融合した「大塔」を創造しました。
これこそが密教の根本を象徴する究極の建築です。

石山寺の多宝塔を必ず見に行くと決めました。
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