今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

あい

2014年03月18日 | 「本」のひきだし

ブクログより




関寛斎という実在の人物の妻「あい」に焦点を当てた物語。

関寛斎は一介の百姓のせがれから、苦労を重ねて医者となり、徳島藩の藩主の侍医となり、武士の身分を手に入れるまでになった。
そんな寛斎を、陰に日向にただひたむきに支え続けるあいは、江戸時代の女性にしては珍しく、ただ夫に黙って使えるだけではなくて、進路に悩んだり、ためらったりする夫に、きっちりと自分の意見を述べる強い女性。

苦難の末、人々の厚い信頼を得て、士族の身分まで手に入れて、子供たちも立派に育て終えて、ゆっくりするのかと思えば、なんと蝦夷地の開拓に行くという寛斎。
無医村に医者として行くというのならわかるが、その老体で、いまさらなぜ鍬を振るわなくてはならないのか・・・

それでも、あいはその考えに賛同して、ついて行くのだ。
二人の、清すぎるそして真っ直ぐすぎる生き方に、私は少し息苦しさを感じた。
人間臭いところがないのだ。疲れた~と言ってちょっと腕枕で身を横たえる、そんなふうな息抜きもなさそう。

今回はあいの目線で書かれた物語なので、寛斎の思いが今一つ掘り下げられていないが、寛斎については、徳富蘆花や司馬遼太郎が書いているらしいので、機会があればそちらも読んでみたい。

わたしには寛斎さんの妻は務まりません。言うまでもないことですが・・・



あい / 高田郁
★★★☆☆

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