フリージア工房 国道723号店

ハロプロメンバーを応援してアイドル音楽を愛するエッセイブログ

あさみのホームタウン

2007-01-26 22:44:15 | 町と旅

 私が初めて北海道に行った日、泊まった町は偶然にも滝川でした。そして、偶然にもその日の夕食を食べた町は苫小牧でした。
 苫小牧(「とまこまい」と読むのは、皆さんもちろんご存じですよね)は、世間的には今「高校野球の駒大苫小牧の町」なんだろうけど、私にとっては「カントリー娘。の、あさみの出身地」なのです。

 その苫小牧で食べた夕食は、駅ビルで買った「チップマス寿司」でした。チップとは、「ヒメマス」の事で、お味は思ったよりあっさりしていて、食べやすかった事を憶えています。その日の宿泊予定地の滝川まではまだ数時間の道のり。寒さ対策で窓ガラスが二重構造になっている電車の車内で食べたチップマス寿司の味は、私が最初に味わった北海道グルメでした。

 苫小牧という町には、残念ながら泊まった事がなく、ゆっくり町歩きをした事もないのですが、何度となく訪れている町です。ある年の初夏、夜行列車で早朝札幌に着いた朝、苫小牧へとやってきました。
 苫小牧から日高本線というローカル線に乗り換えました。日高本線の沿線には馬の牧場が多く、競走馬の牧場もたくさんあります。その日高地方を通り、午後には襟裳(えりも)岬に行く旅程でした。
 苫小牧を出た列車8確か一両編成)は、ゆっくりとホームを離れ苫小牧の町並みを抜けると、突然車窓の眺めは湿地帯の原野にと風景を変えました。人家はおろか、畑も牧場もない湿っぽい原っぱに、線路は真っ直ぐ延び、列車は走って行きます。苫小牧という町の近郊とは思えないような原野の眺めは、苫小牧の地理的予備知識を持っていなかった私を驚かせました。
 更に驚くべき事に、線路と列車以外は何ひとつ人工的なものが無い筈の眺めに、よく車窓を見ると原野の向こうに工場と煙突が見えていたのです。それが、製紙工場の建物であるらしい事は後で気づきましたが、湿原の原野に浮かぶ工場の建物。そのシュールな眺めが、私の脳内再生ではオーバーなほど「壮大な原野に浮かぶ建造物」として記録されているのです。


 あさみが、苫小牧のどういう町で育ったのかは存じていないのですが、犬ぞりチャンピオンの少女木村麻美を生んだ土地が、原野に工場がそびえる町であったという不思議なバランス。
 それは、とても(良い意味で)普通な田舎の女の子が、アイドルとして注目を浴び走りながらも、最後まで文字通り「カントリー」な魅力なまま、アイドルの舞台を降りる奇跡と同じくらいの絶妙なバランスなように思えます。

 あさみ。カントリー娘。メンバーとして、静かに爽やかに新たな人生へと旅立ちます。その謙虚な立ち位置は、原野と工場の同居する眺めの町の如く、都会の中のささやかに咲いたハマナスのようにも思えます。

 あさみ卒業まで、あと二日。

  今日のBGM  恋がステキな季節 / カントリー娘。 (あさみ、デビュー曲)


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