3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

第3号被保険者問題を考える

2012-01-29 17:01:13 | 現代社会論

1月23日の毎日新聞(夕刊)

年金学者の山崎泰彦氏が専業主婦の年金の切り替え漏れに関する調査を実施したところ、切り替え手続きを故意にやらなかったということが明らかになったことが報じられていた。
サラリーマンの夫が定年になるとそれまで払っていなかった国民年金の保険料を専業主婦も払わなければならなくなる。なぜなら、夫が厚生年金から脱退するからである。健康保険はちゃんと切り替え手続きをしているようで、国民年金のほうが、知っていたが、放置しているというケースが多いということ。サラリーマンの夫、高額な所得であればあるほど、専業主婦は年金の切り替えなど必要とはしない。払い損と思うのだろう。しかし、こうやって国民年金制度の根幹である保険料収入が縮小していくことを考えると、この主婦感覚というものはなんとかならないかと思う。自分さえよければというのはよくない。結局、夫が現役時からきちんと専業主婦も保険料を払っていればこういう齟齬は生じないのであるから、なんとも第3号の制度は矛盾に満ちたものである。

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国民年金:3号被保険者切り替え漏れ 専業主婦年金、大半故意か 「自治体要請応じず」7割


 ◇横須賀など3市1148人 神奈川保健福祉大名誉教授が調査

 専業主婦らの年金切り替え漏れ問題で、大半が意図的に切り替え手続きをしていなかった可能性の高いことが、神奈川県立保健福祉大の山崎泰彦名誉教授の調査で分かった。調査対象の約7割が地方自治体の手続き要請に応じず、自治体側が強制的に切り替えていた。年金の切り替えと同時に必要となる国民健康保険(国保)への加入手続きだけをした人も少なくなく、山崎氏は「意図的な保険料回避ではないか」と指摘する。

 サラリーマンの夫の扶養を受ける妻ら第3号被保険者は、保険料を払わなくても基礎年金を受け取れるが、夫の退職時には市町村で国民年金の1号被保険者に切り替える手続きをし、月額1万5020円の保険料(11年度)を納める必要がある。手続きをしないまま老後を迎え、本来より多い年金を受け取っている人は厚生労働省推計で5・3万人に上る。

 この問題に関する厚労省の検証会議委員を務めた山崎氏は岐阜、神戸、神奈川県横須賀の3市に依頼し、過去2年間に漏れのあった1148人を調査。市が手続きを促す「勧奨」で切り替えた人は岐阜市で10・3%、神戸市で23・4%、横須賀市で26・9%。一方、市による強制措置「職権適用」で切り替えた人は岐阜市72・2%、神戸市68・3%、横須賀市73・1%と7割前後を占めた。

 夫の退職に伴い、3号の妻は医療保険も市町村の国保へ切り替える必要が生じるが、岐阜市では41・4%、神戸市で18・4%、横須賀市で23・1%が国保の加入手続きだけをしていた。3市を含む多くの自治体では国保と国民年金の手続きを複写式の用紙で一括して行う形にしており、国保加入の用紙だけを意図的に提出する人が一定の割合でいることがうかがわれる。

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